〈余話〉
「直次郎兄さんが心を入れ替えるなんて、わっちはどうにも信用出来ないがねぇ」。
「まあ、そう言うねぇ。今は真っ当に働いているんだ」。
「何時迄続くことやら。これまでだって奉公先を幾つしくじったことか。どうしても火消しになりたいって、お前さんに頼み込んだ時も、ひと回りも保たなかったじゃないかえ」。
「今度ばかりは違うさ。あの時だって、一度は逃げ出したのに、火の中に戻って助け出してよぉ、そのまま背負ってお前ぇのとこに運び込んだじゃねえか」。
「慌ててお医者に来て貰ったっけねえ。どんな気まぐれだったのやら」。
「そっちは、でえじょうぶなのけ」。
「ああ、口の堅い信用出来る先生ぇさ」。
「お前ぇは、直次郎を信用してねえのけぇ。兄さんじゃねえか」。
「よしとくれよ。あんな奴、兄さんなもんか」。
「けどよ、生涯かけてお信に償うって言葉に嘘はねえとみたぜ。涙まで浮かべてよ、手えついて謝ったんだ。あっしはもぅ一辺だけ信じても良いと思うがね」。
「そうやって何遍裏切られてきたことか」。
「信じてみようじゃないけ。世の中そう捨てたもんじゃねえって、あっしは信じてえんで」。
〈第一巻 完〉
※長い間お付き合いくださいましてありがとうございます。「のしゃばりお紺の読売余話」第一部はこれにて終了です。次回は、新選組を予定しています。しばらくお待ちください。
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「直次郎兄さんが心を入れ替えるなんて、わっちはどうにも信用出来ないがねぇ」。
「まあ、そう言うねぇ。今は真っ当に働いているんだ」。
「何時迄続くことやら。これまでだって奉公先を幾つしくじったことか。どうしても火消しになりたいって、お前さんに頼み込んだ時も、ひと回りも保たなかったじゃないかえ」。
「今度ばかりは違うさ。あの時だって、一度は逃げ出したのに、火の中に戻って助け出してよぉ、そのまま背負ってお前ぇのとこに運び込んだじゃねえか」。
「慌ててお医者に来て貰ったっけねえ。どんな気まぐれだったのやら」。
「そっちは、でえじょうぶなのけ」。
「ああ、口の堅い信用出来る先生ぇさ」。
「お前ぇは、直次郎を信用してねえのけぇ。兄さんじゃねえか」。
「よしとくれよ。あんな奴、兄さんなもんか」。
「けどよ、生涯かけてお信に償うって言葉に嘘はねえとみたぜ。涙まで浮かべてよ、手えついて謝ったんだ。あっしはもぅ一辺だけ信じても良いと思うがね」。
「そうやって何遍裏切られてきたことか」。
「信じてみようじゃないけ。世の中そう捨てたもんじゃねえって、あっしは信じてえんで」。
〈第一巻 完〉
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