スズキ ゲンさんのブログ

立命館の再生を願って

l立命館問題NO57 吉田美喜夫新総長誕生から1年を迎えて

2016-01-05 19:58:06 | 立命館の再生を願って
立命館問題NO57
吉田美喜夫新総長誕生から1年を迎えて
2016年1月5日 ジャーナリスト・元立命館総長理事長室室長 鈴木元

目次
はじめに
(1)和解を進めようとした吉田総長の副総長人事に対して、居直りと否定の措置を採った長田豊臣理事長、森島朋三専務
(2)総長・理事長・専務の関係。私学法改訂、学校教育法改訂ともかかわって
(3)4年に一度の公開全学協議会が開催できないという前代未聞の事態
(4)財政展望報告ができないで過ごした1年、原因と長田豊臣理事長、森島朋三専務の責任は明確
(5)当面の焦点は学生数と学費、自らの責任は回避し学生に負担を負わせるのか
(6)「ああ言えば、こう言う式」の森島朋三専務流の財政弁明文書
(7)長田豊臣理事長、川口清史前総長、森島朋三専務等の前執行部が作り出した後遺症は大きすぎる。
(8)理事の責任は重い。合わせて学園正常化を目指して教職員組合や学友会そして各種有志の会は、自己の責任において適切な言動が求められている。

はじめに
 昨年度(2015年)において立命館大学では全日本大学女子駅伝において5連覇ならびに全日本女子大学選抜駅伝・富士女子駅伝3連覇、アメリカンフットボールの甲子園ボール8度目の優勝、女子ホッケーの10年ぶりの全国優勝など大きな成果があった。関係者の努力に敬意を表する。この成果は2014年末までの川口清史総長体制の成果でもなれば、新発足した吉田美喜夫新総長体制の成果でもない。川本八郎前理事長、大南正瑛元総長時代に作り上げられたスポーツ推薦制度、重点強化チーム育成政策の下で取り組まれてきた、学生諸君はもちろん、スポーツ指導者など関係者の長年にわたる努力のたまものである。
さて 昨年(2015年)の1月1日、吉田美喜夫新総長が誕生した。総長選挙は「保守か革新か」の争いではなく、学園に混乱をもたらし私物化を行ってきた長田豊臣理事長、川口総長、森島朋三専務等の居直りに対して、学園の正常化を求める世論の闘いであつた。そのことは選挙人による投票結果だけではなく、理事会の意向が強く反映した推薦委員会においてさえ吉田美喜夫氏が第一位に選ばれたことにも表れていた。
その背景には2005年の一時金1カ月カット強行、2007年の長田豊臣前総長・川本八郎前理事長の退任にあたっての慰労金支給基準倍加、2010年の足羽慶保学歴詐称問題の露呈と居直り、そして2010年の茨木キャンパス確保以来の問答無用のやり方に対する学園構成員の正常化を求める声の反映であった。
それ以来1年がたった。改めて、この1年を振り返り、今後の展望を考えることにする。

(1) 和解を進めようとした吉田美喜夫総長の副総長人事に対して、居直りと否定の対応を採った長田豊臣理事長、森島朋三専務
総長選挙は、この十年間、学園に混乱をもたらし私物化を進めて来た長田豊臣理事長、森島朋三専務等が担ぎ出した渡辺公三副総長と、学園正常化を求める人々が推挙した吉田美喜夫氏との対決となり吉田美喜夫氏が勝利した。
通常こうした場合、長田豊臣理事長や森島朋三専務は責任を取って辞任すべきものである。ところが両名は居直って居座った。一方、吉田美喜夫総長は、選挙によって学内が二分されたが、教育機関と言う性格からも直ちにその修復を行うことが必要であると判断し、長田豊臣理事長の意向を踏まえて、4名の副総長候補の内2名については、対立候補であった渡辺公三副総長、ならびに渡辺氏を公然と応援したAPU学長、是永駿氏を推薦するという配慮を行った。
これに対して長田豊臣理事長、森島朋三専務は自ら居座り、渡辺公三、是永駿の両氏を副総長として押し付けただけではなく、吉田美喜夫総長が副総長として推薦した佐藤春吉元産業社会学部長、坂根政男元理工学部長を理事会で否認した。立命館の歴史で総長が推薦した副総長人事(昔は教学担当常務理事)を理事会が否認したことは初めての異常事態であった。
学外理事の皆さんは、長田豊臣理事長・森島朋三専務から両名が「組合系の人物である」との評価の下、反対するように依頼を受けて行動されたものと思われる。立命館学園の総意で選ばれた総長が推薦する元学部長の副総長候補を否認するというやり方が、学内に新たな不団結をもたらし学園運営に「百害あって一利なし」であることを考え、改めていただく必要がある。

