原孝至の法学徒然草

司法試験予備校講師(弁護士)のブログです。

大塚家具の一件から会社法を学ぶ

2015-03-28 | 商法的内容
報道されている通り、社長側に軍配があがったこの一件。高校生や大学1年生にもわかるように、簡単に説明します。

まず、この一件からわかることは、「会社は社長や会長のものではなく、株主のものだ」ということ。そもそも、株式会社とは何か。株主とは何か。例えば、私が司法試験予備校を運営する会社を設立しようと思ったとします(例であって、辰巳から独立する気などさらさらないですよー笑。箱があっての講師なので笑)。その時に、やっぱり先立つものは金なのです。校舎となる建物を準備しなきゃいけないし、様々な備品も必要だし、人も雇わなくちゃいけない。ビジネスには金がかかるのです。そうだとすると、起業は、金のある人しかできなくなる。でも、それでは、良いビジネスが現実化されない場合が多くなってしまい、世の中的にはマイナス。そこで、考え出された仕組みが、株式会社なのです。

起業しようとする人は、「先立つ金」を集めるために、大衆に出資を募ります。実際に、金を出してくれた人には、その証として、株式を発行(交付)します。その株式は、出資額に応じて発行されます。「株主」の誕生です。つまり、株主こそ、会社のオーナーであり、会社は株主のものなのです。

だけれども、じっさいにビジネス(事業)をやりたいのは、起業者。先の例では、私。株主は、それぞれ自分のビジネスがあるでしょうし、司法試験受験指導のノウハウもないので、実際の業務は、私をはじめとする「実働部隊」に任せます。それで、実働部隊が頑張って利益を上げてくれれば、その利益を配当してもらいたい、と考えます。起業者と出資者の利害がこういう形で一致するわけです。で、当然ながら、もし私が経営がへたくそで、代わりの人間を実働部隊にすべきだと考えれば、オーナー総会(株主総会)で私をクビにして、新しい実働部隊を選任しようとします。オーナーなんだから、当然それができるわけです。

今回の大塚家具の一件は、実働部隊として、社長(娘)がふさわしいか、会長(父)がふさわしいか、オーナー様方に諮った、そういう一件だったわけです。これだけ話題になったのは、親子間の騒動だったということもあるんでしょう。で、オーナー様の過半数は、社長に任せるべし、と判断した、ということです。

要するに、社長をはじめとする実働部隊を誰とするかは、オーナー様(株主)が決定することであって、社長いえども、オーナー様らから「ノー」と言われれば、クビなわけです。

会社は、株主のものなのです。

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