森の詞

元ゲームシナリオライター篠森京夜の小説、企画書、制作日記、コラム等

日々の生物(ナマモノ) 第37回

2009年01月10日 | 日々の生物(ナマモノ)
Q:「ムギとハトムギはどうちがうの?」
A:「穀物なのがムギ、ハトムギは薬用植物」

 授業で使っていたプリントは前回でネタ切れなのですが、身近なところから質問が出たので新たに答えることにします。
 今回は、なんと篠森の息子(5歳)からの質問です。
 ……しかし、しぶい質問ですね。流石はIQ140超ですな。

 さて、ハトムギって知ってますか? 
 私の場合、名前は知っていますが、具体的に植物の姿は浮かんできませんでした。
 一番最初に思い出したのが某CMソングです。

「ハトムギ、玄米、月見草~、ドクダミ、はぶ茶、プーアール~~~爽健○茶」

 ちなみに私はプーアールと聞くとドラゴンボールのブタをまず思い出します。
 あ、あっちはウーロンか。

 そんなわけで、お茶に使うことは知っていてもそれ以上のことは知らないハトムギですが、イネ科ジュズダマ属の穀物です。ムギとついていますが、コムギやオオムギとは遠縁の植物で、むしろトウモロコシに近い植物です(コムギ、オオムギは同じイネ科植物ですが、その次の「亜科」の段階でハトムギとトウモロコシを含むグループとは別のグループに別れます)。

 形もかなり異なります。
 元々、ハトムギはジュズダマという植物を作物化したものです。このジュズダマという植物、水辺に生えるムギのような植物なのですが、大きな丸い種子を付けるのが特徴です。ジュズダマという名前はこの種子を数珠やお手玉の中身にして子供が遊んだことから付けられています。


 左からハトムギ、ジュズダマ、ハトムギの種子の写真。
 ハトムギとジュズダマはほぼ同じ外見です。

 上の写真で見ると、丸く膨らんだ所から小型の穂が出ているように見えますが、丸い部分が雌花、先端の穂が雄花になります(正確には雌花があった場所が丸く膨らんでいます)。近縁のトウモロコシも雄花と雌花が一つの植物の上下に存在しますが、ハトムギはムギの穂の上下に雄花と雌花が分かれていると考えてください。そして下の雌花が丸い種子になります。

 そんなわけでハトムギはムギという名前とは裏腹に、かなり大型の種子をつけます。
 この種子を干したものは、いぼ取りの効果、利尿作用、抗腫瘍作用などがあるとされており、薏苡仁(よくいにん)という名で漢方薬として使われていました。ちなみにハトムギのエキスには保湿作用、美白作用があり、基礎化粧品にも使われます。
 栄養価も高い穀物なので、薬や茶以外にも近年では健康食品として利用されていますが、妊婦には悪影響があり、食べないほうがよいとされています。
 コムギやオオムギと異なり、主食として食べるのには適していなさそうですね。
 長靴一杯は食わないほうがよさそうです。

 ちなみにハトムギは中国大陸から朝鮮半島を経由して入ってきた作物で、昔は四石麦(しこくむぎ)という名がついていたそうです。これは1反歩(約10アール)で、4石(約180リットル)の収穫があるということからついたとされています。
 ハトムギという名前は明治以降についた名前で、ハトが好んでその実を食べることからついたそうです。


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