先週(9/13日~9/17日)はイギリスのケンブリッジで、起業家セミナーとケンブリッジ大学の Centre for Technology Management 主催の CTM Symposium に出席していた。この CTM Symposium のテーマは "Confronting global challenges - leadership, innovation, technology"であるが、ストラテジー、イノベーションから環境問題への技術面からの取り組みなど幅広いテーマが議論された。
今回の訪問では、『ケンブリッジで悟ったオープンイノベーションの真髄』で書いたように、特に前半の起業家セミナーでの収穫が多かった。今回も前回のシリコンバレーでの起業家セミナーと同様に、印象深かく残った言葉がいくつかあったので紹介したい。(ちなみに、前回のシリコンバレーでは "Failure is not personalized."つまり、『起業して失敗するのは何ら恥ずかしいことではない。シリコンバレーでは失敗している人ばかりだ。その経験を個人の資質の欠陥とみなすのではなく、失敗の経験を共有することで地域全体がそのような失敗を繰り返さないようにするのだ』という。シリコンバレーならではの積極的姿勢が伺われる。)
ケンブリッジで印象に残った言葉を挙げると:
【1】"Moving is a big issue in the UK, but not in the US."
この言葉は、アメリカに暫く住んだイギリス人が、アメリカとイギリスの違いについて述べたものだ。それは、私が『ケンブリッジには何故、これほど多くの優秀な人がいるのか?ケンブリッジ大学ような超一流校の卒業生は、卒業すると高い給料を目指してケンブリッジから出て行くのではないのか?』と質問したのに対して、『イギリス人は、アメリカ人と違って、あまり引越しをしたがらない。それで、ケンブリッジの卒業生はなるべくケンブリッジで就職しようとするので、優秀な人がケンブリッジに残るのだ。』との回答を得た。
日本では、たいていの場合、アングロサクソンという言い方で、あたかもイギリスとアメリカをひと括りにして議論するが、私の狭い経験と読書からの知識からでも、やはりこの二国はやはり別々にして考えないといけないと感じる。イギリス(United Kingdom)の中でも、スコットランドやウェールズ、北アイルランドとイングランドは異なると言われている。さらには、ウェールズですら北と南は異なるのだという。狭い日本でも関東と関西で人情やビジネスの仕方が大きくことなることを考えると、いくら同じ英語を話すとはいえ、イギリスとアメリカはやはり強い独自性をもつ別の国だと考える必要があろう。
【2】"Remain independent. Colour of Independence."
ケンブリッジには、携帯電話の中に使われているCPUをほぼ完全に独占しているARMという会社がある。この会社は、現在株主のかなりのパーセンテージはアメリカの会社に保有されているが、まだイギリスの会社として運営されている。しかし、ケンブリッジにあった成長株のベンチャー企業のかなりがアメリカ資本に買収され、その子会社となってしまっているらしい。
ところが、投資家というのは、ある特定の会社を見る場合、大会社の傘下や系列下に入っているのとでは、扱いが全くことなるという。つまり、その地域のベンチャーが他の国や地域(例えば、アメリカやドイツ)の資本を受け入れず、イギリス資本で頑張っているというのが、その会社のみならず、その地域全体に対しての評価につながると言うのだ。これは上の【1】でも述べたように、我々日本人がアングロサクソンとひと括りにしているアメリカ資本が、イギリス人にとっては『異分子』であるという意識が言外ににじんでいる。
もうすこし踏み込んでいうと、イギリスの知的クラスターの雄であるケンブリッジには、アメリカのシリコンバレーに対して強い対抗意識もっているようだ。例えば、週の後半に出席した、CTM Symposium でケンブリッジ大学の学生が太陽光発電のベンチャー企業を立ち上げたが、シリコンバレーも検討した結果、結局ケンブリッジに留まることにした、と話していた。その発言に対して聴衆の中のイギリス人の彼に対する無言の暖かい支援を私は感じとった。
