社会不安障害:SAD、ボランティアとセカンドライフ

SADで会社を休職したが、一年で復帰し、無事定年を務めて、その後の生活とボランティアについて気ままに掲載中

谷 甲州(たに こうしゅう)『パンドラ』

2008-12-11 07:52:08 | 趣味(読書)

谷甲州氏の作品は、始めてである。例の如く、図書館で目に止まった書籍を、借りて読み始めたのが、事の発端であるが、SF物は久しぶりだ。且つこの書籍を読むのに通勤電車の往復時間を主に3週間もの時間がかかった。

最近では、読むのに速い作品では、1日で読破するのだが、さすがにこの作品は疲れた。ほどよく進展がどうなるのか?分からないままに且つ最後が予測できないままに、今までで最高に読むのに時間を費やした作品と思う。

おそらく、長編シリーズではあるが、私の性格上、全部読まないと気がすまない、つまり飛ばし読みはしない事にしている為、この作品にはかなり冗長的な部分や不必要な部分が多々あるのかも知れないと思う。以下に紹介した中にあるように政治的な要素とその背景にある国家の経済まで絡ませている事が、好みの分かれる所ではないかと思う。モットシンプルにSF的な要素に絞った方が、読みやすかったのではないかと私的には考える。

同じ長編シリーズでも、今まで紹介してきた作品では、此れほどの時間を費やして読んだ事がない。特に松岡圭祐氏や東野圭吾氏の作品も長編が多いが、あっという間に読破する。

しかしテーマと言うか、ストーリーのアイデアは、割と余り過去に例がなく、そういう意味ではなかなか楽しませてもらえた作品ですが、おそらく、テーマを絞り込めば、上下巻に分ける程の事はなかったのではないかと思う。

また、欲を言わせて貰えば、この物語の主人公と思われる朝倉博士の立場が上下巻を通して、どうも曖昧な位置づけになっているのが、気にかかる。どう考えても朝倉博士が主人公なのだが、何となく微妙な立場で描かれている気がした。

久しぶりに読んだSFの作品の性かも知れないが、朝倉博士が主人公と言うより、朝倉博士の目を通した(視点に立った)物語なのだろう。主人公は、誰だなど考える必要のない作品なのかもしれない。

パンドラ上.jpg書 籍:『パンドラ(上)』 発行年:2004年12月31日初版発行 初 稿:S-Fマガジン2001年2月号~2004年9月号まで掲載      全44回の内1回から23回までを加筆訂正し収録。 発行所:株式会社 早川書房 価 格:1,900円(税別) 縦2段組み443ページ

<ハードカバー帯の紹介> 突如、地球を襲う動物異変!
ある科学者が観測した動物の異常行動。 それは地球の命運を左右する凶変の始まりだった。

これは、谷甲州が到達した、ハードSFの巨北である。

<上巻カバー表紙裏のストリー紹介> 動物生態科学者・朝倉は、渡り鳥チョウゲンボウの異常行動を観測した。朝倉はそのことから恐るべき仮説を導き出す。しかしそれは地球の命運を左右する凶変の始まりにすぎなかった。人間の存亡を賭けた熾烈な戦いを描いて、人間存続の根源に迫る、究極のハードSF!

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パンドラ下.jpg書 籍:『パンドラ(上)』 発行年:2004年12月31日初版発行 初 稿:S-Fマガジン2001年2月号~2004年9月号まで掲載      全44回の内24回から最終回までを加筆訂正し収録。
発行所:株式会社 早川書房
価 格:1,900円(税別) 縦2段組み423ページ +著者あとがき3ページ

<ハードカバー帯の紹介> 人類は、滅亡してしまうのか!?
人類の未来を賭けた熾烈な戦いを、 科学、政治、哲学等、あらゆる事象を取り入れて描き、 人間存在の根源に迫った、現代の黙示録2500枚。

<下巻カバー表紙裏のストリー紹介> 異変をめぐる戦いは、地球の広範囲におよび、やがて宇宙規模へと拡大していった。人類は、さらに過酷な戦闘を強いられることになる。地球人類がかつて直面したことのない、恐るべき脅威とは? 来たるべき人間の未来を指し示す、黙示録巨編!

