兄様。大奥は騒動になっておりまする。慶喜様が十五代様になられるなら、お暇を頂きたいと申し出るお女中までおりますそうにございます。
美緒の行方などを聞いて回れるような次第ではございませぬが、返って人目につきませぬ故、ございの者に頼んで、堤帯が見付かった古着屋に取り入り、売りに来た男衆を調べて貰っておりましたところ、どうやら、ございのひとりだったようにございます。
その者に話を伺おうにも、おてふの様がお雇いになられていた者とかで、既に暇を出されておりました。
引き続き、その者の行方を調べて貰おておりまするが、何やら気乗りがしないようにございます。
千代もここを出る事が適えば、幾らでも城下を調べますのに、口惜しゅうございます。
長月三日になり、ようやく家茂様の御遺体を乗せた、どんばるとん号が大坂天保山を出港なされた模様にございまする。そして五日には品川沖に入りましたが、そのまま沖泊り。翌六日にようやく浜御殿より江戸城に家茂様がお戻りになられました。
御遺体と共に、宮様への京土産の友禅が、涙を誘ってございまする。
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美緒の行方などを聞いて回れるような次第ではございませぬが、返って人目につきませぬ故、ございの者に頼んで、堤帯が見付かった古着屋に取り入り、売りに来た男衆を調べて貰っておりましたところ、どうやら、ございのひとりだったようにございます。
その者に話を伺おうにも、おてふの様がお雇いになられていた者とかで、既に暇を出されておりました。
引き続き、その者の行方を調べて貰おておりまするが、何やら気乗りがしないようにございます。
千代もここを出る事が適えば、幾らでも城下を調べますのに、口惜しゅうございます。
長月三日になり、ようやく家茂様の御遺体を乗せた、どんばるとん号が大坂天保山を出港なされた模様にございまする。そして五日には品川沖に入りましたが、そのまま沖泊り。翌六日にようやく浜御殿より江戸城に家茂様がお戻りになられました。
御遺体と共に、宮様への京土産の友禅が、涙を誘ってございまする。
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