スズキ ゲンさんのブログ

立命館の再生を願って

「続 立命館の再生を願って」発売開始

2014-05-27 09:20:34 | 立命館の再生を願って
鈴木元
5月28日(水)『続・立命館の再生を願って』(風涛社)
全国大型書店で販売開始
本体価格1600円+消費税 P339

風社涛 電話03-3813-3421 ファクス03-3813-3422
東京都文京区本郷3-17-3

[発刊にあたって]から
 
私は二〇一二年二月『立命館の再生を願って』(風濤社)を緊急出版した。それは、立命館の指導部で起こっている異常事態は自浄努力で解決できる様子がなく、社会的批判が必要な段階に入ったと判断したからである。
事態は政策問題での意見の相違や学園運営における「慣行無視」などの学園内部の問題に限られず、私立学校法に違反する行為、大規模な背任の疑いがある問題が生じていたからであった。
この本を出版したからと言って、ただちに立命館が正常化に向かうなどとは思っていなかったが、事態はさらに深刻化した。そこで出版以降も立命館の常任理事会出席者のみなさんに、重要な問題が出るたびに、情報と対応について提起する文章をメールで発信してきた。この2年間で、その数は29本に及んだ。
今年2014年7月に理事並びに理事長の改選、そして10月には総長選挙が実施される。この間の問題について考えた対応が求められるだろう。
そこで改めて『立命館の再生を願って』以降の2年間に立命館で起こったことをきちんと記録に残しておくと同時に、この間に起こったことの意味を考え、そこから立命館の関係者を含め、私学関係者は何が問題で、どのように克服していくべきかを考える参考として本書を出版することにした。
 先の『立命館の再生を願って』は2010年3月末まで私が立命館に在職中のことを中心に書いた。本書は基本的に私の退職後のことを記している。したがって本書は、ジャーナリストとしての私の取材をもとに書いている。
叙述方法としては今日の時点に立って項目別に結論を書くと言う方法もある。しかし、この2年間、私はその都度取材し「立命館の常任理事各位へ」をメールで常任理事等に送信し続け、後半はこの問題独自のブログ(スズキ ゲンさんのブログ)を立ち上げ発信してきた。その中で徐々に真実に近づくとともに私は認識を深めてきた。そうしたことを考慮し、本書では項目別と時系列を併用する叙述方法とした。
したがって、最初から最後までが完全に発信順と言う事にはなっていないし、茨木問題のように複雑な過程をたどってきたものは、2回かに分けて記している。そのため多少の重複もあることは御容赦いただきたい。こうした叙述方法が、問題の理解を深める上で適切であったかどうかは読者の判断にゆだねざるを得ない。 
なお第一章は、初めて読む人に『立命館の再生を願って』の要点を示すとともに前著を読んだ人にも、前著の出版とかかわって出された意見ならびに私が深めた点を記し、第二章以降を読むのに役立ててもらおうと考えて記した。
第二章から第八章は、その都度「立命館の常任理事各位へ」として送った28の文章を重複などを整理するとともに、一冊の本にするにあたって補強したものである。
第九章は、全体を通じての整理と教訓、今後の課題について論じた。
本書が前著に続いて多くの読者を得、立命館において正常化をめざして奮闘されておられる皆さん、全国の私立大学で改革の為に奮闘されている方々、そして大学生や受験生を持っておられる保護者の方々の何かの参考にしていただければ幸いである。
 2014年4月 鈴木元


