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Naked Heart

その時々の関心事をざっくばらんに語ります

客観性の罪

2006年02月02日 22時44分38秒 | 時事・社会
先日の、公園でテント生活している「ホームレス」の住民登録を
認める判決や、その直後の大阪市によるテントの強制撤去の
ニュースを受けて、「ホームレス」への批判をあちこちで目にする
ようになりました。大体ネット上の「主張」は右寄りのものが多い
(目立つ)と以前から指摘されていますが、その傾向はますます
強まっているようです。
もちろん、一口に「批判」といっても、嫌悪感や差別意識むき出し
の「悪口」的なものと、客観的(第三者的)にホームレスの側の
問題点を指摘した「評論」タイプとがあります。私が信頼を置き、
いつも訪問しているサイトは、おおむね後者でした。それでも、
読んでて「この人までこんなこと言うの?」と思わずにはいられ
ませんでした。
「ホームレス」問題を正しく理解する上で、「ホームレス」の側に
ある問題も認識すること(明らかにすること)は必要かも知れま
せん。しかしそうした「事実」の指摘と、それを「評価(断罪)」
することとは別です。どのような「事実」を取り上げ、それをどう
「評価」するかは、その人自身の立場や思想が反映します。
一見「客観的」を装っていますが、最後は主観でものを述べて
います。決して「中立」ではありません(というか、完全な平等
が実現していない社会では「中立」な立場などありえません)。
もちろんどういう立場や思想を持っていようと、その人の「自由」
ではありましょう。しかし、良心的な人の義憤的発言である点
が私にやるせない感情を抱かせるのです。
「客観的」考察の結果「ホームレス」を批判して、どうなるという
のでしょう。「ホームレス」はそうまでして叩かなければならない
「悪」なのでしょうか。結局のところ「客観的」批判が、「社会的
弱者」を一層追い込むことになっているのではないでしょうか。
特定の組織や教条に拘束されないという意味での「不偏不党」
は私も賛同しますが、幻想でしかない「中立」的立場は、強い
者はますます強くなってのさばり、弱い者はさらに弱くなって
食いものにされる社会の現実を結果的に支持することになる
のです。
社会が右傾化する中で、戦後民主主義的な「平等」への批判
が強まっていますが、この国には「判官びいき」という文化が
あったはずではないでしょうか。弱者への「優しさ」を忘れて
競争原理一本で突き進むのは、「戦後」からの脱却ではなく
新たな米国文化への隷従にほかなりません。
「ホームレス」の次は「障害者」「ニート」とエスカレートしていく
のは目に見えています。「客観的」にものを言えるほど「他人
事」ではないと思うのですが。

ホームレス

2006年01月30日 04時46分57秒 | 時事・社会
ホームレス:公園への住所転居届認める 大阪地裁

 大阪市北区の公園でテント生活しているホームレスの山内勇志(ゆうじ)
さん(55)が公園を住所とする転居届を区長が受理しなかったのは違法と
して、処分取り消しを求めた訴訟で、大阪地裁は27日、公園での住民
登録を認め、処分を取り消した。西川知一郎裁判長は「テントの所在地は
生活の本拠としての実体を備えており、住民基本台帳法の住所と認めら
れる」と判断、「占有権がないことを理由に受理しないのは許されない」と
結論付けた。
 原告側代理人弁護士によると、公共用地の公園での住民登録を認めた
司法判断は初めてで、行政のホームレス対策に影響を与えそうだ。大阪
市は大阪城公園(中央区)など2公園で生活するホームレス22人のテント
を30日に強制撤去する計画だが、「不法占拠と住民登録は別問題」として
予定通り撤去する方針。
 山内さんは98~99年ごろから北区の扇町公園で生活を始め、00年ごろ
テントを設置した。知人宅に住民登録していたが、警察に違法性を指摘
されたのを機に、生活保護など住民サービスを受けやすくするため、04年、
公園を住所とする転居届を北区役所に提出した。区長は「私的な工作物
設置は公園の適正な利用を妨げる」と受理せず、市長も審査請求を棄却
したため、昨年提訴した。
 判決は、住民基本台帳法の「住所」について「生活の本拠を指し、客観
的に生活の本拠たる実体を具備しているか否かによって決めるべきもの」
と指摘。そのうえで、山内さんが不受理までの約4年間、同公園のテント
群にあるテントを寝泊まりの場所として占有し、食事の場所や居間として
利用、日雇い労働などが終われば戻るという日常生活を送っていたと
認定。さらに、「テントは四隅に杭が打ち込まれ、地面に固定された構造
物で、生活の実体を具備している」と述べ、同法上の住所と認めた。
 市側は「扇町公園のテント撤去に向けた努力をしており、占有権限の
ないテントはいずれ撤去され、定着性は極めて不安定」と主張。しかし、
判決は「占有権限があるかどうかは生活の本拠たる実体の具備とは本来
無関係」と退けた。【前田幹夫】

 村田匠・大阪市北区長の話 判決内容を十分検討したうえで適切に
対処したい。

 ◇法的にはあり得る
 ▽小早川光郎・東京大教授(行政法)の話 権限なしに人の家に住み
着いても安定した暮らしができていれば住所となることを考えても、今回の
判決は法的にはあり得る判断だ。しかし、公園に住み続けることは、利用
者や付近住民にとって迷惑かもしれず、どの程度まで居住を認めるかは、
住所としての法的評価とは別に行政が判断すべきことだ。