【出典】 Cambridge Science Park: Milton Road: Q.ton Forum
【3】"Gentle coordination"
オープンイノベーションの真髄が、ワイガヤにあることは、前回の『ケンブリッジで悟ったオープンイノベーションの真髄』で述べた。しかし、従来のように仲間内での議論では、現在の進展の激しいオープンイノベーションに対応していくのが難しい。しかし、むやみと社外の人たちと議論しても仕方ない。具体的なテーマについて同じような問題意識を持った者たちが集う必要がある。この点で、ケンブリッジでは、各種の会合が頻繁に開催されているという。そこでは、会の司会者がそれぞれの参加企業の内実をよく知っていて、非公式にいわゆる『企業同士のデートの仲介』をするという。このやり方を "Gentle coordination"(緩やかな引き合わせ)と称する。
日本でもベンチャー企業のような身ごなしの軽さがウリの会社同士では、懇親会で会って暫く話をしていて、すぐに何らかの協同関係に発展することはよく聞く。それと比較するとケンブリッジの場合は、ベンチャー企業同士の協同関係にベンチャーキャピタルも絡み合い、世界制覇を視野においた戦略が、ベンチャーの協同関係の効果を倍増しているように私には感じられた。システムやインフラ自体が日本とたいして変わらないにも拘わらず、結果的に日英のベンチャー企業の活躍度に大きな差が出てくるのは、こういう緩やかな連合の作り方のうまさにあるのだろう。ちなみに、こういったゆるやかな連合作りに長けているのは、イギリス人に次いでオランダ人であるとの意見も聞いた。瞬間的に、ヨーロッパのいろいろな国の人間関係を思い浮かべてみて、『なるほど、言われてみればその通りだ』と納得した次第であった。
【4】研究所を設立する場所の選定条件
革新的な技術をベースに事業をを立ち上げようとしている会社がどこに研究所を設立するか、という要件が10点挙げられた。その内、次の2つが最重要だということであった。
● proximity to world-class science centers
● external environment
言うまでもなくケンブリッジを想定すると最初のポイントは間違いなくOKである。2番目のポイントは、社外の人や組織との交流が盛んであるか、という意味であるとの説明があった。それも単なる名刺交換の異業種交流会ではなく、実際に国際的な規模での業務提携・共同研究ができるか、という点が重要であるとのことだった。この 2点についてはさもありなん、と思った。一番重要でない要因を聞いて、はた、と手を打った。それは、
● favorable incentives and tax treatment
つまり税制の優遇措置である、と言うのだ。この3つの点は研究所設置に限らず、ベンチャー企業の誘致の要因と言い換えても通用する話であると考えると、何故日本の自治体のベンチャー誘致策が実を結ばないかの真の原因がここにずばり指摘されている。つまり、官庁が実態を調査せずにおざなりの誘致策、それも他の自治体のコピーそのものの誘致策が失敗する訳だ。ケンブリッジの成功要因を徹底的に分析して、施策を練り直せ、と言いたい。
【5】"製薬関係の先進地域は、ケンブリッジ周辺とスイスのドイツ語圏"
CTM Symposium の初日の夕方に懇親会があった。場所は、普通はめったに入れないといわれる Christ's College のホールで開催された。壁は、こげ茶の木で一面おおわれ、正面には、(名前は失念したが)女王の肖像画が飾ってある由緒ある場所で、出席者には、ネクタイ着用の正装が要求された。
私の正面に座った人は、ロンドンビジネススクール(LBS)とアメリカとコロンビア大学の2つの大学のMBAを取った人で、ロンドン近郊で薬品業界のコンサルタントをしているという。ヨーロッパの薬品業界に詳しく、いろいろと話をしてくれたが、残念ながら専門用語を連発し、私の理解を超える内容であった。ただ、私が普段から疑問に思っていることに対して明確な答えを教えてくれた。それは、ヨーロッパ諸国で薬品業界あるいは化学業界ではどの国あるいは地域がトップグループであるかという点であった。
