京都社会保障推進協議会ブログ

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生存権裁判第8回公判

2007年01月10日 16時00分51秒 | 事務局通信
傍聴記
 1月10日午前11時より、京都地裁101号法廷で第8回の公判が開かれました。かなり広い部屋なのですが、約80名の傍聴者にほぼ満席状態。問題の深刻さと関心の高さを現わしていました。
 公判の内容としては、前回までの論争によって被告側の政府・厚労省が、生活保護の「老齢加算廃止」の根拠とした資料を提出したことを踏まえ、原告側弁護団が全面的な反論・批判を加えるものとなりました。
 内容の一部を紹介してみますと・・・
年収額で下位10㌫の人々の消費生活動向を厚労省は、「老齢加算廃止」の根拠としているが、それはあまりに低く、不当な基準であること。それが強いてはナショナルミニマムの崩壊にも繋がることなども指摘し国の不当性を明らかにしました。
 また、検討された委員会の委員の間にも、老齢加算廃止の根拠とされた「中間とりまとめ」を作成したやりかたそのものに、「検討経過の無視、事務局の強引なやり方」に対する批判が少なからず存在すること。何より、「老齢加算を廃止するなら何らかの代替措置が必要」と明確に主張した委員もおり、「中間まとめ」そのものが但し書きも含めて素直に読めば、老齢加算廃止の根拠にはなりえないものであること等も明確に論証されました。
 更には、今回までに公判に提出された「資料」も、本来、「老齢加算廃止」検討のためではなく、生活保護基準そのものを検討するための資料として委員会に出されていたものであることなどが、次々と明らかにされました。
 今後は、保護世帯の生活実態を裁判所が直接、現場で検証することを実現させることなどが重要になってきます。

 公判後、弁護士会館で行われた報告集会では、原告の1人の女性が、「以前は毎晩眠る時にこのまま死ねたら、と思っていた。今、母親の看病をしていて初めて生きていて良かったと思えている。生存権裁判と支援の皆さんから力をもらっているおかげだ」と発言され、参加者に感銘と確信を与えてくださいました。

 今、国は生活保護そのものの切り下げを画策しています。一方で生存権裁判は今、毎月全国のどこかで提訴され、次々と広がっています。
京都での次回公判は、3月8日木曜日午前11時からです。支援の署名の幅広い集約と傍聴へ、更に闘いの輪を広げていきましょう。