(2) 総長・理事長・専務の関係、私立学校法改訂、学校教育法改訂ともかかわって
長田豊臣理事長は相も変わらず一つ覚えのように「私立学校法の改正で理事長が理事会を代表し、その業務を総理するので一番偉い、総長と雖も理事の一人に過ぎない」などの、裸の王様的暴言を繰り返し総長選挙結果も無視して、副総長を含めて自分の都合の人事を押し付けて来た。
この発言には私立学校法改訂についての、長田豊臣理事長ならびに森島朋三専務理事の、自分たちに都合の良いような意図的な解釈と運営態度がある。
① 財団法人を継承した私立学校法人規程
私立学校は戦前まで財団法人立として運営されてきたが、戦後その運営を近代化するために私立学校法が制定された。しかし財団法人を踏襲した経緯から、法的には理事全員に代表権があるとの解釈が成り立っていた。そのため財務担当理事が理事会に諮らず契約を行うなどの事件が生じた。そこで立命館を含め多くの私立学校法人では「法的には全理事に代表権があるが、理事会において代表権を理事長・総長のみに制限する」との決議がなされ、そのように運営されてきた。ところが2004年に国立大学ならびに公立大学が独立行政法人化するにあたって、理事会の発足、理事ならびに理事長の設置が必要となった。そこで私立学校法の問題点も考慮され、理事長が法人を代表する」と規定された。しかしそのことは理事長がかってに契約などを行えるというものではなく、理事会の決定に基づいて契約を行うのは理事会の代表者である理事長とするという意味であり、それ以上のものではなかった。
それに合わせて私立学校法の改定が行われ「理事長は学校法人を代表し、その業務を総理する」とされた。しかし立命館を含めて日本の代表的な私立大学で総長と理事長が別の人物が就任している大学においては、代表権を総長、理事長としていたことから、国会審議において、このことが問題となり、法人としては国立大学より長い歴史的を持つ私立大学の歴史的経緯を考慮し、従来どおり理事長、総長(学長)複数代表にしても良いとの国会答弁が行われた。したがって立命館においても従来通り、総長・理事長の両名に代表権を設定することができるのである。
② 「代表し、その業務を総理する」という規定について。
それは理事会決定を執行するにあたり、代表者として執行全体に対して責任を負うということであり、理事会決定を得ないで勝手に執行できるというものではない。ところが2013年5月24日、OICにおいて230億円の建設工事を竹中工務店と契約するにあたり、これを理事会の議題としていなかった。この点について疑問を持ち質問した学部長理事などに対して森島専務は「契約は理事会の議決は必要ではなく、理事長の権限で行い、理事会には報告事項とします」回答していた。それを聞いた私は、文部科学省に「これは私立学校違反である、適切な指導をお願いしたい」との手紙を送った。この契約案件は5月24日の理事会の当日、急遽、議題とされることになった。
ところがその眼で経緯を見直してみると長岡キャンパスにおける鹿島建設との110億円に及ぶ建設契約を理事会に諮らず長田豊臣理事長がかってに行っていたことが判明した。さらに調べると、
契約ついて、どの金額以上を理事会議決議とするか、つまり、○円以下をそれぞれ課長、部長、常務、専務、理事長の決済権限と定める経理決済規程改訂を2010年度末の大量の議題の中に紛れ込ませて議決していた。この改訂と称する中に、理事長の決済権限を「1億円以上」として、上限を設けない「青天井」の規程にしていた。長田豊臣理事長ならびに森島朋三専務が如何に、私学法改訂を捻じ曲げ、自分たちによる学園支配を図るために意図的な解釈、卑劣な手段を取って来たかをあからさまにしている。このような人物に何時までも学園を私物化させてはならない。
にもかかわらず長田豊臣が理事長に就任し居座り続けることができたのはなぜか。それは川本八郎前理事長が長年かかって学外理事ならびに推薦理事を理事会の多数とし理事長派としてきたからである。
ところで、長田豊臣理事長が理事となる場合の選出基盤はどこにもない。それは総長推薦枠であり川口清史前総長が推薦したことによって理事となり、川本八郎前理事長が作り上げた理事会構成によって理事長に選出されたのである。
川口清史前総長は、その任期期間中に2度、長田豊臣理事長を解任させようとして動いたことがある。しかし、これを全学構成員に訴えて行うのではなく、理事会内の密室での行動であったために、川本八郎前理事長が作り上げた理事会構成を活用した長田豊臣理事長の居直りの前に敗れ、その軍門に下った。