私がこの点について疑問に思ったのは、大阪ではヨーロッパ各国から産業ミッションが訪問し、是非わが国・わが地域に投資して欲しいとの要望を述べる。例えば、薬品業界では、スコットランドやベルギーの北部のフランダース地方、オランダなどが熱心に投資を勧誘するためのセミナーを開催している。どのセミナーでも決まって、ヨーロッパのみならず、世界でも自分たちはトップグループを走っているというのだ。皆が口を揃えていうものだから、私は一体だれが本当のことを言っているのか判断できなくなってしまった。
私の所属する、京都大学の産官学連携本部の一つの活動が国際的な学学連携、および産学連携の推進だ。提携フィールドの大きな目玉が医療、医薬関係だ。連携を模索するときに、アメリカはさておき、この分野でヨーロッパの最強地を知ることは非常に大きな意味をもつ。『客観的にみてどこが一体優れているのか?』この問いに対する彼の答えは、『ケンブリッジを含む、イギリス南部とスイスのドイツ語圏の二ヶ所』と明確に答えてくれた。この答えを聞いて、私には過去にどうしてスイス主催のこの手のセミナーがないのか、氷解した。最強であるので、自分の方から売り込みに行かなくても、向こうから提携話がやってくるのである。つまり、二番手やそれ以外の国や地域は熱心に売り込みをする必然性があるが、一番手にはそれがないという、考えてみればごく自然な話である。
その昔、福沢諭吉が西洋の本を読んでいて仕組みがなかなか理解できなかった、電信や汽車が、幕末に渡米して実物をみて、長年の疑問がすーと解決した、というようなことをどこかに書いていたが、今回の一週間のケンブリッジ滞在は私にとってまさにそういうことがいくつもあった。インターネットがここまで普及し、またウェブの検索システムによって膨大なデータから瞬時にいろいろな情報を引き出せる世の中になっても、依然として人と人の直接的なコミュニケーションの重要性は変わらないのではないか、と強く感じた。現在の日本の若者は、直接的な会話が苦手で、ちょっとしたこともメールで済まそうとするというが、そういった習慣がコミュニケーション能力の低下を招くことは論を待たない。低コミュニケーション力しか持たない日本人の増加を考えると、どうやら日本経済の沈下はこれからいよいよ加速するのかもしれない。
今回の訪問では、『ケンブリッジで悟ったオープンイノベーションの真髄』で書いたように、特に前半の起業家セミナーでの収穫が多かった。今回も前回のシリコンバレーでの起業家セミナーと同様に、印象深かく残った言葉がいくつかあったので紹介したい。(ちなみに、前回のシリコンバレーでは "Failure is not personalized."つまり、『起業して失敗するのは何ら恥ずかしいことではない。シリコンバレーでは失敗している人ばかりだ。その経験を個人の資質の欠陥とみなすのではなく、失敗の経験を共有することで地域全体がそのような失敗を繰り返さないようにするのだ』という。シリコンバレーならではの積極的姿勢が伺われる。)
ケンブリッジで印象に残った言葉を挙げると:
【1】"Moving is a big issue in the UK, but not in the US."
この言葉は、アメリカに暫く住んだイギリス人が、アメリカとイギリスの違いについて述べたものだ。それは、私が『ケンブリッジには何故、これほど多くの優秀な人がいるのか?ケンブリッジ大学ような超一流校の卒業生は、卒業すると高い給料を目指してケンブリッジから出て行くのではないのか?』と質問したのに対して、『イギリス人は、アメリカ人と違って、あまり引越しをしたがらない。それで、ケンブリッジの卒業生はなるべくケンブリッジで就職しようとするので、優秀な人がケンブリッジに残るのだ。』との回答を得た。
日本では、たいていの場合、アングロサクソンという言い方で、あたかもイギリスとアメリカをひと括りにして議論するが、私の狭い経験と読書からの知識からでも、やはりこの二国はやはり別々にして考えないといけないと感じる。イギリス(United Kingdom)の中でも、スコットランドやウェールズ、北アイルランドとイングランドは異なると言われている。さらには、ウェールズですら北と南は異なるのだという。狭い日本でも関東と関西で人情やビジネスの仕方が大きくことなることを考えると、いくら同じ英語を話すとはいえ、イギリスとアメリカはやはり強い独自性をもつ別の国だと考える必要があろう。
【2】"Remain independent. Colour of Independence."