5月下旬「続・立命館の再生を願って」(風涛社)の発刊予定。

2014-05-17 23:11:20 | 立命館の再生を願って
5月下旬『続 立命館の再生を願って』(風涛社)を発売開始予定。

常任理事並びに関係各位へ NO31
2014年5月18日 元立命館総長理事長室室長 鈴木下名
 
私は2012年2月に『立命館の再生を願って』(風涛社)を発刊した。
川本八郎前理事長と長田豊臣前総長によって2005年教職員の一時金が一方的に一カ月カットされた。その当の2人の退任慰労金(退職金ではなく役職退任時に支払われるもの)支給基準は倍化され、2007年川本八郎氏は理事長から常勤相談役へ、長田豊臣氏は総長から常勤理事長に役職変更しただけであるにもかかわらず、川本八郎氏は1億2000万円、長田豊臣氏は4000万円の退任慰労金を受け取った。これを契機に立命館の指導部は混迷に混迷を重ねたが、私には立命館の指導部に自浄能力は見られず社会的批判が必要な段階に入ったと判断し『立命館の再生を願って』を出版した。
もちろん私が、そのような本を出版したからと言って立命館が直ちに正常化するなどとは思っていなかった。しかし今後の立命館学園の正常化・改革のためには、誰かが批判し記録にとどめておくことが必要性であると考え発刊した。それは私が総長・理事長室室長と言う学園の中枢に居て学園全体が見える場所に居たこと。そして何よりも役職上公開していなかったが、在任中から原則的に間違いであると思った事にたいして長田理事長などには内部的に進言・批判していたことを公開する段階に入った判断したからである。
学園混乱のきっかけは「功なった」と思い込んだ川本前理事長の学園私物化の始まりであった。川本八郎氏に後継者指名された長田豊臣理事長、川口清史総長、森島朋三総務担当常務理事(当時・現専務理事)は当初、川本八郎氏と学園構成員の板挟みになりながら追及・批判の矢面にたたされたが、川本氏を守り、自らの保身のために居直ってきた。
しかしその過程で、竹中工務店から持ち込まれた大阪府茨木市のサッポロビール茨木工場跡地に飛びつき「名誉回復」とばかりに移転希望学部も無かったにも関わらず第三キャンパス論を打ち出した。しかし立命館大学の学生・教職員の過半数を超える法学部、産業社会学部、国際関係学部、経済学部、理工学部の教授会が「拙速な購入決定反対」の決議を上げているにもかかわらず、学外理事の数も頼んで立命館の歴史始まって以来、多数決で購入を決定した。
これを契機に川本八郎前理事長等による個人的な学園私物化とは次元の異なる、ゼネコンによって立命館学園が食い物にされる事態が進行した。茨木キャンパス建設だけでも400億円、学園全体では積立金1000億円が食い物にされる事態が生じた。この問題を追求していく中で立命館の理事38名中、実に25名が総長・理事長によって推薦されたものによって構成されていることが分かってきた。また理事長が推挙した候補者選考委員会によって総長候補が推薦され、立命館大学で過半数の支持を得られなくとも総長になれる仕組みに改悪されていた。そして教授会によって選出される学部長理事を中心に構成されている常任理事会の議を経なくとも総長・理事長推薦理事が多数を占める理事会で決定されるという仕組みが導入された
立命館において「文部科学省の先を行く」という言葉で導入された負の制度は、まさに現在、国会に提出されている学長(理事長)独裁制、教授会の審議権の骨抜き(制限)は大学をいかに荒廃させるかという実例を示している。本著ではこうしたことを、この2年間の事実にも基づいて詳細に展開した。
立命館においては、本年の7月に理事長を含む理事の改選、10月に総長選挙が実施される。本書が立命館の正常化、改革のために多少なりとも役にたってほしいと思っている。また全国の私学関係者をはじめとする大学問題に関心のある方に読んでいただき、それぞれの大学における取組の参考にしていただければ幸いである。
本体価格1600円。ソフトカバー・P334。

総長選挙規定での居直りと、学生数の数千名規模の拡大を提起 常任理事ならびに関係各位へNO30

2014-05-01 08:40:39 | 立命館の再生を願って
NO30 常任理事ならびに関係各位
総長選挙規程での居直りと、学生数の数千規模の拡大を提起
2014年5月1日 元・立命館総長理事地長室室長 鈴木元