大学を含めた学校法人理事会は学校の設置機関であるが、教育・研究を進めることを目的とする大学を含んだ法人は選挙で選ばれた総長(学長)や学部長の意思を尊重してこそ、その目的を効果的に発揮することができる。だからこそ立命館を含めて多くの歴史ある有名大学においては総長(学長)公選制、学部長理事制度を採用しているのである。そして関東の有名私学においては総長に選出されたものが理事長を兼務してきた。また総長と理事長とを別の人物としてきた関西の有名私学においても、理事長は総長の意向を尊重して学園の運営を行ってきた。川本八郎前理事長でさえ教職員の前での公の発言として「理事長と総長の意見が分かれた時には総長に従う」と述べ、そのようにふるまってきた。
独立行政法人化する前の国立大学は国の一機関であった。しかし教育・研究に関しては全学選挙で選ばれた総長(学長)と学部教授会で選出された学部長を中心とした評議員会を教学の最高機関として運営していた。2004年に国立大学ならびに公立大学が独立法人となった時、選挙で選ばれた総長(学長)が理事長を兼務することになった。そして2015年4月施行の学校教育法の改正によって国立、私立を問わず、学長が教学決定権者とされ教授会はその諮問機関とされた。私はこの決定は従来の「教授会自治」を否定するもので改悪と考える。吉田美喜夫総長も従来通り教授会の意向を尊重した学園運営を行うことを表明されておられる。
しかし国立大学法人ならびに公立大学法人において総長に選出されたものが理事長を兼ねるという法の趣旨、ならびに学校教育法改訂における総長・学長の位置づけを考慮するなら、この間、長田豊臣理事長や森島朋三専務などが吉田美喜夫総長の副総長、学長補佐などの人事を否定してきたことなど到底許されるものではない。
したがって立命館においても関東の大手私学ならびに国立学校・公立学校法人と同様に総長・理事長制に移行し、総長・理事長を補佐する副理事長や専務理事を置くようにすべきであろう。なお立命館の専務理事は理事長と同様に選出基盤は無く、総長の推薦枠で理事となっている。そして規程上「置くことができる」とされているポストであり、理事長が専任で居る現在は、専務理事を置く必要は必ずしも無い。
理事会の制度的改革が求められる現実はあるが、そこに至るまでもなく、全学の選挙によって選出された総長の意向を尊重して学園運営を進めるのは当然のことである。この10年間、学園に混乱と私物化をもたらすばかりか、吉田美喜夫新総長の意向も無視してきた長田豊臣理事長、森島朋三専務は辞任もしくは解任すべきである。
これは単なる理念の問題ではない。そうしなければ学園の正常化は図れないからである。なお長田豊臣理事長や森島朋三専務が吉田美喜夫総長の人事を否定できた大きな要素として総長選挙の直前に寄付行為が改悪され、副総長人事などについて「総長は理事長と協議のうえ理事会に推挙する」と「協議のうえ」という文言が付け加えられたことである。しかも「協議の上」という文言を長田豊臣理事長や森島朋三専務は「同意の上」との勝手な解釈を押し付けたのである。この寄付行為改定ならびに、この解釈を容認したことが今回の一連の人事問題の桎梏となった。
学部長理事を含めた理事の皆さんは、長田豊臣理事長や森島朋三専務らが自らの地位を保身するためには、いかなることでもやるという人物に成り下がっていることに対する警戒心を怠ってはならないし、同時に残念ながら学内に彼らの意向にそって規程の改悪案を作成したり、解釈に動く「法律家」がいることも忘れてはならない。

(3)4年に一度の公開全学協議会を開催できないという前代未聞の事態
昨年12月16日、この日に4年に1度の公開全学協議会の開催が予定され、関係団体に案内されていた。しかしこの会議は開催されず、関係団体による全学協拡大代表者会議とされた。これは第二次世界大戦後、末川博総長の下に進められた戦後改革によって全学協議会が設置されて以来、初めてのことである。
全学協議会は大学の運営にあたって理事会が、学園を構成する教職員、学生・院生の代表者の要求・意見を広く聞き、学園運営に生かしていく制度である。通常1年に1回開催し、その日常的協議の場として代表者による学園振興懇談会が開催されてきた。
