図書館の新刊コーナーで目に止まった書籍を、借りて読み始めた。確かこの著者も始めてであるが、作品の内容は、割と前回作品谷 甲州(たに こうしゅう)『パンドラ』と非常に似た所があるが、話のテンポとヒーロー的、個性的な登場人物により、圧倒的に楽しませてくれる作品です。最初の方はかったく感じたが、すぐ面白くなり、あっという間に読んでしまった。と言っても、通勤時間を利用してであるが・・・。
前回の谷 甲州(たに こうしゅう)『パンドラ』との比較になるが、おそらくこの作品ぐらいにまとめた方が読みやすいと思うのだが、人によって感じ方が違うだろう。私的にはSF作品として、久しぶりに楽しめた作品です。当然と言えば当然であるが、ハヤカワと言えばSFと言うぐらいで小中学校の時にかなりのSF作品を読んだ記憶があるが、この作品もハヤカワSFシリーズ Jコレクションとなっている。
おそらくこの作品が面白いのは、SF的な要素より、ヒーロー物にあるヒロイン(マザーズ教団のグランマ:葵飛巫子)を愛し、死んでまでも彼女を助けようとする4人のプロフェッショナル脳外科医:デニス・ノートン、人を動かせる(騙せる)才能を持つ財産家:飛鷹明人、天才電脳技師:イスマイル・ナンディ、恐怖の戦士:イリヤ・ジェルジンスキー3世と超電脳アテナがあらゆる困難を乗り越えて、その目的のために自己を犠牲にしてまでも邁進する姿に心を動かされる気がする。
一方でそのマザース教団の広報代行で後にマザーズ教団のグランマとなるチャンダニー・ダンミカ。そしてその妹エリナール・コンドラット・ダンミカ(テロリスト)が逆恨みで、飛巫子と4人の計画を阻止する鬼気迫る攻防戦であり、特にエリナールとイリヤ・ジェルジンスキー3世の戦闘は凄いものを感じさせる。
もちろんこの作品にも政治的な背景が多々出てくるが、簡潔で且つストーリのテンポも速い。結局最後は、目的を達成するが、4人とエリナールも亡くなる事になるが、彼らの意思を持って、飛巫子とチャンダニーはずっと人類のために尽くす事を決意する。
※と言う事で、今回は具体的な中身の話より、ストリー展開で、概要を説明してみました。
最も具体的な内容を説明すると、若年性アルツハイマーを発症する若者や子どもが急激に増加しているが、その原因は超弩級エネルギー宇宙線であり、地球上では、残り80年余りで人類が滅んでしまう事が予想されていた。既にこの若年性アルツハイマーを患っていたマザーズ教団のグランマ飛巫子は、これを阻止するために、軌道エレベータ(つまり、地球の軌道上であればこの症状が発生しない)を作る事を決意する。その為にたまたま出会えた4人のプロシェッショナルと創元な夢と人類の為に、尽くす事を決意するが、政治的圧力やエリナールのテロにより、何回も挫折をする。しかし4人の必死の応援と情熱で、目的を達成する事になる。4人ともなくなってしまうが・・・。
書 籍:ハヤカワSFシリーズ Jコレクション『マザーズ・タワー』 著 者:吉田親司(よしだちかし) 発行年:2008年7月25日初版発行 発行所:株式会社 早川書房 価 格:1,700円(税別) 縦2段組み316ページ+著者あとがき2ページ
<ハードカバー帯の紹介> 聖なる淑女に捧げる 太陽系最大の建造物
軌道エレベータ建造をめぐる戦いを描くアクション巨編!
架空戦記&ライトノベルの熱き俊英、初の本格SF書き下ろし!
<カバー裏のストリー紹介> 西暦二〇三八年、スリランカ--インド間を結ぶ巨橋を拠点とする《マザーズ教団》は、難病の子供たちの末期医療に専念していた。教団代表の葵飛巫子はインド州軍の襲撃を予測し、強橋を崩壊させて教団ごと避難する決意をする。攻撃開始のその日、それぞれの理由で巨橋に居合わせた4人の男たちは、飛巫子の素顔と、人類の未来を左右する真の目的を知った。 医学、財産、電脳、怪力-------それぞれの要素に恵まれた男達は、彼女の為と命と才覚の全てを賭け、太陽系最大の建造物・軌道エレベータの建造に挑む!架空戦記の俊英、初の本格SF。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます