ご存じ、世阿弥の「風姿花伝」の有名な一節ですね。「初心」には意味が三つありました。皆さんも知っている「初めの心(気持ち)」の意味と、「初めの自分の実力」という意味。あと一つは・・・忘れました
私の初心はやはり高校演劇ですか。今から39年前に「幽霊学校」という台本で新入生歓迎公演をしたのが最初でした。それまで台本というものを手にしたことはありませんでした。しかし、必死ながらも楽しく演じたことを覚えています。演じるということは、私にとって極々自然なことだったのです。芝居好きの少年は、やっと居場所を得ることができたのでしょう。以来、何があっても芝居から遠のくことはありませんでした。就職をして朝から晩まであくせく働いていたときでも、俳優になることを忘れたことはありませなんだ。全ては芝居をするためという目標があったからやってこれたのです。そして、何もかも芝居に役立ちました。そういう見方しか出来なかったと言った方がいいかもしれません。
芝居(演劇)という世界は、私には特別な領域で、決して私情を挟めない世界でした。そういう意味で身を捧げていましたね。それは既に10代の頃から。初めて演じたのは子供の頃の「ごっこ遊び」でですが、演技として初めて意識してやったのは、前出の高校演劇ですね。あそこから始まりました。
皆さんの「初心」は、どこにありますか?