Naked Heart

その時々の関心事をざっくばらんに語ります

「左翼」とは何か

2006年10月06日 23時33分45秒 | 時事・社会
ながのゆうきさんとのコメントのやり取りを通して(9月27日記事「死刑
執行拒否」
参照)、「右」「左」という区分が意味を持つのか、という疑問
をより強く感じるようになりました。これまでも意識はありましたが、それ
がはっきりと形を現わした、とでも言いましょうか。

「右翼」「左翼」の語源は、フランス革命時代の議会において、議長の
右側の席を保守派が、左側の席を急進派が占めたことに由来する、と
いわれています。
日本語でも「保守」「革新」という言葉がありますが、フランス革命以来、
体制派(現状維持・伝統回帰)が「右翼」、民衆派(刷新・近代化・自由
平等主義)が「左翼」の基本概念であったと言ってよいでしょう。
「体制」「反体制」とは必ずしも一致しないようですが、いずれにせよ、
ある社会における対立軸があって、それについての相対的な対立構造
を表わすのがこの「右翼」「左翼」という言葉です。
ですから、「左翼」=「アカ」なんて図式は、全く普遍性を持たないわけ
ですし、「自分は右翼ではない。正論を述べているだけだ」なんて嘯く
人も、ご自分の思想を相対化できないお子様ぶりを露呈しているだけ、
ということになります。

尤も、日本人の一般認識として「左翼」と「共産主義」が結びついてるの
は、戦前からの思想統制の影響のみならず、共産党の過去の「功績」
への評価によるところも大きいと思います(正当かどうかは別として)。
しかし、現代において「資本主義」と「共産主義」は、もはやメジャーな
対立軸とはなりえておらず(ただしそのことは、必ずしも「共産主義」に
価値がない、ということにはなりませんが)、そのことを無視して固定化
した観念で物を言う人たちは、頭が超保守主義だと言わざるをえません。
なんて冗談はさておき、「リベラリズム」が「ブルジョア民主主義」から
「穏健左派」へ、さらに近年は「新自由主義」へと意味合いが変わって
いったり、その「新自由主義」が「改革」を叫んで、本来の革新が「守旧
派」呼ばわりされるのが今の社会です。固定化された「右翼」「左翼」
の区分には妥当性も、合理性もありません。
こういう言葉を好んで使う人は、自分と異なる考えを、ひとまとめにして
排除しようとしているように、私には感じられます。
もちろん、物事を理解する上で、共通項を見つけて分類し、名前を付ける
というプロセスも大事ですが、単なるレッテル(しかも借り物)というのは
いただけません。
「戦後思想・体制の克服」なんて言葉を口にする人も、首相をはじめ多く
見受けられますが、そういう人たちが案外、こうした「思考停止」に陥って
いるのは、皮肉なことですね。

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