スズキ ゲンさんのブログ

立命館の再生を願って

NO76 立命館2030ドラフと総長選挙規程改定とかかわって

2018-02-18 20:50:45 | 立命館の再生を願って
NO76『学園ビジョンR2030ドラフト』と『総長選挙規程および同施行細則の一部改正(案)』の全学討議とかかわって
 2018年2月19日 元立命館総長理事長室室長・ジャーナリスト 鈴木元
目次
 はじめに
(1)全学の英知をどう扱うか、「R2020」では書かれていなかった大阪茨木キャンパス(OIC)等が強行され学内混乱と財政困難がもたらされた。
(2)「財政政策」と「学生定員政策」はどうするのか
(3)2014年の総長選挙・副総長選任、2017年の理事・理事長選挙で手段を選ばない暴挙を働いてきた森島専務(当時)。
(4)総長選挙規程の改悪を提起。またもや、むざむざと森島理事長の姑息な謀略に乗せられ取り返しのつかない事態を作ってはならないだろう。

はじめに
 私は、本シリーズの昨年7月29日付NO74で「理事長選挙の結果について」、そして10月18日付NO75で「新理事会体制発足にあたって」を記した。それ以降、約4カ月がたった。
 10月18日の常任理事会において「学園ビジョンR2030策定委員会」が設置された。その結果は1月17日の常任理事会に報告され、それを全学討議にかける旨が決定された。
合わせて2月14日の常任理事会において「総長選挙規程および同施行細則の一部改正に関する件」が提案された。これは学園の執行体制にかかわって極めて重大な改悪を提起している、これら二つの問題について論評する。
 (注)本シリーズは、インターネットで スズキ ゲンさんのブログ と検索すれば出てきます。
(1)全学の英知をどう扱うか、「R2020」では書かれていなかった大阪茨木キャンパス(OIC)等が強行され学内混乱と財政困難がもたらされた。
今回の「R2030ドラフト」の作成は、教員・職員・附属校関係者などの学内の現場経験者22名が討議してまとめられた。私はその内容の個々について今号においては論じない。しかし最大の問題は、その内容より実行を巡る問題であり、財政・学生定員政策である。
1)前回の「R2020」(2010年から2020年の計画)は2009年に確定され、2010年から実施されることになった。その主要課題は、教育・研究の質的向上と、衣笠キャンパスの狭隘問題を山之内上浄水場跡地含めて衣笠キャンパスの近くで解決することであった。(※)山之内浄水場跡地は2015年4月~京都学園大太秦キンパスとして開設。
ところが2010年7月、長田豊臣理事長、森島朋三専務、建山和由総合企画室長、志方弘樹財務部付管財担当部長の4名は「山之内上水場は開設まで2年以上かかり、2015年開設に間に合わない」との嘘までつき、「R2020」には記載されていなかった大阪府茨木市にあつたサッポロビール茨木工場跡地を購入し、竹中工務店に発注し新しい大阪茨木キャンパス(OIC)を建設するとした提案がなされた。このことによって学内は混乱し、今日に至るも取り返しのつかない不団結を作るとともに財政的困難をもたらした。大阪茨木キャンパス(OIC)がスタートし既定事実化していることと、その責任をあいまいにすることは別である。
建山総合企画室室長、志方管財部長のいずれも竹中工務店の中央研究所の所長が理事長をしている地盤工学会の理事であり、竹中工務店と強い結びつきがあった人物であった。また建山室長は茨木市の都市計画審議委員会の審議委員でもあり、茨木市がこの建設に関わるうえで審議し決定する側にもいた。このOICの提案を志方部長が建山室長の協力で森島専務に持ち込み、長田理事長を巻き込み強行したのである。
2)学内のいずれの学部からも移転希望は出されていず「財政見通し上も問題がある」との意見を無視して、5学部長理事(法・産・国・経済・理)が反対していたにもかかわらず学外理事の協力の下、理事会において決定し実行した。その結果サッポロビールの親会社であるサッポロホールディングスの最大株主であるアメリカのスティールパートナーズは値上がった同社の株を売り逃げして撤収した(2010年12月21日付マスコミ各紙の報道)。これらの詳細については拙著『立命館再生を願って 正・』(風涛社)を参照のこと。そして今まで何の問題にもなっていなかった「BKCの狭隘」が突然言い出され、経営学部の移転が実行された。
