ジャンル:ヒューマン
製作年:2005年
製作国:イギリス
配給:東芝エンタテインメント、東宝東和
原作:ディケンズ
監督:ロマン・ポランスキー
出演:バーニー・クラーク
サー・ベン・キングスレー
ハリー・イーデン
ジェイミー・フォアマン
19世紀の英国。救貧院生まれの孤児オリバー・ツイストは満足な食事も与えられない救貧院から葬儀屋に奉公に出されるが、そこでも不当な待遇を受けロンドンを目指して逃げ出す。スリの少年に拾われ彼らを養うフェイギンという男に食事と寝床を与えてもらう。少年達のスリの現場に連れて行かれたオリバーはスリの疑いをかけられて逮捕されるが、疑いは晴れる。法廷で倒れたオリバーを、ハンカチを盗まれた裕福な紳士ブラウンロー氏が自宅へ連れ帰り引き取ることにするのだが、フェイギンと悪党仲間のビルはそんなオリバーを無理矢理連れ帰ってしまう・・・。
天使のような孤独な少年オリバーが苦労の末に幸せを掴むという、英国文豪ディケンズの名作を、「戦場のピアニスト」のロマン・ポランスキー監督が映画化。19世紀の街を丸ごと再現してしまったその映像は細部まで緻密に表現されている。少年達が走り回る路地や活気溢れる市場、馬車が行き交う街路。スリの少年達が住まう古ぼけた部屋も生活している息づかいが聞こえてきそうな程。オリバーを引き取る紳士の家はヴィクトリア様式の洗練された建物で清潔なベッドと美しく飾り付けられた廊下の装飾が、オリバーの貧しい暮らしとのギャップを目の当たりにさせる。
わずか9歳の少年が味わう労苦は現代からは想像もできないが、当時の救貧院の暮らしなど英国の下層階級の貧困ぶりは有名な話。逃げ出したものの流されるように悪い少年達の仲間に加わることになるオリバーだが、その無垢な心は汚されること
はなく、最後にフェイギンを牢獄に見舞った彼が、辛い目に遭わされながらも救ってもらった恩を感謝し「一度で良いから神様に謝って」という。気の狂ったようなフェイギンに「どうか赦してやって」と涙を流すオリバーの優しい心は、どんな環境に居ても挫けない強く美しい魂というものがあるのだということを観客に訴えていると感じた。
原作を読んでいる大人が観るには素直すぎる作品ではあるが、ポランスキーの、子供に訴え掛けられる作品を作りたいという気持ちが伝わってくる上質の映画。
OP・EDの挿画から実写へと映る映像が美しい。
製作年:2005年
製作国:イギリス
配給:東芝エンタテインメント、東宝東和
原作:ディケンズ
監督:ロマン・ポランスキー
出演:バーニー・クラーク
サー・ベン・キングスレー
ハリー・イーデン
ジェイミー・フォアマン
19世紀の英国。救貧院生まれの孤児オリバー・ツイストは満足な食事も与えられない救貧院から葬儀屋に奉公に出されるが、そこでも不当な待遇を受けロンドンを目指して逃げ出す。スリの少年に拾われ彼らを養うフェイギンという男に食事と寝床を与えてもらう。少年達のスリの現場に連れて行かれたオリバーはスリの疑いをかけられて逮捕されるが、疑いは晴れる。法廷で倒れたオリバーを、ハンカチを盗まれた裕福な紳士ブラウンロー氏が自宅へ連れ帰り引き取ることにするのだが、フェイギンと悪党仲間のビルはそんなオリバーを無理矢理連れ帰ってしまう・・・。
天使のような孤独な少年オリバーが苦労の末に幸せを掴むという、英国文豪ディケンズの名作を、「戦場のピアニスト」のロマン・ポランスキー監督が映画化。19世紀の街を丸ごと再現してしまったその映像は細部まで緻密に表現されている。少年達が走り回る路地や活気溢れる市場、馬車が行き交う街路。スリの少年達が住まう古ぼけた部屋も生活している息づかいが聞こえてきそうな程。オリバーを引き取る紳士の家はヴィクトリア様式の洗練された建物で清潔なベッドと美しく飾り付けられた廊下の装飾が、オリバーの貧しい暮らしとのギャップを目の当たりにさせる。
わずか9歳の少年が味わう労苦は現代からは想像もできないが、当時の救貧院の暮らしなど英国の下層階級の貧困ぶりは有名な話。逃げ出したものの流されるように悪い少年達の仲間に加わることになるオリバーだが、その無垢な心は汚されること
はなく、最後にフェイギンを牢獄に見舞った彼が、辛い目に遭わされながらも救ってもらった恩を感謝し「一度で良いから神様に謝って」という。気の狂ったようなフェイギンに「どうか赦してやって」と涙を流すオリバーの優しい心は、どんな環境に居ても挫けない強く美しい魂というものがあるのだということを観客に訴えていると感じた。
原作を読んでいる大人が観るには素直すぎる作品ではあるが、ポランスキーの、子供に訴え掛けられる作品を作りたいという気持ちが伝わってくる上質の映画。
OP・EDの挿画から実写へと映る映像が美しい。