ケンブリッジには、携帯電話の中に使われているCPUをほぼ完全に独占しているARMという会社がある。この会社は、現在株主のかなりのパーセンテージはアメリカの会社に保有されているが、まだイギリスの会社として運営されている。しかし、ケンブリッジにあった成長株のベンチャー企業のかなりがアメリカ資本に買収され、その子会社となってしまっているらしい。
ところが、投資家というのは、ある特定の会社を見る場合、大会社の傘下や系列下に入っているのとでは、扱いが全くことなるという。つまり、その地域のベンチャーが他の国や地域(例えば、アメリカやドイツ)の資本を受け入れず、イギリス資本で頑張っているというのが、その会社のみならず、その地域全体に対しての評価につながると言うのだ。これは上の【1】でも述べたように、我々日本人がアングロサクソンとひと括りにしているアメリカ資本が、イギリス人にとっては『異分子』であるという意識が言外ににじんでいる。
もうすこし踏み込んでいうと、イギリスの知的クラスターの雄であるケンブリッジには、アメリカのシリコンバレーに対して強い対抗意識もっているようだ。例えば、週の後半に出席した、CTM Symposium でケンブリッジ大学の学生が太陽光発電のベンチャー企業を立ち上げたが、シリコンバレーも検討した結果、結局ケンブリッジに留まることにした、と話していた。その発言に対して聴衆の中のイギリス人の彼に対する無言の暖かい支援を私は感じとった。
【出典】 Cambridge Science Park: Milton Road: Q.ton Forum
【3】"Gentle coordination"
オープンイノベーションの真髄が、ワイガヤにあることは、前回の『ケンブリッジで悟ったオープンイノベーションの真髄』で述べた。しかし、従来のように仲間内での議論では、現在の進展の激しいオープンイノベーションに対応していくのが難しい。しかし、むやみと社外の人たちと議論しても仕方ない。具体的なテーマについて同じような問題意識を持った者たちが集う必要がある。この点で、ケンブリッジでは、各種の会合が頻繁に開催されているという。そこでは、会の司会者がそれぞれの参加企業の内実をよく知っていて、非公式にいわゆる『企業同士のデートの仲介』をするという。このやり方を "Gentle coordination"(緩やかな引き合わせ)と称する。
日本でもベンチャー企業のような身ごなしの軽さがウリの会社同士では、懇親会で会って暫く話をしていて、すぐに何らかの協同関係に発展することはよく聞く。それと比較するとケンブリッジの場合は、ベンチャー企業同士の協同関係にベンチャーキャピタルも絡み合い、世界制覇を視野においた戦略が、ベンチャーの協同関係の効果を倍増しているように私には感じられた。システムやインフラ自体が日本とたいして変わらないにも拘わらず、結果的に日英のベンチャー企業の活躍度に大きな差が出てくるのは、こういう緩やかな連合の作り方のうまさにあるのだろう。ちなみに、こういったゆるやかな連合作りに長けているのは、イギリス人に次いでオランダ人であるとの意見も聞いた。瞬間的に、ヨーロッパのいろいろな国の人間関係を思い浮かべてみて、『なるほど、言われてみればその通りだ』と納得した次第であった。
【4】研究所を設立する場所の選定条件
革新的な技術をベースに事業をを立ち上げようとしている会社がどこに研究所を設立するか、という要件が10点挙げられた。その内、次の2つが最重要だということであった。
● proximity to world-class science centers
● external environment
言うまでもなくケンブリッジを想定すると最初のポイントは間違いなくOKである。2番目のポイントは、社外の人や組織との交流が盛んであるか、という意味であるとの説明があった。それも単なる名刺交換の異業種交流会ではなく、実際に国際的な規模での業務提携・共同研究ができるか、という点が重要であるとのことだった。この 2点についてはさもありなん、と思った。一番重要でない要因を聞いて、はた、と手を打った。それは、