2018年から始まる18歳人口減少・私学危機と教育・研究の質向上に向けて蓄積された基金は約1000億円あった。しかし政策科学部と経営学部と言う既存学部の移転のために410億円を上回る資金が投入され、OICにおいて毎年30億円をこえる超過支出がもたらされることになったのである。その後、森島専務は理事長に、建山総合企画室長は企画担当常務に、志方管財部長は財務担当常務になったが、この事態を作った責任はあいまいにされてはならない。なお当時、長田理事長が栃木県那須において別荘を確保したことが明らかになり、森島専務が建設業者と頻繁にゴルフを行っていること、志方部長が毎晩のように祇園で遊んでいることが当該職場で知られていて顰蹙をかっていた。
3)また川口清史前総長は、安倍首相のオーストラリアへの潜水艦売込み行きの政府専用機に同乗し、当地で安倍首相立会いの下、オーストラリア国立大学(ANU)との学術協力協定を締結し学術的マヌーバー役を果たした。ところが帰国後、学内でなんらの討議なしに、東京オフィスにおいて突如、記者会見を行いANUと立命館で共同学位学部を設置すると発表した。私はANUとの提携に反対するものではない。しかし学内合意に基づいて進めるという手続きを無視し、しかも大学・学部は教育の継続性が担保されなくてはならないが、今に至るも50年、100年と継続できる展望を提起出来ず、留学生含む奨学金、国際寮も含めれば財政的見通しが立てられない構想であり、押し付けた川口前総長の責任が問われなくてはならない。ところが彼は総長退任後、森島理事長によって学園顧問に就任し毎月20万円の顧問手当を受けている。改めて川口前総長の責任の追及と顧問取り消しが必要であろう。
今回の「R2030」計画も全学を巻き込んで英知を結集して作成しても、この間、学園に混乱と財政困難をもたらした森島理事長、建山企画担当常務、志方財務担当常務が執行の側にいる限り再び同じことが起るという危険は払拭されない。
(2)「財政政策」と「学生定員政策」はどうするのか
今次「R2030」計画では、内容もさることながら、学園政策上、極めて肝心な「財政政策」と「学生定員政策」がまったく触れられていない。財政・経営責任者である森島理事長や、起草責任者である建山企画担当常務はどのようなプランを持っているのか明確にする必要がある。そうでなければこれから教職員が「R2030}が明示しているビジョンの方向に基づいて政策を具体化しようとしてもできないし、例え書いたとしても絵にかいた餅になる危険がある。計画の完成年度である2030年は日本の高等教育にとって決定的な節目となる年である。
日本の18歳人口はピーク時の1992年の200万人から2014年に118万人に減少した後、しばらく横ばいであったが、本年(2018年)から再び減少期に入り将来2030年には100万人を割り込むことが予測されている。既に予備校の7割の建物が廃止され、全国の私立大学の4割が定員割れを起こしており、マスコミにおいて「私立大学倒産時代」が大きく取り上げられている。大学は人材育成事業体であると同時に人脈形成産業でもあり、100年越える歴史と実績を持つ立命館学園の社会的位置から言って,直ちに定員割れが起こるとは予測されないであろう。
しかし現在の定員を維持したままだと3割は現在の在学者層と基礎学力が異なる層が入学してくることになる。事実、既にそうした学生が本学園に入学し始めていることを多くの教員が実感している。「国民的な高等教育機関」としてそうした学生を受け入れる大学とするなら、それに応じた抜本的な教育改革が必要である。現在と同程度の基礎学力の学生の入学に留めるなら定員を3割削減しなければならず、その場合の財政はどうするのか。今日の学生と同程度か、それを上回る水準の学生を留学生によって確保するとなると、3割程は留学生が占めるという、これまた現在の立命館大学とは全く異なる性格の大学への改革が必要でありAPUとの棲み分けを図らなければならない。個々の細部の政策の検討に入る前に、これらの基本戦略の明確化が求められているのである。