 ◇勝訴判決に原告「驚いている」
 原告の山内勇志さん(55)や支援者らは判決後に会見し「画期的な判決」
と評価した。山内さんは「勝てると思っていなかったので驚いている。生活
保護を請求しようと思う」と笑顔を見せ、「(大阪市が)大阪城公園の仲間
らを追い出そうとしているが、判決が暴力的な追い出しの歯止めになって
ほしい」と30日の強制撤去中止を訴えた。
 また、代理人の永嶋靖久弁護士は「ホームレスの多くは住民登録をあき
らめ、基本的な行政サービスから排除されている。市は控訴せず判決を
受け止めてほしい」と語った。【前田幹夫】

 ◇東京都、判決に戸惑いぎみ
 4500人のホームレスを抱える東京都は判決に戸惑いぎみだ。福祉保健
局の担当者は「そもそも、住民登録を求める理由がはっきりしない。住民票
は就職や部屋の賃貸契約などの際に必要だが、社会生活を営もうとする
なら公園に住む必要もなくなるのでは」と首をひねる。
 都は、都内5ヵ所の公園に住むホームレスを対象に、借り上げアパートに
格安の家賃で入居させ、就労を支援する移行事業を進めており、すでに
1000人余りが公園を離れた。担当者は「公園などを占有する生活は都民
とのあつれきも大きく、望ましい状態ではない。今回の判決で、公園に居住
する正当性が認められたわけではないので、引き続き生活基盤を立て直す
支援を続けていく」と話した。【猪飼順】

                  (毎日新聞 2006年1月27日 19時20分)


素晴らしい判決だけど、法解釈としてはどうなのかな?という懸念を持って
いましたが、「権限なしに人の家に住み 着いても安定した暮らしができて
いれば住所となる」のであれば、問題無しですね。
大阪市は「生活の実態を判断する基準が不明確だ」と困惑しているそう
ですが、調査の結果「生活実態が無い」と判断すれば登録を取り消すと
いう作業を、行政は実際にしているはずですけれども・・・。
もちろん、公園の所有者は立ち退き請求をする権利がありますし、条例等
で定められた公園の「適正使用」から外れていれば処罰もありうるわけで、
今後も公園に住み続ける権利を得たわけではありません。というか、いつ
までも住み続けたいと思っている「ホームレス」の人って、いないでしょう。
「追い出して路頭に迷わせようというのではなく、自立支援センター等への
移転を求めているのだから、反対するのは権利の濫用だ」といった批判は
絶えませんが、そもそも行政がすべきことは「ホームレス」が生まれない
ような対策であって、なってしまった後で「お上のお慈悲」みたいな支援を
されたって、当人はプライドを傷つけられて反発するだけでしょう。周辺の
住民とのトラブルはよくありますから「誰にも迷惑を掛けてない」とは言え
ないでしょうが、彼らは自力で生活しているわけで、「自立支援」なんての
も傲慢なネーミングだと思います。
職安に行ってみると、地方だからかも知れませんが、国の「雇用対策事業」
なんかも、時給いくらで3ヵ月間だけのバイトとかだったりするわけで、全然
対策になっていない単なるバラまきです。政府や日銀は盛んに「景気回復」
と言ってますが、そんなに仕事があるわけじゃなく、あっても就職できない
人はいつまでもできなかったりするわけで、「自己責任」と言うだけだったら
政府なんて無くてもいいでしょう。(公務員は仕事が無くなって困るか・・・)
仕事が無く保証人もいなければ、家は借りれない。家が無いと住民登録
できないから、健康保険にも入れないし、生活保護も受けられない。そこの
ところを放置しているから、こんな判決を出さざるを得ないわけで、これを
批判する人はまず行政の不作為を批判すべきでしょう。
今はみんな「他人事」と思っているのかも知れませんが、このまま「改革」
路線で行って格差拡大が進めば、「ホームレス」予備軍は増える一方です。
保険・年金未納者もかなりいますし、将来財政破綻する恐れもまだ消えて
いませんから、元気なうちはいいけど病気になったり年を取ったらどうなる
か・・・という人だって少なくないはずです。
それに、仮に自分は「ホームレス」にならずに済むとしても、「ホームレス」
に冷たい社会が自分に対してだけはいつまでも優しいとは限りません。
「情けは人の為ならず」って良い言葉があるはずの国なのにね。

少子化

2006年01月27日 00時00分47秒 | 時事・社会
世の中に完璧・オールマイティな人間はいませんから、その人に
対する評価もどこを見るかによって変わってきますが、ネガティブ
なイメージを持っていた人を再評価するのは、逆のパターンに
比べると稀な気がします(少なくとも私の場合は)。
最近では、経済学者の森永卓郎氏がそれに当てはまります。
森永氏のあの独特のキャラは、どうも好きになれませんでした。
彼が憲法9条擁護派だというのは知ってましたが、「TVタックル」
などで他の出演者から寄ってたかって叩かれ馬鹿にされる図は、
護憲派のマイナスイメージを増幅するだけのような気がして、
見るのが嫌でした。それに、昨年6月27日記事「BSE」に匿名で
書きましたが、彼は吉野家愛好家で「牛丼は伝統ある大衆食」
とTVで語り、米国産牛肉の輸入早期再開を訴えていました。
食の安全は彼の専門分野ではないにしても、経済学者なら
米国産牛肉がなぜ安いのかくらいはきちんと調べてから物を
言ってほしいと思って、それ以降彼の言動は無視していました。
しかし、「報道写真家から」というブログの中で彼を取り上げた
記事があって、そこに紹介されていた森永氏のコラムを読んで、
経済政策に対する分析の鋭さと、芯の強さを知って大変驚き、
そして彼を見直しました。

