限りなき知の探訪

45年間、『知の探訪』を続けてきた。いま座っている『人類四千年の特等席』からの見晴らしをつづる。

想溢筆翔:(第452回目)『日本では全訳を読めない、『資治通鑑』から読み解く』

2024-09-29 09:09:09 | 日記
私は、今まで単著で8冊、共著で1冊の合計9冊の本を出版したが、単著はいずれも出版エージェントの アップルシード・エージェンシー社のお世話になった。始めて、アップルシード・エージェンシー社の社長から出版の可能性について聞かれた時に、「是非、資治通鑑を出版したい」というと、社長は眉をひそめ「中国の歴史書では史記は聞くが、資治通鑑など聞いたことがない。果たして、資治通鑑に読者が付くのだろうか?」と疑問を呈した。しかし、私は資治通鑑の面白さを重ねて説明したが、納得してもらうには至らなかった。ただ、ともかくも書籍企画書を作成して、出版各社に配布してもらえることにはなった。

暫くすると、10数社ほどに配布した中で、カドカワが出版に興味を示しているとの連絡を頂いた。半分諦めていた私は小躍りして喜んだ。数日後、カドカワの新書担当のNさんにお目にかかると、資治通鑑という題名より、書籍企画書の内容そのものをしっかりと読んだ上で、是非進めたいとの返事を頂いた。

ともかくも、こういった経緯で資治通鑑の出版が決まったので、それまで書き溜めていた原稿をまとめ直して最初の章をアップルシード社に提出すると、それまで資治通鑑の出版に懐疑的であった社長が一変、非常におもしろいと評してくれた。数ヶ月後『本当に残酷な中国史』というタイトルで出版されてから暫くすると櫻井よしこさんが産経新聞紙上のコラムにこの本について数行のコメントを載せた途端に、Amazonの売れ行きが非常に伸び、連日中国史部門ではトップにランクされた。この本が売れたことはうれしいのではあるが、本のタイトルや2014年当時のぎくしゃくした日中関係から、私は、反中論者の人間と目されてしまったようだった。確かに『本当に残酷な中国史』には中国の悪の部分の記述がかなり多いが、私は中国には良い部分も多いと評価している。中国に限らず、すべての文明に対しては是々非々の姿勢である。私の思想信条に関しては後日ビジネス社から出版した『教養を極める読書術』にかなり詳しく書いた。



このように資治通鑑は私にとっては思い出深い本であるので、このブログでもまたいろいろな講演会・企業研修の場でも何度も言及してきた。ただ、資治通鑑の現代語訳は極めて少ない上に、私の本でしばしば取り上げているような度肝を抜くような場面の描写を取り上げていないため、世間では、資治通鑑は退屈な本だと認識されているように感じる。ところが、昨年(2023年)経営科学/ダイレクト出版社から『本当に残酷な中国史』の内容、つまり資治通鑑をビデオで解説してほしいとの依頼があった。私は一人でも多くの日本人に『資治通鑑』を知ってもらうためによろこんでお引き受けることにした。ただ、このビデオは一般公開するのではなく、同社の会員向けの限定販売であるので、残念ながらアクセスは難しい。しかし、最近そのビデオの一部が『月刊歴史塾』公式チャンネルから約20分もある紹介ビデオがYouTubeにアップされていることを見つけたのでお知らせしたい。

タイトルは:
 日本では全訳を読めない…『資治通鑑』から読み解く
 4000年変わらない中国人の本質とは? リベラル・アーツ研究家 麻生川静男



このビデオでも述べているが、歴史書『資治通鑑』の政治以外の記述から、庶民の生活を知り、中国社会の実態、正しい姿、を知って頂きたい。
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