基礎学力が高い層を巡る争奪戦は国際的に欧米の大学とだけではなく、アジア太平洋地域にある大学間でも起こっている。120万人が90万人に減るということを一般的に情勢論として記載するのにとどまらず、立命館において3割にもあたる層の変化にどのように対応するのかを具体的政策として提案しなければならないだろう。数値を具体的に考えることによって改革の厳しさ・重さが明確になる。また従来立命館では新しい教学分野の開拓は定員増を伴う新学部・新学科設置で行われてきたが、そうした拡大方式は取れなくなり、既存学部・学科の再編を伴って進めなければならない。
しかし今回の「R2030ドラフト答申」を観る限り、残念ながら、この余りにも大きく大学の質的転換を迫られる戦略的課題についての具体的分析に基づく具体的方策が提起されていない。また学園財政に責任を負う森島理事長の昨年8月の集中部次長会議での就任あいさつ、今年の年頭あいさつを見る限り、まったくその切実性は感じられず、具体的提起もなく学園運営への責任性を見いだせない。いったいどうするつもりなのか明確に語る必要がある。森島理事長は昨年秋に開催され「みずほ証券」主催の「第11回大学のグローバル戦略シンポジウム」にコーディネーターとして出席しているが、そこで得た知識かどうかわからないが、あちこちで盛んに「バックキャスト思考」なる言葉を使っている。しかしこの言葉は商品があふれる社会において、如何に魅力ある製品を作り企業と社員の未来の展望を引き出せるかと言う思考法であり、今日の大学において現場に根ざして学生実態を踏まえた大学改革をどのように行うのかとは別の思考である。吉田総長は、今後の立命館の改革にあたって昨年秋に「アジェンダ2」を発表しているが、そこでは学生実態に根ざした改革の必要性を提起している。しかし森島理事長の文書や発言には「学生実態に根ざした」という言葉は一言も出てこないし、吉田総長の「アジェンダ2」を支持するとの言説もない。彼は「大学コンソーシアム京都事務局」から立命に就任以降、学部事務室や教学部、学生部等日々学生の実態に触れ、その成長を図るという現場にいたことは一度もない。経営者気取りで、グローバル化やダイバーシティー等、はやりの言葉を述べているに過ぎない。理事長の職務は学生実態に即した教職員の改革案を支える財政責任である。学生実態も無ければ財政に責任を負う具体的提案もない限り立命館の将来は危ういものになる。
(3)2014年の総長選挙・副総長選任、2017年の理事・理事長選挙で手段を選ばない暴挙を働いてきた森島専務(当時)。
執行体制を巡って最大の焦点は、今秋に執行される予定の総長選挙である。権力欲に凝り固まっている森島理事長は総長を自分の支配下に置くために手段を選ばないだろう。2005年の一時金カット以来、10数年に渡って学園に混乱と不団結と財政困難をもたらし、圧倒的多数の学部長理事から支持されていない人物が、全学の教学の最高責任者までも自分の支配下に置いた場合、上記の高等教育を巡る困難な事態に立ち向かえる改革を推進するどころか自壊作用を一層強めることになるだろう。
彼は手段を選ばない。経理規定において理事長の決済を「1億円以上 」と、上限の無い規程を年度末の膨大な議事事項の中に潜り込ませて通し110億円におよぶ長岡京市の校舎建設の契約を理事会に諮らず長田理事長の署名捺印だけで実行し、未だに土壌汚染処理費用12億円を大阪成蹊学園と裁判で争っている。
吉田総長は前回総長選挙後、学内を二分した選挙戦がもたらした学内の不団結を解消するために、吉田総長の対抗馬となった渡辺副総長ならび彼を応援した是永副総長(APU学長)を副総長として推薦するとともに、残る二人の副総長として元理工学部長の坂根政男氏と元産業社会学部長の佐藤春吉氏を推薦した。ところが事前に規程を「副総長は総長が理事会に推薦する」を「副総長は総長が理事長と協議の上、理事会に推薦する」とし、その上、解釈において「協議の上とは、合意の上だ」と言い張り、その解釈に不同意であった吉田総長による坂根、佐藤の両名の副総長への選任提案を理事会において学外理事の数を頼りに否決した。総長が提案した副総長を理事会が否決するなどは、学園開設以来初めての事であった。
今回(2017年)の理事選挙にあたって「顧問として残す」との約束の下、長田理事長とタイアップし学外理事に対して自分を支持するかどうかを確かめ明確な支持を表明した2名以外の理事を全員排除して彼を支持する人物に理事を入れ替えて臨んだ。