その森永氏のコラムの最新記事(1月23日)のテーマが少子化
対策だったのですが、これもなかなかユニークでした。そして
共感を覚えました。
私の周りの子持ち家庭を見ると、3人以上子どもがいる家庭が
意外と多くあります。よく「3人目の壁」とか言われ、3人目から
手当などが支給(増額)されていますが、産む人は結構産んで
いる、というのが私の実感です。むしろ、1人子どもがいて2人目
で悩む人や、子どもがいないカップルのほうが多いと感じます。
(我が家もそうだし。)
森永氏はコラムの中で、「生涯完結出生児数」(結婚して生涯に
生む子供の数)は1987年の2.19から2000年は2.14とほとんど
下がっていない(合計特殊出生率は1.69→1.36)ことを明らかに
しています。
要するに、結婚しない(できない)人が増えたことが少子化の
最大の理由なのです。
「負け犬男性」に限定した論理展開や、終身雇用制度の復活を
解決の切り札とする辺りは、同意しかねる面もありますが、その
場しのぎの小銭ばらまきではなく、所得控除や社会保障の拡充
によって崩壊しつつある「家庭」を再生させなければ、根本的な
解決には至らないでしょう。
(なんて言うと「封建的」とか批判されそうですが・・・)

そういえば、猪口邦子少子化担当相が「フリーバース(出産費
無料化)を広く検討することは視野に入る」などと訳の分からぬ
発言をしてましたっけ。大学教授も政治家になった途端、政治
用語を使うようになるんですね。
現在でも30万~35万円ほど健康保険から支給されてますから、
地域によっては多少足が出るにせよ、贅沢言わなければさほど
変わらない気がするのは私だけ? これで健保の財政状況が
改善されれば社会不安は減るのかな。でもその分国の歳出は
増えるから、いずれは増税されるわけだし。
3歳未満の乳幼児に対する「育児手当」の新設や6歳未満の
乳幼児への医療費無料化なんてのも、自治体独自にやってる
ところが多いですから、結局歳出科目の付け替えに過ぎないん
ですよね。今まで受けられなかった高所得者とかには朗報かも
知れませんが。
それよりも給食費を含めた義務教育の完全無料化とかのほうが
効果的な気がしますが。(財源の問題はありますけど。)

続 BSE

2006年01月22日 00時53分20秒 | 時事・社会
<米国産牛肉>禁輸が長期化する可能性も
【ワシントン木村旬】日本に輸出された米国産牛肉への特定
危険部位の混入は、除去義務があることを政府の検査官が
知らなかったという、お粗末きわまりない原因で起きたことが
明らかになった。日本向け輸出の条件を守るために米政府が
作った「輸出プログラム」の根幹が揺らぎ、日本の消費者の
不信感がいっそう強まるのは必至だ。日本側が納得するよう
な対応策を打ち出せなければ、禁輸が長期化する可能性も
出てきた。
 問題の牛肉は生後4ヵ月半未満。米国では30ヵ月未満なら
脊柱(せきちゅう)(背骨)など特定危険部位の除去義務は
ないが、日米の合意で日本向けは除去する必要がある。
輸出した米食肉業者「アトランティック・ビール・アンド・ラム」は
「輸出条件を誤解した」と釈明し、「二重基準」を十分理解して
いなかったことを認めた。
 ただ、同社には政府の検査官が常駐し、違反を指摘すること
ができた。しかし、検査官も「脊柱の除去義務を認識していな
かった」(ジョハンズ米農務長官)。チェック体制は全く機能しな
かった。
 米農務省は昨年8月、食肉業者による特定危険部位の除去
義務違反(米国基準)の摘発が1036件にも上ったことを公表
した。業者の不手際は以前から多発していたわけだが、同省
は「食肉として流通していない」と安全性を強調していた。
 ところが、今回はお目付け役の検査官までが失態を演じ、
事態は深刻だ。農務省の認定を受け、日本向け輸出が可能に
なったのは40施設(20日現在)だが、他の施設にいる検査官は
大丈夫かという疑いも生じる。
 これを受けて、ジョハンズ長官は再発防止策を急ぐ方針を
表明し、検査官の増員や再教育などを強調した。「低姿勢」で
臨み、早期の輸入再開にこぎつけたい考えとみられる。
 だが、米国では昨年、BSE(牛海綿状脳症)検査でいったん
「シロ」と断定した牛が「クロ」と覆ったり、BSE感染の疑いの
ある牛が長期間放置されたりと検査体制の不備が相次いで
判明した。日本の消費者の不安は簡単に解消されそうにない。
 一方、日本の輸入停止を受けて、米畜産業界や議会からは
米国産牛肉の安全性を強調し、早期再開を期待する声が次々
と上がった。今年秋には米議会の中間選挙を控えており、
輸入停止が長引けば、対日批判が再燃する恐れもある。
 ■輸出プログラム違反があったら……
<米国の対応>
・虚偽申請には米連邦刑法で懲役や罰金
・プログラム実施での違反には輸出資格の停止や取り消し、
製品回収など
<日本の対応>
・違反があった施設からの輸入を停止
・重大な順守違反が繰り返されるようなシステム全般の問題
なら全面輸入停止
                       [毎日新聞1月21日]