● favorable incentives and tax treatment
つまり税制の優遇措置である、と言うのだ。この3つの点は研究所設置に限らず、ベンチャー企業の誘致の要因と言い換えても通用する話であると考えると、何故日本の自治体のベンチャー誘致策が実を結ばないかの真の原因がここにずばり指摘されている。つまり、官庁が実態を調査せずにおざなりの誘致策、それも他の自治体のコピーそのものの誘致策が失敗する訳だ。ケンブリッジの成功要因を徹底的に分析して、施策を練り直せ、と言いたい。
【5】"製薬関係の先進地域は、ケンブリッジ周辺とスイスのドイツ語圏"
CTM Symposium の初日の夕方に懇親会があった。場所は、普通はめったに入れないといわれる Christ's College のホールで開催された。壁は、こげ茶の木で一面おおわれ、正面には、(名前は失念したが)女王の肖像画が飾ってある由緒ある場所で、出席者には、ネクタイ着用の正装が要求された。
私の正面に座った人は、ロンドンビジネススクール(LBS)とアメリカとコロンビア大学の2つの大学のMBAを取った人で、ロンドン近郊で薬品業界のコンサルタントをしているという。ヨーロッパの薬品業界に詳しく、いろいろと話をしてくれたが、残念ながら専門用語を連発し、私の理解を超える内容であった。ただ、私が普段から疑問に思っていることに対して明確な答えを教えてくれた。それは、ヨーロッパ諸国で薬品業界あるいは化学業界ではどの国あるいは地域がトップグループであるかという点であった。
私がこの点について疑問に思ったのは、大阪ではヨーロッパ各国から産業ミッションが訪問し、是非わが国・わが地域に投資して欲しいとの要望を述べる。例えば、薬品業界では、スコットランドやベルギーの北部のフランダース地方、オランダなどが熱心に投資を勧誘するためのセミナーを開催している。どのセミナーでも決まって、ヨーロッパのみならず、世界でも自分たちはトップグループを走っているというのだ。皆が口を揃えていうものだから、私は一体だれが本当のことを言っているのか判断できなくなってしまった。
私の所属する、京都大学の産官学連携本部の一つの活動が国際的な学学連携、および産学連携の推進だ。提携フィールドの大きな目玉が医療、医薬関係だ。連携を模索するときに、アメリカはさておき、この分野でヨーロッパの最強地を知ることは非常に大きな意味をもつ。『客観的にみてどこが一体優れているのか?』この問いに対する彼の答えは、『ケンブリッジを含む、イギリス南部とスイスのドイツ語圏の二ヶ所』と明確に答えてくれた。この答えを聞いて、私には過去にどうしてスイス主催のこの手のセミナーがないのか、氷解した。最強であるので、自分の方から売り込みに行かなくても、向こうから提携話がやってくるのである。つまり、二番手やそれ以外の国や地域は熱心に売り込みをする必然性があるが、一番手にはそれがないという、考えてみればごく自然な話である。
その昔、福沢諭吉が西洋の本を読んでいて仕組みがなかなか理解できなかった、電信や汽車が、幕末に渡米して実物をみて、長年の疑問がすーと解決した、というようなことをどこかに書いていたが、今回の一週間のケンブリッジ滞在は私にとってまさにそういうことがいくつもあった。インターネットがここまで普及し、またウェブの検索システムによって膨大なデータから瞬時にいろいろな情報を引き出せる世の中になっても、依然として人と人の直接的なコミュニケーションの重要性は変わらないのではないか、と強く感じた。現在の日本の若者は、直接的な会話が苦手で、ちょっとしたこともメールで済まそうとするというが、そういった習慣がコミュニケーション能力の低下を招くことは論を待たない。低コミュニケーション力しか持たない日本人の増加を考えると、どうやら日本経済の沈下はこれからいよいよ加速するのかもしれない。
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