その上、森島専務は何処にも選出基盤の無い自分を総長・理事長推薦理事枠に入れさせるために、入れない場合は「理事長との協議」を盾に副総長人事の時と同様に、吉田総長の推薦者全員を落とす行動に出ようとした。(※)大概の理事は選出基盤がある。しかし森島氏には基盤は無い。かれは川口前総長によって総長推薦枠を使って理事になっていた。今回の理事選挙にあたって吉田総長が推薦しなければ彼は理事になれなかった。従って上記したように「自分を推薦しなければ」長田理事長との協議(同意)を得られなかったとして副総長選任時と同様に吉田総長提案の10名全員の落選を長田理事長と謀ったのである。
次期総長選挙に際しても前回同様に、森島理事長は「自らの手を汚さず」手段を択ばない謀略的手立てを取る可能性が高い。規程の改定、職員選挙区において「選挙違反まがいの」職制による誘導、学生に対する「担当職制による」働きかけ等など。
注意しておく必要があることは、経理規程の改悪も副総長推薦規程の改悪も常任理事会において何の反対もなく議決されたことである。当時の関係者に「なぜこのようなものを通したのですか」と聞くと「少し引っかかったが、文言上、特段問題にすることも無いと思って・・」との応答を得た。心の中で「これは・・」と思いながらも疑問を呈することも反対もしていなかったのである。今回も同じような過ちを犯さないことを切に願うものである。
また理事選挙にあたって森島専務(当時)等は総長選挙以降3年に渡って多数派獲得のために手立てを打ってきた。私は総長選挙直後にその危険を警告すると同時に、「学園正常化を願う人々は結束して対策を立てる必要がある」と提起した。しかし残念ながら数カ月前からの取り組みとなった。
1月19日、部次長・課長等を対象にした「R2030ドラフト」説明会が開催された。この説明会において森島理事長が40分、建山企画担当常務(「ドラフト」作成委員会責任者)が30分説明した。学内では森島理事長は、次期総長候補として建山氏を充てようとしているとのウワサが流れている。事実学内の各種広報物にやたらと建山企画担当常務理事の氏名・写真が大きく掲載され出している。このようなコンビを許しては、立命館学園は一層停滞混乱に陥っていくだろう。
(4)総長選挙規程の改悪を提起、またもやむざむざと森島理事長の姑息な謀略に乗せられ取り返しのつかない事態を作ってはならないだろう。
2月14日の常任理事会において、総務部総務課の起案による上記提案が、上田寛専務理事から提案された。企画部提案とせず総務課提案としたところがミソである。いかにも重大なものではなく実務的な些細なことであると見せかけようとしたのである。しかも関連資料を含めると67ページにも及ぶもので、突然提案された常任理事会の構成員は、たちどころにその提案の本質を見抜くことを困難にするやり方である。先の「経理規程」改悪、「副総長選任規程」改悪の時の同じ手口である。今年(2018年)の年末に総長選挙が行われること、しかも2006年の総長選挙以来、総長選挙規程が何回も大問題になって来たのであるから時間をかけて慎重に審議しなければならないことは明白である。なお今後の審議日程として3月23日の理事会において決定される予定になっている。
改悪の最大のポイントは2)推薦委員会に関する事項の②推薦委員の選出(規程18条)である。それ以外の項のとことろでは、総長選挙の執行にあたってこの間学内から出ていた様々な意見に関して「さしあたり早急にその対応を規程化する必要性は見当たらない」としている。
それに対して、この「推薦委員会の選出」に関しては「推薦委員長を教員に限定することの是非については、限定する理由が特段認められないことから限定せず推薦委員会から互選できるものに変更する(ただし学生は対象としない)。
つまり総長候補の推薦委員会の委員長を教員に限定せず職員も対象とするというのである。その理由として「限定する理由が特段認められない」としている。