起こるべくして起こったというべきか、懸念されていたことが
早々と起きてしまいました。小泉首相の第一声は「輸入が
再開したのに、残念ですね。」だったそうですが、むしろ早く
見つかって良かったという気がします。
今回は成田空港での検査で見つかったわけですが、コストが
高い空輸で入ってくるのは、検査用のサンプルなどごく一部
です。つまり、市場に出回る肉の抜き取りではなく、最初から
そのために取り分けられていた物でこの有様なわけです。
私も経験ありますが、チェックが入ると分かっている場合、
企業は間違いがないように十分気をつけたサンプルを用意
するものです。それが出来てなかっとなると・・・と思っていた
ら、上の記事のような続報が入って、納得。
しかし、米国人はこんな危険な肉を食べさせられてるわけ
なんですね。「日本に入って来なければOK」で済ませては
いけないと思います。
米国で急増するアルツハイマー患者の何割かは、実は変異
型ヤコブ病ではないかという疑いも出てきています。
イギリスにほんの少し滞在してただけで感染・死亡した日本
人もいましたね。まだ解明されていない点も多いですけど、
化学物質や遺伝子組み換え作物以上に危険なようです。
政府は、他の輸入牛肉は安全だとして、追跡調査は行なわ
ないそうです。自分の身は自分で守るしかないのでしょうか。

翌日開票

2006年01月20日 23時37分45秒 | 時事・社会
しばらく平和学習レポで通すつもりでしたが、時事ネタは鮮度も
大事なので、ちょっと中断して最近気になった話題を。

横浜市長選の翌日開票 費用対効果めぐり波紋
                        (2006.1.14 東京新聞)
 3月12日告示、26日投票の横浜市長選が翌日開票と決定された
ことに、波紋が広がっている。竹中平蔵総務相は13日の記者会見
で、「可能な限り即日開票が望ましい」と指摘。松沢知事も既に
「財政論を超えた速報の重要性を含め考えるべきだった」と批判し
ている。一方、市は3200万円の経費削減になるとし、中田市長は
市選管の判断を評価している。選挙結果を速やかに明らかにする
ことは民主主義の基本だが、半日の遅れと3200万円の経費削減
の重さをどうみるか。決定後もさまざまな意見が飛び交っている。
                              (金杉 貴雄)
 市選管事務局によると、昨年11月の会議で「26日投開票」と
いったん決定。しかし、12月の会議で翌日開票を検討することに
なり、今月10日の会議で変更を決めた。だが選管の会議は公開
されておらず、急に決まったため、その後さまざまな意見が出て
いる。
 総務省は、統一地方選では各自治体に可能な限り即日開票を
行うように通知している。選挙部管理課は、「横浜市長選のように
統一選をはずれた選挙では特に通知はしていないが、即日開票が
望ましい」としている。
 公選法上は「選挙結果を速やかに知らせるように努めなければ
ならない」と定めた上で、開票を「投票の当日またはその翌日に
行う」としており問題はない。だが、同課は法の規定を「投票終了後
できるだけ早く開票を始めるということ。『翌日』とあるのは、地域が
広かったり人手が足りなかったりするなど、やむを得ない場合を
想定してのこと」と説明する。
 ただし、総務省の通知にかかわらず、統一選では東京都内の
九区長選が翌日に開票している。統一選以外でも葛飾区や八王子
市が実施。いずれも横浜市同様、経費削減が狙いとみられている。
 2000年、04年の市長選で翌日開票とした八王子市選管は「市民
からはいいとも悪いとも反響はない」と淡々と語る。同市の経費削減
額は500万円。「費用対効果で半日早く知らせることと、この経費
削減のどちらを取るかの問題」。ただ2回とも接戦ではなかったといい、
「選挙が白熱すれば『早く知らせるべきだ』という声が寄せられるかも
しれない」とも話している。
 横浜では市議から「財政を考えればやむを得ない」との意見の一方、
「できていることを後退させるのはおかしい。選挙は民主主義の根幹
で、経費削減は他の工夫でやるべきだ」との批判も上がっている。
市長選には中田市長をはじめまだ誰も正式に出馬表明をしていない
が、「市長が翌日開票を評価したのは、勝敗が気になる選挙にはなら
ないのではという“余裕”では」と深読みをしてみせる市議もいた。
 翌日開票では、投票箱が区ごとの開票所に集められ、警備員に
守られて一晩過ごす。費用は計80万円。開票は午前9時から始まり、
午前中に終了する。市職員2800人が開票にあたり、平日の通常業務
をやりくりして集められるという。
 選挙制度に詳しい日大の田中宗孝(むねたか)教授は、「いち早く
知りたいか、いくらかの経費削減の方がよいかは人により考えが違う。
基本的に自治体の判断だ」と指摘。「ただ、多数の職員が通常業務
からはずれることができるのは、普段から職員が余っているということ
なのか。実際に市民サービスが低下しないのかどうかは気になる」と
している。