その議題の最大の課題は、私立大学の使命である教学(教育・研究)と、それを財政的に主要に支える学費について学生・院生代表と大学代表とが真摯に協議する場所である。しかも立命館では財政の安定性と学生負担の公平性を貫くために学費の制度を4年に一度検討する場所として公開全学協議会を4年に一度開催してきた。これが開かれなかったのである。長田豊臣理事長や森島朋三専務がどのように言いつくろうと戦後の立命館が作り上げてきた全学構成員の創意を生かした大学運営を破綻させたのであり、その責任は極めて重い。
開催できなかった理由は財政展望を示すことができないからであった。2011年から始まった10年間の中期計画において、2016年から2020年が後半期にあたる。そこで前半の5年間(2011年-2015年)の財政総括を含む財政の到達点(現状)と2016年から2020年の後半期の財政展望を提出しなければならなかった。それに基づいて2016年度からの学費政策を学生・院生に提起する義務があった。ところがその根拠となる財政の到達(現状)と展望が示すことができず全学協議会を開催することができなかったのである。

(4)財政展望報告ができないで過ごした1年、その原因と長田豊臣理事長、森島朋三専務の責任は明確
次の新しい学費を提起するためには、受験生のことを考慮し入試要項に記載しておかなければならない。そのためには従来10月下旬(21日)がリミットとされ、それまでに全学協議会が開催されてきた。
財政の現状と展望を下に理事会として2016年度以降の学費と合わせて2016年から2020年の後期計画を策定しなければならなかった。そのため本来は2014年度中に財政の見通しを確定し、それに基づいて後期計画ならびに学費の在り方を検討しなければならなかった。したがって教職員組合をはじめとする学内団体から何度も2016年以降の財政見通しの提出が求められた。それに対して理事会は「2015年3月には提起する」と回答したが、提出されなかった。それが「5月には」、さらに「9月には」と延期され、公開全学協議会の開催も10月から12月に延期され、結局、来年度学費については「とりあえず2016年度は従来方式、2017年度以降について全学協議会に提起する」とされた。その12月の公開全学協議会が、財政報告ができないために開催されなかったのである。長田豊臣理事長、森島朋三専務、高橋財務担当常務理事らの職務怠慢と職務責任は明確である。
 それではなぜ財政展望が報告できないのか。これまた原因と責任は明確である。大阪茨木キャンパスの強行、学生数の水増しによる財政予測、その混乱の中での物取り主義の横行とそれへの迎合により、「収入は減った」にもかかわらず支出は大幅に増えたからである。
2011年からの中期計画のキャンパス問題の最大の焦点は衣笠キャンパス狭隘の克服であつた。そのためには衣笠キャンパス隣接地の購入、ある場合には京都市の山の内浄水場跡地の購入であり、その両方を追求していた。ところが2010年7月、それまで論議の対象にもなっていなかった大阪茨木市のサッポロビール工場跡地の購入が突然提起され強行された。その時点では、いずれの学部からも移転希望は出ていなかった(詳細は拙著『立命館の再生を願って』(風涛社)、『続・立命館の再生を願って』(風涛社)を参照して下さい)。
ところが衣笠の政策科学部だけではなく、狭隘と何の関係もなかったBKC(びわこ草津キャンパス)の経営学部の移転計画が進められることになった、土地代190億円+建設費210億円というものであった。衣笠狭隘克服のために政策科学部を衣笠キャンパスの近辺に移転することは当然であり誰も反対していなかった。しかし政策科学部と合わせて経営学部も移転させるということになり、収入増につながらない既存2学部の移転のために400億円を超える費用を投じるということにしたのである。しかも新規キャンパスの運営をおこなうために、新たに毎年20億円近い管理運営費+営繕費・減価償却費を含めれば30億円近い出費増が見込まれた。
少なくとも1万名規模のキャンパスにしなければ財政自立が難しいキャンパスになることは明確であった。そこで予てから文学部心理学専攻から「独立した学部にしたい」との要望があったのを受けて、総合心理学部に改組して2016年度からOICに移転させると決めた。しかし1学年300名規模の小さな総合心理学部を設置しても収支均衡が関の山で、「持ち出し」キャンパスになることには変わらない。