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動物生態学者の朝倉知幸は、渡り鳥のチョウゲンボウの集団が、常識では考えられないヒマラヤを超え、しかも食料補給の為の狩を組織的に行なった事実を観測し、チョウゲンボウ組織的な動きに疑問を持つ。 一方日本の宇宙航空研究開発機構の辻井汐見は(朝倉の友人)、日本のスペースシャトルで、宇宙ステーションに雄雌のラットを研究用に持ち込むが、この時に流星雨が降り注ぎ、宇宙ステーションが直撃を受ける。

朝倉は、マレーシアの研究施設で、日本で汐見と一緒にあったジャミィと再会し、獣害の調査に当たるが、そこで出会ったのは、知能を持って攻撃してくる猿だった。猿の集団をまとめ、マレーシアの奥地の村落を、襲撃殲滅し、周辺の住民を難民化したのは、ティムールと言う猿だった。その猿との遭遇で朝倉は、射殺するが、同時に自分も吹き矢の毒で重傷を負う。

流星雨により、宇宙ステーションの一部を破壊された為に、汐見らは一旦地上に行き返すが、その後再度、宇宙ステーションの調査の為にシャトルで、向かった時、残されていた宇宙飛行士は全員が死んでいた。なぜ?なにが起きたのか?

脱出用のポッドにいた生き残りの宇宙飛行士を見つけるが、地球外生物に犯され、ポッドで地球に脱出していった。オーストラリア近辺に落ちたと推測されるが、既に汚染が始まっていた。

獣害による被害は、マレーシアだけではなく、世界中に広まっていた。逆に人間の知能の低下(家畜化)も始まっていた。

これらは、パンドラ彗星による彼ら(地球外生物)の環境へ地球を帰る事 -> パンドラフォーミングであることを国連調査隊のリーダのタオ博士は発表する。この環境変化の中では、人類が生き残るすべはなかった。絶滅すると・・・。

パンドラが撒き散らした彗星雨により、獣害が発生し、過去の事例も含めシュミレーションした結果、起動を外れたパンドラが次に地球に戻ってくるのは60年後と予想された。

この60年後に合わせて、パンドラの地球への環境変化を阻止するための準備が進められる事となったが、汐見らが再び、宇宙ステーションに行き観測を続ける中で、新たな彗星、つまりパンドラと同じ軌道を取る彗星を発見する。あとから観測された、この彗星:パンドラ2は、シュミレーションの結果5年後に、地球にぶつかるか、彗星雨を降らせる事が予想された。

急遽、日本、アメリカ、ロシア、中国、インドの国でロケットを打ち上げ、宇宙ステーション上で、航宙ロケットを完成させ、パンドラ2に向かって航海し、パンドラ2を攻撃する計画に変更される。

この中で、最初の探査機として出発したのが、日本の『きりしま』であり、その搭乗員として、朝倉とジャミーが選抜されていた。

堂島自衛隊二等空佐が機長となり相沢警視がコマンダーで、出発した『きりしま』は、探査の中で、朝倉とジャミーの二人で、パンドラ2の探索の為にポッドで向かうが、パンドラ2の罠にはまり、ジャミーが取り込まれてしまう。

一方で、途中で知りえた探査の情報を、第2次探索隊であり攻撃隊でもある、中国の『長江』に伝えるが、結果パンドラ2に取り込まれてしまい、『きりしま』との戦闘となるが、何とか『長江』を破壊する事に成功する。

長江の持ってきたポッドを使って、朝倉と相沢警視はパンドラ2に向かうが、パンドラ2の攻撃により・・・相沢警視は亡くなり、朝倉も、パンドラの茶褐色の膜に覆われるが・・・。

パンドラ2の人類への共存への提案を断わった事により、パンドラ2は起動をはずれ、地球から遠ざかっていった。


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