①そのようなことはない。教学の最高責任者である総長となることができる者は総長選任規程第8条において「(1)立命館大学もしくは立命館アジア太平洋大学の専任教員もしくは専任教員であった者、または本法人が設置する学校出身者の優れた者 (2)学園の教学を総括するにふさわしい、人格、学識および教育行政に関する識見と力量において優れた者」と定めている。教学を実行しておりかつ、対象となる人を相対的によく知っているのは教員である。同じことは学部長選挙についても同様である。本学の学部長学選挙には職員も学生も参加している。しかし学部長候補を推薦するのは学部教授会所属の教員である。総長候補の推薦委員長は教員でなければならない。職員で良いなどという改悪は許されない。
②この推薦委員長問題は2006年の総長選挙以来、学園を揺るがしてきた問題である。2006年に実施された総長選挙にあたって、クーデターのように2005年に推薦委員会の長は理事長(当時は川本八郎理事長)とされ、他に理事長が任命する数名の推薦委員とされたが「審議内容が漏れては良くない」と言う理由で、唯一回の会議で政策科学部の川口日清史学部長を総長候補して押し切ったのである。そして川口候補に対する学友会や教職員組合の質問に対して川口氏ではなく推薦委員長である川本理事長が回答した。したがって川口総長は「川本理事長によって任命された総長」と評価されたのである。そして同じく川本理事長に後継者指名された長田理事長、森島専務そして川口総長の三名によって大阪茨木キャンパス強行などによって学園に混乱がもたらせられたのである。
2005年に総長選挙規程を改悪した時の総長選挙規程改定委員会事務局長(原案起草)は今回提案した上田寛氏である。さらに先に記した長田前理事長と森島専務(当時)が「副総長は総長が理事長と協議の上」とした上で、それをさらに「協議とは同意である」と言いはり吉田総長と論争していた時、上田氏は監事であったが、同じく「協議とは同意である」との詭弁を弄して長田理事長、森島専務を支持したのである。法律家の誰もが何時も正義を貫くわけではない。残念ながら依頼者に応じて詭弁を弄する法律家もいるのである。
なお今回の改定において選挙管理委員長についても推薦委員会と同様に教員に限定する必要はないとして職員による委員長就任に道を開く提案としている。
2010年の総長選挙において選挙管理委員長を務めた二宮周平前法学部長が選挙後選挙実施とかかわって三点の改善を理事会に対して行った。しかしそれを無視したどころか4年後の2014年に選挙においても「時間が無い」として二宮氏を委員長とする2010年選挙管理委員会の改善提案を無視したのである。同じ問題を私はより詳しく「続・立命館の再生を願って」(風涛社)においてP261から268にかけて詳細に書いているので詳しくはそちらを読んでいただきたい。
結論的に言うと2006年の総長選挙において理事長を推薦委員会委員長としたことの問題が明らかになり、その点の改善が焦点となり2010年の選挙の前に推薦委員から理事長は外される改善が行われた。ところがその過程で総務部によって大きな改悪がされていたが問題にされなかった。①は選挙人の構成に置いて教員・職員・学生の圧倒的多数を占める立命館大学の教員選挙人が過半数もなく、学外者の選挙人比率が大幅に増やされた。そうした問題点の象徴的表れが理事選挙区において学部長理事を除く21名から13名の選挙人、教職員の評議員を除く26名の評議員から13名の選挙人が選ばれる仕組みとされていた。立命館の専任教員1165名から115名の選挙人が選ばれることと比較すれば、あまりにもアンバランスな選挙人選挙であった。にもかかわらず2010年の総長選挙において川口氏は過半数ぎりぎりの得票しか得られず、立命館大学においては過半数の支持を得られなくて総長となったのである。
もう一つは、選挙人の選出が、総長候補が選ばれる前にされたことである。これでは総長候補者の政策を見て選挙人を選べない。三番目はAPUにおいて、独自開票が行われ選挙の公正実施に関わって疑問が生じたので改善することであった。