今年(2014年)の3月、立命館学園の指導部で、今後の学園政策の展望を検討する会議が持たれた(通称、スプリングレビュー)。そこでは①総長選挙、②学生数確保と新学部・新学科設置、③「学びの立命館モデル」、④国際化戦略、⑤一貫教育、⑥非伝統的社会人教育、つまり23歳以上を対象とした教育、⑦大学院政策、等についての提案と検討議論が行われた。その内③④⑤⑥⑦は一般論を述べているので、ここでは省略する。問題は①と②である。
全学からの批判にもかかわらず、総長選挙は従来型で実施する
総長選挙については、前回4年前の選挙に携わった選挙管理委員会から選挙直後に理事会に対して制度の再検討が要請されていた。私も「立命館の再生を願って」(風涛社)で批判し改革の方向について記した。また同様の主旨の見解が、法学部、産業社会学部、国際関係学部、経済学部、理工学部の教授会から教授会声明として提出され全学に公開されている。これに対して常任理事会の下に検討ワーキングが設置され、その報告が常任理事会を通じて提出されたのである。
結論の主張は二点である。①時間が無く実務的に無理なので現状通りで実施する。②しかし「時間が無い」と言うことが中心ではなく「批判者から出ている意見は、立命館の総長選挙の主旨と違うものであり認めることは出来ない」と切って捨てている。 
一例だけ挙げておく。立命館の総長選挙は直接選挙ではなく間接選挙であり、有権者は選挙人を選び、その選挙人が複数の総長候補者から総長にふさわしい人を選ぶ選挙である。ところが現行制度では総長候補が決まり発表される前に選挙人選挙が選ばれる。これでは有権者の意向が反映されないから、総長候補が発表されてから選挙人候補者が「誰に投票するか」を明確にして選挙人選挙をする必要があるとの批判がなされてきた。
それに対して昨年末の教職員組合との交渉において服部副理事長から「日程的に無理である」との回答が行われてきた。ところが今回、批判意見に対して「本学の選挙は、選挙人の見識に投票のすべてを託し、その選挙人が自らの見識に基づいて総長を選ぶという、『自由委任型』の間接選挙ともいえる。仮にこれを選挙人選出と候補者公示の日程を逆にすると、選挙人選出では投票する候補者氏名を掲げた選挙人を選出することに繋がり、投票内容を条件とする『強制委任型』の間接選挙に変質してしまう」としている。
その論理展開の仕方ならびに文書表現から法学者がかかわった文書と見受けられる。それにしても「自由委任型選挙」と「強制委任型選挙」という言葉を使って現行規程を擁護するというのは、いかにも御用学者が作成した文書である。
アメリカの大統領選挙をはじめ間接選挙を行う場合、どの党のどの候補者を選ぶのかを明確にして選挙人選挙が行われている。それを「強制委任型選挙」として切り捨てているのである。そういう批判をすると「政策で争う国政選挙と、常任理事会で決定される政策実行の先頭に立つ総長を選ぶ選挙とは異なる」との反論が予想される。要するに「ああ言えば、こういう」式のお抱え法律実務家の手法であり、結論は現行の「執行部有利の選挙制度」を維持して、この間の不正常な学園運営を継続しようとする思いを貫こうとしているのである。
立命館においては全学構成員によって選出される総長が慣行的に理事会において理事長を推薦してきた。そして理事長が専務理事を推薦してきた。したがって今次の総長選挙において学園正常化を求める人が総長に選出されると理事長も専務も変更となる。長田理事長や森島専務はそれを恐れて現執行部に有利な現行の総長選挙規程を何としても維持しようとしているのである。
そのため改善要求に対して「時間的に無理」を前面に出しながらも「制度の主旨にかんがみ現行規程に基づき実施する」と切って捨てているのである。それに対する反発を意識し「今次総長選挙終了後に、選挙管理委員会及び総長候補者推薦委員会等において総括を図った上で、常任理事会として責任を持って総長選挙の総括、まとめを行い、必要に応じて見直していくことが重要である」としている。しかし前記したよう既に4年前の総長選挙終了後、当時の選挙管理委員会が、「次回選挙までに改善の手立てをとられように」と常任理事会(理事会)に要望を出していたことである。それを4年間放置しておいて「時間が無い」として「現行どおり実施する」としたのである。
その上に、選挙直前に検討委員会を立ち上げ「時間が無いことが中心ではない。批判意見は本学の総長選挙の主旨を変質させるもので受け入れられない」としたのであるから、選挙後の「総括とまとめ、必要に応じての見直し」の結論も出されているのである。このような見解を受け入れた学部長理事は学部教授会声明にどのように責任を取るのかが問われている。それを「選挙後、検討するという一行を入れさせた努力を評価しなければならない」等の意見が出されているが、それは「総長選挙の改革を求めてきた人々の努力を冒涜するものだ」と批判されてもおかしくない。