2012年になって財務部が慌てだした。「今のままで行けば」どのように予測しても2020年の基本金は学園運営にとつて重大な事態になると報告した。そこで服部健二副理事長(当時)を責任者とする調査検討委員会が作られ2013年5月にその報告書が提出された。そこでは2020年の積立金は当初計画の592億円が、322億円も減額し、わずか270億円にしかならないことが予測され年間30億円の節減計画を提起した。その中に学生の奨学金を30億円から20億円に減額するなどが含まれていた。なぜ322億円もの予測見込み違いが生じたのか、2010年に茨木の土地購入が提起されたとき5学部長(法・国際・産社・経済・理工)が財政的心配から反対を表明した。それに対して「何ら問題は無い」との財政予測を提出した。しかし、現実は「問題だらけ」である。以下、重大な問題に絞って、何点か指摘しておこう。
1)水増し率を過大に計算した財政予測の破綻
文部科学省が学則定員に対して1.06を超えた場合には私学助成を大幅にカットするという方針を出していたにもかかわらず、学則定員に対して1.10に水増しした財政予測計算をしていた。しかし実際に入学者を迎えるにあたっては1.06とせざるを得なくなり、大幅な減収・積立金減額予測となった。
つまり、全学的には4万名の学生の4%にあたる1600名の減数となり、学費を100万円としても毎年16億円の減額となる。茨木購入を認めさせるために出した水増し率を高めに設定するという彼らの方針が破綻したのである。
2)OICをはじめとする建設における収入の減と支出増
①当初計画よりの収入減
茨木購入時、森島朋三常務(当時)が「茨木市から135億円の補助が出ます」との作り話を行っていたが、予算を計上する段階では60億円の補助に減額し、それもいつの間にか30億円となった。収入マイナス30億円。
また立命館中高等学校の長岡移転にあたり森島常務は「深草キャンパスを龍谷大学が35億円で買ってくれます」との作り話をしていた。ところが予算を組む段階では売却収入を30億円としたが、龍谷への売却話が現実化することはなく結局、京都市の工業高校の統合に伴い21億円で売却した。収入マイナス9億円。
③ 当初計画から支出増
現在森島朋三専務などは「財政困難の原因は当初予算を越えた支出増のためです」などと教学改革に原因があるかのように言っている。ところがこの5年間、教学改革による大幅支出増は行われていない。当初予算を大幅に超えているのは茨木キャンパス建設などの建設費である。OIC建設では当初の400億円が+20億円の420億円となっている。当初移転計画など無かった政策科学部や経営学部に移転を納得させるために、あれこれの要求を全て認めたためである。合わせて総合心理学部などのために新たに15億円の支出。支出プラス35億円
また立命館中高等学校の長岡移転の建設費110億円は11億円プラスの121億円となっている。支出プラス11億円。
こうしてOIC建設と長岡建設で差し引き85億円に及ぶ「支出増」となったのである。
3)毎年の「経常経費}でも大幅な支出増と収入減。
①「建設勘定」だけではなく経常経費において財務部の試算でもOICの開設とかかわって独自キャンパスの管理運営費用として年間18.5億円の支出増、そこには一般教育や外国語の独自開講予算は入っていない、それも含めると20億円近い支出増となる。その上に230億円の建物の減価償却費(30年として)が年間約8億円、つまり毎年30億円近い支出増を見込まなければならなくなった。それで事務合理化と経費圧縮、奨学金、非常勤講師、特任教授などを大幅に減らす年間30億円のリストラ計画を出さざるを得なくなったのである。②学則定員を増やしにもかかわらず、実員が減少するという教学危機の進行
同時に注視しなければならないことは、この間の茨木キャンパス問題の混乱の中で立命館の教学が重大な危機に陥っていることが次第に明らかになっていることである。2011年度と2014年度の決算報告を比較して見ると学納金が年間10億円も減額している。つまり学生数が減っているのである。
2011年に比較して2014年度では学部定員は538名も定員増としている。しかし実員では260名もの減員となった。大学院修士課程にいたつては定員を265名も増やしたにもかかわらず、実員は669名もの減員となった。つまり「かつての立命館は丁寧な教育をしてくれていたが、最近は混乱している大学」、「学位詐称が明らかになっても組織的に隠ぺいしている大学」との評価が広がり、入学手続者数が大幅に減り、年間10億円もの学納金減収になったのである。留年率、退学率も主要私学の中で一番高い率となっている。財政部などは「休学者や留年者の学費が安すぎるので引き上げるべきである」などの提起を行っているが、本末転倒である。なぜ留年率や休学率、そして入学手続き者辞退者が大幅に増えているのかを真剣に調査し対策を立てなければならない。