この問題、注意して考えないといけません。メディアは早く結果を報道
したい側ですから、自分たちに都合のよい論理を立てている可能性が
あります。特に新聞の場合、翌日開票になると、結果を載せれるのは
翌日の夕刊か翌々日の朝刊になり、テレビに大きく遅れを取るわけ
ですから、なおさらです。
メディアが商業主義に陥った結果、調査報道が減ってスクープ合戦に
走るようになって久しい中、私たちも速報性が重要であるかのように
錯覚しているかも知れません。一寸立ち止まって考え直すには良い
機会ではないでしょうか。
「知る権利」はもちろん大事ですが、私たちが知るべきことは選挙結果
の他にもたくさんあります。それが正しく適切に伝えられているかを
問うこと無しに、この問題だけの是非を論じても無意味でしょう。
例えば行政は、住民からの情報公開請求に全て即日回答をしている
わけではありません。「選挙結果は民意の表れ」と言っても、喫緊の
課題に対する住民投票ではないのですから、速さが最優先にされる
必然性にはつながりません。むしろ時間をかけて結果を冷静に分析
することこそ、ジャーナリズムに求められることではないのでしょうか。
一方で国民に痛みを強いる「改革」を次々に推し進めて(メディアも
それにエールを送って国民を煽って)おいて、こういう時だけ国民の
「権利」まで持ち出して既成のルールを守ろうとするのは、姑息な
気もします。そもそも国が、投票率アップを図るために投票時間を
延長したのが、この問題の根っこにあるわけですし。
国が即日開票にこだわるのは、公務員削減の切り札であり、新たな
公共事業の素でもある電子投票システムの導入を実現したいという
思惑があるから、とも推測できます。
日大の田中教授の指摘は、なかなか痛快ですね。職員が余ってるの
なら、職員を減らすことが一番の経費削減なわけですから。しかし、
世間で言われるほど公務員が多すぎるとは私は思いません。行政が
できること、すべきことはまだまだたくさんあるはずです。人員が適正
に配分されていない、というのはありますけどね。
そうだ、開票作業に自衛隊を派遣するってのはどうでしょう?

公務員は減らすべきか

2006年01月08日 04時20分06秒 | 時事・社会
8日の夜は予定が入ってますので、今のうちに記事を書いておこう
と思います。

政府は国家公務員を2010年度までに5%以上純減させることを決め、
今必死に数合わせをしています。
民営化が決まった郵政公社職員を除くと、国家公務員は68万7千人
ですから、5%で3万4千人強ということになります。元々、自衛官も
除いた定数の10%(3万3千人強)削減を04年に打ち出していました
から、経済財政諮問会議の答申(中央省庁のみ5%削減)から踏み
込んだように見えますが、実は元に戻っただけの話です。もっとも、
自衛官についても定数未達分以上に純減を求めた点は、私は評価
しています。(自衛隊は発足以来、一度も定員を満たしたことがありま
せん。現在も定員25万3千人に対し実数23万9千人で、この差だけで
5%を上回ります。)
ところで、独立行政法人の職員の人件費も元は政府の補助金です
から、そちらも減らさないと意味がありません。しかも、総務省の調べ
では、独立行政法人職員の給与は、国家公務員より7%も高くなって
いるとか。「行政改革」は見せ掛けだけで、実際は全く手付かずだった
わけです。なので今度こそ本気で取り組んでほしい、と言いたいところ
ですが、果たしてそれでいいのか、気になる点もあります。

政府は地方にも5年間で4.6%以上の人件費純減を求めていますが、
地方公務員は既に11年連続減少しており、ピーク時(94年)から24万
人も減りました。国と同じく、独立行政法人や外郭団体への「異動」も
少なくありませんが、すごい人数です。かつて、自衛隊廃止を訴えると
「自衛官の生活はどうなる」と返ってきたものですが、自衛隊員に相当
する数の公務員が名目上は約10年で減ったわけです。
ちなみに、94年当時の失業者数は約200万人です。現在は、02~03
年のピーク時よりは減ったものの、300万人前後です。民間企業では
本当のリストラが相次いで、単純計算で100万人失業者が増えている
のです。
デフレ脱却が求められる中、賃金切り下げは望ましくないにしても、
人件費削減と雇用の確保の両立を図る施策を探らなければ、庶民の
生活は良くならないでしょう。
団塊世代の大量定年と人口減少で、失業問題は放っておいても解決
する、という楽観論もありますが、不況下の雇用抑制とフリーターの
増加で、製造業では技術後継者が育っていないなど、深刻な問題を
抱える企業も多く、熟練者の再雇用や定年延長が相次いでいます。
年金の支給繰り延べの影響もあり、すぐには雇用状況が改善するとは
思えません。本来こういう時こそ政府の出番ではないのでしょうか。

また、定数削減のあおりを受け、文部科学省の第8次定数改善計画
(来年度から5年間で教職員1万5千人を増やし、定数を上回る教員
配置(加配)を充実させることによって少人数指導や不登校対策、軽度
発達障害児への対応など、ますます複雑化する学校現場の問題に
手を打つ構想)も頓挫しそうです。事件が起こるたびに叩かれ、思想的
にも締め付けが強化され、現場は本当に大変です。心身を病んで休職
する教師も続発しています。その上「学力向上」を大義名分に授業時間
が増やされるというのに、金も人も減らす。「米百俵の精神」はどこに
行ったのでしょうか。
(「こめひゃっぴょう」を変換しても「米百票」しか出てきません。これって、
マイクロソフト社のブラックユーモア?)