これらの意見について常任理事会の下に「検討ワーキング」が森島専務を責任者として設けられた。そして組合などの追及に対して服部健二副理事長が回答した。そこでは「①学園運営に大きな責任を持つ理事・評議員と一般教員を同列に扱うことはできないので一般的な格差論は適用されない」。すなわち門前払いしたのである。「②立命館の総長選挙は政策選挙ではない、総長は常任理事会などで決まったことを行うのであり、個人としての新たな政策の提示を求められるものではない」とした。そしてこともあろうに立命館の総長選挙は「選挙人がみずからの見識に基づいて総長を選ぶ「自由委任型」間接選挙であり、投票内容を条件とする「強制委任型」選挙に変質させることはできない」とした。このような言葉を使うのは通常法律家しかいない。起案したのは哲学者である服部副理事長ではなく法学者であろう。これではアメリカの大統領選挙など間接選挙で選ばれている選挙は強制委任型選挙と否定的な評価になる。2010年の選挙は川口現職総長とそれを批判する坂根元理工学部長の選挙となったし、2014年の選挙は元法学部長であった吉田氏と川口総長の下で副総長であった渡辺氏の対立選挙となった。いずれも政策で争う選挙であったのである。
要するに教員であり元法学部長でもあった二宮氏であるから理事会に対して独立して自由に改善を提起したのである。選挙管理委員長を理事長に任命権がある職員にした場合、このような提言を行うことは極めて困難である。だからこそ森島理事長は職員を選挙管理委員長にしたいのである。これらは言葉の問題ではなく実態に即して問題であり、とりわけ立命館においては2005年以来、厳しく批判されてきた問題である。それをまたしても上田氏という法学者を使って、そっと姑息なやり方で改悪しようとしているのである。学園の正常化を願う全教職員・学生・院生は結束して闘わなければならないだろう。
なお森島理事長は2008年の評議員選挙において選挙違反を働いた。その時、私は長田理事長に対して森島総務担当常務理事(当時)の処分と解職を提案したが長田理事長は動かなかった。すなわち先の2006年の総長選挙に際して森島常務は川口氏の当選のために職員選出の選挙人を職場における自由投票に基づく選出ではなく、職制のみが参加する部会議において選出にするように指示した。しかし教学部事務部長であった三上宏平氏は従来通り各事務職場における討議を尊重した投票を推進した。これに対して森島常務は「職制でありながら支持に従わなかった」として長田理事長の了解の下、三上氏を教学部事務部長の職から解任し、総務部付として大学コンソーシアムの「平」職員待遇扱いで出向させた。そして2008年の評議員選挙において三上氏が立候補すると、部次長3名に対して三上氏を落選させるように動くことを指示した。その内の1名の総務部付けM次長が新任職員研修名簿に基づいて支持獲得で動いたので「職権を使った行為」と言うことで当時、上記松宮氏を委員長としていた選挙管理委員会が「明白な地位利用による選挙違反」と認定し、同選挙区の「選挙の無効、選挙やり直し」が行われ三上氏が当選した。M次長に対しては長田理事長から口頭で「厳重注意」はなされたが、指示した森島に処分はなされなかった。この場合も選管委員長が教員の二宮氏であったからこそ、理事会と独立して判断し行動出来たのである。
森島のようなクーデター的やり方で理事長となり手段を選ばない人物が理事長をしている時、理事長に任命権がある職員を選管委員長にすれば、理事会から独立した選挙業務を行う上で重大な困難が予測される。これらの歴史的教訓を踏まえ、今次の選挙規程改悪は阻止しなければならない。

最近、常任理事会の開催時間が短縮されたり、業務協議会への学部長の出席が少なかったりしていると聞く。森島理事長の指図か就任間もない総務担当常務理事の気の弱さが要因か定かではないが、学外理事の要求に沿って一般理事会の論議を実質化するために、常任理事会を軽視した運営を意図的にしているとしたら、「学内優先」を反故にするものとして、学部長理事等は正さなければならないだろう。今回の総長選挙も残す時間はもはや半年少しである。学園の正常化を願う人々は結束して奮闘していただきたい。

鈴木元。立命館総長理事長室室長、大阪初芝学園副理事長、中国(上海)同済大学アジア太平洋研究センター顧問教授、JICA中国人材アドバイザリー、私立大学連盟アドミニストレ―タ研修アドバイザリーなどを歴任。
 現在、日本ペンクラブ会員、日本ジャーナリスト会議会員、かもがわ出版取締役、国際環境整備機構理事長、京都高齢者大学校幹事会副代表。
 『像とともに 未来を守れ』(かもがわ出版)『立命館の再生を願って 正・続』(風涛社)『もう一つの大学紛争』(かもがわ出版)『大学の国際協力』(文理閣)など著書多数。




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