なお付記すると、一時金カット、総長・理事長退任慰労金支給基準倍加などに対する批判が高まった時、長田豊臣理事長、川口総長、森島常務は「これからはトップダウンではなく、参加・参画で進めます」という耳障りのいいことを言ってなだめようとしていた。学園運営には、全学的視点からの理事会のリーダーシップとカリキュラム改革のように下からの提起がなされるものとの両方が必要である。BKCやAPUの開設は理事会のリーダーシップであったが、全学討議によりそれがより深められて創意が付け加えられて全学のエネルギーが結集されて実行された。ところが「参加・参画」を言った長田、川口、森島らが2010年の茨木購入以来進めてきたことは外部理事の数も頼みに入れた上からの強行採決の連続であった。
④ 突出している人件費の増加
一方2011年の全学協議会を前に「学生数は増やさない、学費は上げない、対学生比の教員は増やします」と聞こえの良いことを言って自分たちへの批判をそらそうとした。その結果、立命館大学で2010年から2014年で教員数は140名増加し、教員人件費は年間13億円の増加となった。
常識的に考えて学生数を増やさず、学費を上げず、教員を増やすことは無理である(実際には教学改善率を採っているので、その範囲内での改善はできる)。これを実行しようとすれば、物件費を減らす、あるいは外部資金を増やすなどの政策を強化する以外にない。
BKCの開設にあたっては大南総長と川本理事長が協力して滋賀県と草津市から土地代と整備費120億円の寄付、理工学部の拡充のために教職員が60億円を超える寄付を集めた。またAPUの開設にあたっては校地確保・校舎建設で、大分県と別府市から200億円を超える寄付を受けるとともに、アクセス道路などのインフラのために多大な協力を得た。また留学生奨学金のために教職協働で20億円を大きく超える寄付を集めた。
それに対して長田豊臣理事長、川口総長、森島常務はOIC確保のために、様々な作り話はしたけれど、まとまった外部資金を集めてこなかった。彼らはOIC開設にあたってBKCやAPU開設時のように学園構成員のエネルギー引き出すような明確な戦略的展望を示すことなく、川本八郎前理事長以来全学の努力によって積み上げられてきた1000億円に及ぶ基金を「溜めておいても仕方がない」(長田豊臣理事長)と無駄遣いしただけであつた。唯一集めたとすれば現吉田美喜夫総長が法学部長・図書館長時代からの努力により立命館大学法学部卒業生の平井嘉一郎氏の財団から衣笠図書館建て替えのために30億円を上回る寄付の計画の下、2012年度に10億円の寄付をしていただいただけである。
私は教員比率を改善することに反対しているのではない。しかしその実行には厳しい財政努力が必要なのである。それをしないで迎合的に実行したこと、これが今日の財政困難を生んだ一つの理由である。

(5)当面の焦点は学生数と学費、自らの責任を回避し学生に負担を負わせることは許されない。
1)既に記したように文部科学省は大学教育の質の確保、地方の過疎化対策として2015年7月1日、大都会の8000名以上の大学に対して定員の0.06を超えれば私学助成の全面カット、定員から0.06までは定員を超えた部分のカットを指示している。 
これに対して立命館では2015年12月の理事会において、現在の実員の定員化を図るとの方針を決定した。少なくとも実員の定員化であるから財政の収入上は何も変わらないという内容が議決された。しかしそれによって現在直面している財政困難は解決しない。
そこで安易な方法として新定員の0.06プラスまで限りなく実員を増やしたいという欲望が起こる。定員を超えて0.06までに増やした学生分の私学助成1人あたり17万円がもらえなくとも100万円を超える学費収入が入るからである。
2)もう一つは学費値上げである。一時金1カ月カット、慰労金支給基準倍加に対する批判が高まった時、長田豊臣理事長ならびに森島常務は「現行の学費方式は自動値上げであり廃止するべき」などと物わかりの良いことをいった。私は「値上げしない場合は、係数をゼロにすればよいことであり、インフレ―ションが進んだ時には係数を上れば良い、制度を触る必要がない」と主張した。結果は私が提案した、運用で柔軟にするということにした。ところが彼らは現在の財政困難、学友会をはじめとする学生の自治運動が後退していることから「4年に一度、学費の在り方を論議するなど無駄だし、学生にもその能力もなく、彼らにとっても全学協議会の開催は負担になっている。現に今回、公開全学協議会を開催しなくても、抗議行動も起こっていない」などとの暴言を吐いている。