先の総選挙で野党が言ってましたが、公務員の数の人口比は、日本は
先進国の中で最も少ないのです。そしておそらく、行政サービスの質も
最低ランクでしょう。
効率の良い、効果的なサービスとは何かを政府自身が問い、国民に聞く
こともなしに、「小さな政府」「官から民へ」と耳ざわりの良い言葉だけで
国民を欺いて、政府の責任を放棄しているのが、今の「改革」にほかなり
ません。(米国の言うことだけはよく聞いてますが。)
本当の改革がしたければ、大臣報酬をゼロにすることから始めてはどう
でしょう。政党助成金にも上限を設けるとか。

文民統制

2005年12月29日 03時48分52秒 | 時事・社会
昨晩(27日)も娘と一緒に寝てしまい、今日(28日)はちゃんと書こう
と思ってましたが、久しぶりに会った友人と食事に出かけて、午前様
になってしまいました。
私の仕事は正月休みに入りましたが、娘も保育園が休みになるし、
大掃除に帰省の準備と明日は慌しい一日になりそうです。
早く終わらせて寝なくちゃ。

度々ネタに使って、夏目氏には申し訳ありませんが、12月10日記事
「表現の自由の危機」のコメントのやり取りに出てきた「文民統制」に
ついて今日は書きたいと思います。
夏目氏のコメントに「文民統制」が出てきたのは、次の部分です。
「自衛官自身にイラクに行くなという事は、上司の命令を無視しろと
言う事でもあり、文民統制を否定する事に繋がりかねません。阪神
大震災の際、準備は万端だったのに出動が遅れたのも、出動命令を
首相がなかなか出さなかったからです。周囲がどのように騒いでも、
選挙という形で選ばれた国民の代表が決めた事ですから、公務員で
ある彼らにこれを拒む事も、勝手に先走る事も出来ないはずです。」

このコメントについて触れる前に、まず「文民統制」とは何かを確認
しておきたいと思います。
「文民統制」とは、日本国憲法第66条2項の「内閣総理大臣その他
の国務大臣は、文民でなければならない」という規定のことです。
では「文民」とはどのような人かといいますと、現在の政府見解は、
「旧職業軍人の経歴を有する者であって、軍国主義的思想に深く
染まっている者でない者」となっているようです。岸信介元首相や
中曽根康弘元首相も、これには該当しなかったことになっています。
(それなら誰が該当するのか、不思議でなりませんが。)
自衛官経験者も、長く例がありませんでしたが、第一次小泉内閣で
中谷元氏が防衛庁長官に就任しました。
日本国憲法に文民統制が盛り込まれたのは、先の戦争が「軍の
独走」の結果であったという反省に基づいてです。大日本帝国憲法
では統帥権は天皇に属しており、軍はこれを盾に自分たちの利益の
代弁者を大臣に送ったり、政府の方針が気に入らなければ大臣を
出さずに内閣を流産させたりして、事実上政治の実権を握り、戦争を
推し進めていきました。
また、この規定は、9条の戦争放棄・戦力不保持と併せて、軍国主義
を一掃することで、「日本は二度と戦争をしない」というメッセージを
世界に向けて発する、という意味合いも含まれていたと思われます。
GHQ及び米国政府が、中国や旧ソ連の批判をかわして天皇制を残す
ために徹底した民主化・非武装化を日本に要求した経緯を考えれば、
あながち「読み込み過ぎ」でもないでしょう。
さて、夏目氏のコメントですが、「文民統制」が公務員一般ではなく、
軍人に対するものである、という点を考慮しても、「派遣命令拒否」が
「文民統制否定」に繋がるというのには、論理の飛躍があります。
海外派遣は自衛隊の本務ではありません。ですから後から「特措法」
等を作ったところで、それ以前に入隊していた人にとってはある意味
「労働契約に反する」ことになります。
また、公務員といえども思想信条の自由はあります。「良心」に基づく
拒否を否定し、「命令には絶対服従」を強要するのは、それこそ軍国
主義的発想にほかなりません。
そして、この点が最も重要なのですが、「文民統制」の精神・背景を
考えれば「軍事行動の拒否」こそがその実践であり、「文民統制の
否定」とはむしろ正反対の行為であると言えます。
歴史を見ても、上海事変の後、現地の司令官は停戦を計ろうとした
にも関わらず、当時の広田内閣が大援軍の派遣を決定して戦線を
拡大させ、悪名高き「南京事件」へと繋がっていった事例があるよう
に、「文民」だから、国民の代表だから、常に正しい選択をしている
とは限りません。それに異を唱えられるのは選挙の投票の時だけ、
というのでは、本当の民主主義とは言えないでしょう。
ちなみに、イラク派遣当時の防衛庁長官は、衆議院の憲法調査会で
「徴兵制は苦役には当たらず、違憲ではない」と、政府見解と異なる
発言をしたことで知られる石破茂氏です。石破氏は在任中に「防衛
参事官制度」見直しを柱とした防衛庁設置法改正などの検討を指示
するなど、「文民統制」廃止論者と見られています。
(閣僚ではなく「文官」の権限縮小ですので直接的には憲法条文に
触れないにしても、官僚が行政の中核を担っている現状や、背景に
制服組の背広組に対する不満があることを考えれば、「政治の後退」
と受け取られるのも当然でしょう。)
本当に「文民統制を否定」しようとしているのは誰か、しっかりと見極め
なければなりません。

