ミザンスって、なんざんす？

　　役者が立つ位置を「立ち位置」と言い、役者の位置と装置の位置を含めた全体の見場を「ミザンス（ミザンセーヌ）」と言います。

　我々にとって舞台は、フィールドであり、リングであり、コートであり、そして棲み家だったりもします。全方位的な「場」ですね。実は楽屋よりも居心地の良い場所なんです。戦場であり、マイホームでもある変な場所。居場所。自分の部屋なら隅から隅までわかる（感じる）でしょう。舞台が居場所になっちゃえば、そんな感じになってきます。こわい場所ですが、離れ難い場所。故郷のない私にとってはHomeなのかも知れません。
　二十代の終わり頃、暫く舞台から距離が空いた時期がありました。久しぶりに古巣のお手伝いで舞台に戻って来られた時、跪いて大ホールの舞台の板に「只今戻りました」と言った覚えがあります。

　私にそんな資格があるかどうかはわかりませんが、そんなふうに舞台を身近に感じておる次第です。