 無能経営者が自らの経営責任を問わず最も安易に行うことが学生数の増加と学費値上げである。現在「大学院学費の引き下げ、奨学金の引き上げ」が提起されている。反対する人はいないだろう。問題は、その財源はどうするのかである。今のままだと学部生に負担を負わせることになる。このまま放置すれば必ずやその道に行くだろう。はっきり言って私学の立命館にとっては学部生の存在がもっとも大切にされなければならない。大学院生は、その社会的位置にふさわしい院生数に設定し、責任を持って指導し社会的発信力を確保すべきである。そのために大学院指導教員が中心となって寄付ならびに科研費をはじめとした各種研究費の獲得に務め、院生の研究費を可能な限り獲得する方向で努力すべきである。
(6)「ああいえば、こういう式」の森島朋三専務流の財政弁明文書
ところで先に記したように2016年度から中期計画後半期計画ならびに2016年度からの学費政策の裏付けとなる財政状況と展望についての文書が2015年3月、5月、7月(サマーレビュー)、9月と延び延びになり、12月16日開催予定であった公開全学協議会にも間に合わず、前代未聞の開催不可能と言う事態となった。
そして12月後半に財務問題だけの常任理事会が三回にわたって開催された。そこに財政報告の試案が出された。しかしそれは出席した学部長理事からも「学部教授会に責任を持って説明できない、もっとわかりやすい文章を出してほしい」と要望が出される代物であった。その主要な問題点は以下の3点に集約できる。
1)2013年5月の服部報告は「2020年度の基金が当初計画592億円に対して322億円減額となり270億円になる」と報告した。
①ところが2014年度の決算においても、そして今回の財政報告においても「当初計画どおり進行しており、特に問題はない」とされた。それでは2013年の服部報告で出された322億円の減額は何だったのか、明快な解明・説明が求められる。
②今回の財政報告の中で「それは何もしなかったら」という前提付きのもであったとされている。それでは何どのようにしたから322億円の不足分は解消されたのかを具体的に述べる必要がある。しかしそこには「経費節減の努力」という言葉はあっても具体的に何をどのように節約したのかの記述は無い。あえて言えば30億円の節減計画(奨学金を10億円、物件費5億円、事務経費5億円の削減計画という計画があるのみで、具体的にどれだけ節約できたかの記述は無い。少なくとも2015年度までは奨学金のまとまった減額はできなかった。しかもたとえそれが100%できたとしても年間30億円であり、これはIOC開設に伴う管理経費+建物立て替え積立金に相当する額であって322億円の減額を埋めるものにはならない。明快な回答が求められるであろう。
2) 2014年度の決算報告を見ると「全体で2億円程度の赤字であり、立命館の財政規模からみると特段に問題があるとは言えず、ほぼ当初計画通りであった]と記載されていた。そして今回の財政報告においても、そのまま踏襲されている。既にNO53に指摘したことであるが
①2014年度において、基本金(積立金)への組み入れを当初予算よりも39億円も少なくしているにもかかわらず、消費支出(年間の支出)では42億もの超過支出(赤字)となっている。つまり単年度の消費支出で赤字になっているのである。
②さらに2014年度決算報告を注意深く読むと、当初計画には無かった銀行からの130億円の新たな借り入れ、2号基金から72億円全額取り崩し、建設関係に56億円の未払金が存在している。銀行からの借り入れは2017年に一括返済、58億円の未払金は後年度に支払いが求められるものである。2号基金の取り崩しは学内問題であり後年度に返還や支払いを求められるものではないが財政運営に余裕をなくすものである。これらを含めて2億円の赤字となっているのである。赤字を先送りしているのである。「これでは、東芝と大差がない粉飾決算ではないか」との声が学内から上がっているが、さもありなんという状況である。
これらの諸点についても学園関係者に納得がいく説明を行う義務がある。