耐震強度偽装問題

2005年12月11日 23時43分06秒 | 時事・社会
「情報化社会」と言われ、ネットを通じて自由に情報収集が可能な
時代になったようですが、関心のある分野以外の情報に触れる
機会は却って減ってしまった気もします。しかも誰もが自由に情報
発信できるようになり、既存メディアの商業主義化も相まって、
信ずるに足る確かな情報を見出すのも大変だったりします。
それでも、これまで思いもしなかった意見に出会ったり、ネットが
無ければ知ることは無かったような情報を得たりするから、ネットは
やめられません。(中毒かも・・・)

このところ世間を賑わしている事件の一つ、「耐震強度偽装問題」
なども、ネットのおかげでずいぶんいろんなことを知り、考えさせられ
ました。
少なからぬ指摘があったのは、今回の事件は氷山の一角で、建築
基準を満たしていないケースは多々あるということです。
バブル崩壊後の不況下でのコスト削減圧力を指摘する記事が目立ち
ましたが、過去に問題となった橋やトンネルの手抜き工事などでも
明らかなように、安全性は二の次にされる風潮は昔から変わらずある
ように思います。正直、第一報を聞いた時の私の感想は、「まさか」
ではなく「とうとう出たか」でした。
もちろん、真面目に仕事をしている業者・役人も大勢いることは知って
います。ゼネコン大手や霞ヶ関にも友人がいますが、彼らの仕事を
疑う気はありません。でも、不正や癒着はごく一部のおかしな奴の
個人的犯行、と信じるほど世間知らずでもありません。今回、それを
裏付けるような情報に何度か出会いました。
それから、政官財癒着の構造。なぜ建築確認を民間に任せるのか、
しかも検査機関が大手建築会社の出資を受けた株式会社だったり
するのも、納得できる説明はありません。今回槍玉に挙がった企業
からは政治献金があったことが報じられてましたが、表に出てこない
カネの流れの噂もあります。
さらには、姉歯建築士やヒューザー、総研と創価学会との関係など
も伝わってきました。まあ、この辺になると事件との関連性が多少
怪しくなるというか、同じ宗教者として「言いがかり」だったら見過ご
せないという気持ちもありますが、話の筋は通った「疑惑」です。
そんなわけで、今のところ姉歯建築士の資格取り消しという、どう
でもいいこと以外は責任追及に手を付けず、マンション住民への
支援策だけが進められています。この点について、私が目にする
限り、「真相究明と責任追及が先だ」「結局企業を利する公的支援
には反対」という論調がほとんどでした。
しかし私は、「責任追及」と「住民対策」は「どちらが先か」ではなく
同時進行で進めるべきものだと思います。それが出来ないなら、
イラクに自衛隊を派遣したり靖国神社に参拝したりする余裕なんて
無いはずでしょ? 肝心なことが出来ない政府なら要りません。
何なら国土交通省を丸ごと民営化したらどうでしょう?
それから、「公的支援」の問題は、今回のケースだけで是非を論ずる
のではなく、犯罪被害者救済の制度を整備する第一歩として議論を
進めるべきです。個人に対しては死刑があり、「被害者の心情への
配慮」が死刑制度存続の大きな理由になっているのに、企業犯罪
には甘いというのでは筋が通りません。また、「個人の財産に国は
関与しない」と言いながら、「精神的救済」のために個人の生命を
国が奪うのも、おかしな話です。直接公金を支出しないまでも、
基金を設立するなどして「経済的救済」措置を確立すべきでしょう。
そして、厳罰主義に犯罪抑止効果があるという立場ならば、悪質な
業者には倒産による責任逃れを認めない、責任者の今後の経済
活動を制限する、といった「改革」をすべきでしょう。
それでこそ、真の「国民政党」「生活者の党」だと思うのですが。