数千名規模の学生数の増員を提案
2020年に向けての今期計画(R2010)の財政展望として2011年に出された予測に対してわずか1年後の2012年9月、財務部から「1000億円の基金を使い果たす危険がある。2013年以降、毎年の収支は赤字になる危険がある」との試算が出された。そこで服部副理事長を責任者とする財政問題検討ワーキングが作られ2013年5月にその報告が出された。そこでは2011年の予測に対して基金が当初試算より322億円の減額し270億円となる危険が予測された。
それに対して私は本書で記したように、最大の理由は学生水増し率の削減によるものであるとした。つまり2010年の入学生確保にあたって当時の学部長会議において学則定員に対して1.06倍としていたのに対して2011年の「2020年向けての試算」では1.10倍として計算し意図的に「財政は安全である」との試算を出していた。しかし実際に学生を入学させる段となって、文部科学省の厳しい定員管理に従わざるを得ず、私は「1.06で実施すると、1.10と計算した当初試算と比較して322億円の減額なった」と解明した。そして「いまさら1.10にすることは出来ないだろう」と指摘した。
そうした中で、今回のスプリングレビューで提出された「2020年以降を展望した学園ビジョンと基本戦略の方向性」(以下「方向性」)では数千名規模の学生数増と新学部、新学科の設置を提起している。
「方向性」では、R2020財政運営基本方針は「現行の学納金収入水準」維持を前提としている。「現行」としているのは2010年5月1日現在の在籍者数を基礎にした学納金収入である。立命館大学の2010年5月1日の在籍学生数は36638名(大学院を含む)であるのに対して2013年5月1日現在の在籍学生数は35204名であり、その差は1434名となっている(学部生だけでも840名の差)。APUでは6231名が5560名となり671名の差が生じており、立命館大学とAPUの合計で2105名の差が生じている。そこで「2010年時点と同数の学生数を安定的に確保する」としているのである。
そのために実員の学則定員化等の検討を提起している。
つまり立命館大学とAPUで2105名の学生数増大を図り2010年当時の学生数に戻す。ただそうするだけだと学則定員に対して大幅な水増し率による学生確保となる。そこで文部科学省の定員管理の厳格化に対応しつつ学生数を確保維持していくために「2010年実員の学則定員化(既存学部の収容定員増)をした上で、定員の1.05-1.15程度を検討するとしている。
要するに茨木を含めた計画を執行していくためには2010年当時の学生実数を定員化した上で、新しい学則定員の1.10から1.15倍にすることを検討すると言うものである。
それだけでは簡単に合意されないと考え、法学部等の大規模社系学部の定員削減、削った定員で要望のある誘導する新しい学問分野の学部・学科を設置する。小規模学部には財政的自立を求めて定員を増加しもらう。このスプリングレビューが開催されるまでの数カ月間、各学部長と個別折衝し説得して来たものと推察される。
その結果、立命館大学の学生実数は今より少なくとも1500名-2000名規模で増やそうとしている。その収入増は20数億円-30億円になると推察される。それによってOIC開設による毎年30億円の新たな支出増をカバーしようとしている。しかしその設置経費をどうするのか。18歳人口が減少期に入ろうとしている今時、さらに1500名-2000名もの学生定員を増を行えば、さらに偏差値が低下することは免れないだろう。
どの層の学生を確保し、どのように教育し育てるのかを明確にした教育プログラムの確立抜きに、茨木の予算問題(毎年新たに30億円の支出増)、それを保証する学生数からだけで事を論ずるところに今回の危ない議論と計画がある。
これらの事を含めて7月の理事長選挙、10月の総長選挙の争点となるのだろう。学園の正常化を求める人々は、現行の理事ならびに理事長の在り方の改善を訴えつつ、出来る限り早く候補者を擁立して臨む必要がるだろうし、同じく総長選挙の候補者を決定して全学園的に挑む必要があるだろう。
それに対して長田理事長、森島専務等は、この10年近い学園の混乱などなかったかのようにふるまいながら、R2020の後半計画策定で「争点なき合意」を実現し「合意した政策を実行する総長」を標語に、対立候補の存在そのものを否定する状況を創ろうとしている。
10年余り学園正常化を目指して奮闘してきた人々は、立命館の民主的伝統を受け継ぎ、学生の立場に立った学園の改革を掲げて勇気をもって粘り強く取り組む必要があるだろう。