石井信平の 『オラが春』

古都鎌倉でコトにつけて記す酒・女・ブンガクのあれこれ。
「28歳、年の差結婚」が生み出す悲喜劇を軽いノリで語る。

古い手紙

2010-06-09 21:06:19 | 雑談
整理や捨てたりする毎日だ。今から5年前、NYに住む作家宛に、こんなメールを書いていた。


香咲弥須子様

マンハッタンでのやすこさんとの朝食は、ゴージャスでたのしいひとときでした

お送りいただいた本「心の声に耳を澄まして」「ねこの神様」確かに頂きました お心使いありがとうございました

きょう、デビッド・リンチ監督の「ストレイト・ストーリー」を横浜の映画館に見てきました老いることの行く末が、行政も福祉も、ものみな「介護」のシステム=排水溝を整備することへと向かう日本を、照らし返すような映画でした

この映画が描くアメリカ社会は、まだ「人情」が、生き生きと息づいていると思いました老人と野宿をともにしたヒッチハイクの少女が、翌朝きちんと新しい薪の束を老人の枕元に置いて出発していく裏庭に老人が眠るのをゆるす家がある。

戦時中、仲間の斥候兵を誤って射殺してしまった老人の悲劇を、彼がバーで初めて語る時、それをキチンと聞いてあげる人がいる。

初対面でも、立ち上がって名前を名乗り握手する、そんな当たり前のマナーさえ、新鮮にうらやましく感じました

日本人が、互いに挨拶をすることさえ億劫になりはじめたのは、一体いつからでしょうか?

今、講談社から出たドウス昌代「イサム・ノグチ」を読んでいます 明治中期に18歳でアメリカに渡った彼のオヤジさんが面白い 

肉体労働が主流の日系移民の中で、彼はアメリカ文壇に近づこうとし、自分の英語をリライトしてくれる女性を広告で募り、その一人を孕ませて生まれたのがイサムだった、など初めて知りました

あなたは、実に面白い国に今、住んでいますね

石井信平

2005/7/20

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2 Comments

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なるほど (  マサミ メメ76  )
2010-06-10 16:39:09
1.ストレイトストーリーはずつにいいロードムービーでした。大好きです。大学の後輩としてもっと石井先輩のお話を聞きたかった。
2.過去の文章も現在も少しも古びてはいないです。共感することが多いです。朝の仕事メールが一段落したら、このブログと、土野氏のドルトーニュ便りを開くのが日課です。これからも楽しみにしております。
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ありがたいです。 (妻より)
2010-06-17 11:13:44
こうしてチェックしていただけているのは嬉しいです。

信平さんの文章を読んでいただけている間は信平さんは確かにそこに生きていると思いますから。それが理由で続けているのですが…。

これからもよろしくお願いします。
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