表現の自由の危機

2005年12月10日 13時10分22秒 | 時事・社会
立川反戦ビラ配布 市民運動3人に逆転有罪

 自衛隊イラク派遣反対のビラを配るため、東京都立川市の
防衛庁宿舎に無断で立ち入ったとして住居侵入罪に問われ、
東京地裁八王子支部で無罪判決(求刑懲役六月)を受けた
市民団体のメンバー大洞俊之(48)、高田幸美(32)、大西
章寛(32)の三被告に対する控訴審判決が九日、東京高裁で
あった。中川武隆裁判長は「ビラによる政治的意見の表明が
言論の自由で保障されるとしても、宿舎の管理権者の意思に
反して立ち入ることはできない」と述べ、一審の無罪判決を
破棄し、大洞、高田両被告に二十万円、大西被告に十万円の
罰金刑を言い渡した。三被告は判決を不服として上告した。 
 中川裁判長は、宿舎に関係者以外立ち入り禁止の表示が
ありながら、三被告がビラの投かんを繰り返したと指摘。
 「被害の程度が軽微だったとはいえず、罰することができる
違法性がないとはいえない。表現の自由が尊重されても、
他人の権利を侵害して良いことにはならない」と述べた。
 一審判決は「立ち入り行為は住居侵入罪の行為に該当する
が、刑事罰に処するほどの違法性は認められない。ビラ投かん
は憲法の保障する政治的表現活動」として、三被告に無罪を
言い渡した。
 検察側は控訴審で「居住者はビラで不安感や不快感を抱いて
いた。思想を外部に発表する手段でも、他人の権利を害すること
は許されない」と主張した。弁護側は「三人の起訴は公訴権の
乱用」と無罪を求めた。
 判決によると、三被告は昨年一月、自衛隊宿舎の敷地に入り、
各戸の新聞受けにビラを投かんした。大洞、高田両被告は同年
二月にも投かんした。
 立川のビラ配布事件以降、警視庁管内では少なくとも六人が、
政治的なビラを配布して住居侵入容疑などで逮捕されている。

                          (東京新聞)


要するに「政治的表現活動の自由」は「経済活動の自由」より
下位にある、ということなのでしょう。飛び込み営業や、チラシや
フリーペーパーの配布で逮捕された、という話は聞いたことが
ありませんから。
自民党が財界の利益代表である以上、分かりきった話では
ありますが、ここまで露骨に「思想弾圧」がなされる世の中に
なってしまったのですね。
「他人の権利を害することは許されない」って、ビラくらいなら
読まずに捨てれば済む話だと思うのですが。この論理でいけば、
街宣もメディアでのアピールも、当局の裁量ひとつで「不許可」
になりうるわけですから、恐ろしい話です。
まあ、住居侵入は一応違法行為ですし(でも、玄関先や、集合
住宅の共有部分は、用事がある人間なら入っていい場所だと
思うのですが)、物騒な事件がたびたび報じられて社会不安が
広がっている昨今ですから、厳しく取り締まる姿勢をアピール
する狙いもあるのでしょうが、犯罪目的ではない行為に実刑を
課す必然性について、このたびの判決は説明不足だと感じます。
これを許せば、次は雑誌ジャーナリズム、そして報道機関にも
いずれ規制が及ぶでしょう。
情報統制時代の再来? ああ、やだやだ。
良心的ブロガーの連帯に、私も加わらなきゃ。

生命は守られているか?

2005年12月09日 23時27分14秒 | 時事・社会
今朝の朝刊の隅っこに、こんな記事を見つけました。

陣痛促進剤で127人が死亡

 陣痛促進剤の投与により92年10月から今年9月までに全国で
少なくとも210件の事故が起き、赤ちゃん100人と母親27人が死亡
したとの調査結果を、市民団体「陣痛促進剤による被害を考える会」
(愛媛県今治市、出元明美代表)が8日までにまとめた。
 同会は「医師の知識が不十分で安易に使われている」としており、
結果を厚生労働省に伝え適正使用の徹底を求める。
 同会への相談などを基にまとめた。被害は39都道府県で、死亡例
のほかに脳性まひなどの後遺症を負った子どもが68人、植物状態
などになった母親が5人いた。
 旧厚生省は92年10月と93年3月に医師向けの文書を改訂。
投与量の制限や、母子の状態を装置で継続的にチェックすることが
盛り込まれた。
 陣痛促進剤は効果の個人差が大きく、母親の子宮破裂が起きたり、
胎児の頭が強く圧迫され仮死状態で生まれ死亡する場合がある。
 出元代表は「必要がないのに、病院側の都合で分娩(ぶんべん)を
誘発させるために使われるケースもある」と指摘している。

                 日刊スポーツ[2005/12/8/21:37]


少子化や不妊が問題となってる中で、ようやく芽生えた小さな生命
や母体が大事にされていないのではないか?と思えてなりません。
本人が希望するケースもあるのでしょうが、病院側の都合でなんて、
本当に許せない話です。
私は「生命は神様から与えられるもの」と信じているからもちろんです
が、そうでなくても、可能な限り自然に近い形が人にとって最も良い
ということは理解してもらえるのではないか、と思うのですが、どうも
世の中の流れはそれとは逆の方向へ進んでいるようです。

日本は人工妊娠中絶が非常に多い国でもあります。
国が公表しているだけで年間30万件以上、実数は100万件を超える
という推計もあります。
その半分でも生まれてくることが出来たら、少子化問題はたちどころ
に解決するのではないかと思うのですが、そういう「対策」はどなたも
お考えにならないようで、大変残念です。
キリスト教界では「小さないのちを守る会」という団体が中絶を減らす
ために取り組んでいますが、里子の斡旋には法的な壁があったり、
クリスチャンの間でもこうした取り組みに理解が低かったりと、大変
苦労しておられます。
性犯罪の被害者など、望まない妊娠のケースはともかく、「産まない
権利」なんてのはそれこそ「自己責任」の放棄ではないでしょうか。
まずは「産みたくても産めない」人を支えることが、政治にも社会にも
求められると思います。