3)提案が遅れた理由について以下の3点が記載されている。
①教学改革の中身が定まらず支出が具体的に算定できなかった。
これについては既に私は2014年の秋の段階で、全学協議会の年を迎えるにあたって解明していた。財務部から「まず教学改革の具体化を図っていただきたい、それでなければ財政試算はできない」との主張がなされていた。それに対して私は、322億円の見込み違いを含めた財政の状況を共有することなく教学改革を論議しても机上の空論である。まずは財政の到達点と展望を明らかにする必要があると提起した。
②文部科学省の政策が急変し新しい学生定員管理方針が出され、それに対する立命館としての方針が定まらなければ財政方針は出せなかった。
文部科学省の新しい学生定員管理政策変更は重要問題である。しかしそれが出されたのは2015年7月1日の事である。立命館の固有の財政問題は2010年の茨木キャンパス問題から始まっており、再三にわたって財政報告の提出が求められてきたのである。そして2015年度になってからも3月、5月、7月、9月の回答約束がなされたが、少なくとも3月と5月の回答約束がなされなかった理由には7月になって発表された文部科学省の新しい学生定員管理方針は関係がなかった。
③そして今回、学生定員管理に関しては現在の実員を基本に新定員化を図ることが確認された。その限りでは先に記したように、財政規模は変わらず322億円減額の解消の穴埋めにはならない。そして「2016年度の学費は現状で行く」ことは既に2015年の秋の段階で確認し公表しているのであるから、財政の現状と展望を具体的に示すことができなかった理由にはならない。結局のところ服部報告の322億円減額に行きつくのである。そのことに対しての説明をしない限り全学が現状を正確に掌握することはできない。なお2016年度から総合心理学部が開設するが、これによって立命館学園の財政規模は大きくなるが、学部として収支均衡がよいところで、学園に新たなプラス収入を予測する材料にはならないだろう。

(7)長田豊臣理事長、川口清史前総長、森島朋三専務等の前執行部が作り出した後遺症は大きすぎる。
1)冒頭の記したように、一時金1カ月カット、長田豊臣前総長、川本八郎前理事長の退任慰労金支給基準倍加、足羽慶保の学歴詐称への組織的関与と居直り、吉田新総長の副総長人事を否決等が立命館の内部に取り返しのつかない不団結を引き起こすとともに社会的イメージを大きく後退させた。
2)茨木キャンパス強行による混乱と後年度への財政負担。茨木キャンパスに投入した420億円の資金を、衣笠キャンパス周辺での政策科学部の新校舎建設と経営・経済学部拡充のために使ったとしても、最大100億円もあればできた。その差額320億円を教育と研究の水準強化に使っておれば、立命館大学の相当な水準アップになっていただろう。
3)1)と2)が重なり、世界水準の大学評価とりわけ国際的教育力の評価におい立命館大学は国内的にみても全国30位以内に入らないという、取り返しのつかない事態に陥った。同一法人下で大南正瑛総長、川本八郎理事長コンビで創設したAPUの教育力評価と比しても立命館大学の国際的教育力評価が極端に後退した。そして受験生数においても関大、近大にも抜かれるという事態に陥った。
4)その上に、自らへの批判を封じるために、個々の教員集団が求める新しい教学組織を次々と認めるが、一番肝心な既存学部の改革はまともには支援してこなかった。420億円を超える投資を行って政策科学部と経営学部を茨木に移転させたが、その偏差値が特段に改善されることにはならなかった。限られた資金の費用対効果という点で大きな問題があった。。
①教職大学院設置―「必要であるか」と言えば「必要である」と言える。しかし毎年6000万円の赤字をどのように扱うのかという全学の負担感を含めてきちんと対応したとは言い難い。
②「食科学部構想」―「食の分野が重要である」というのは、一般論としては間違っていない。それでは看護は、介護は、環境は、芸術は、宗教は、危機管理は・・・。現代社会が生み出し、求められている教学分野はいくらでもある。しか18歳人口減とグローバリゼ―ションが進んでいる今日、大学改革の焦点は既存教学の改革と質的向上である。立命館はしばらく新学部の設置は止め、既存教学の質的向上に全力を入れなければならないだろう。そうでなければ受験生の質的向上は望めず、新学部を追い求める悪循環に陥る危険が増してくる。
③AIU問題―以前にも記したが、オーストラリア国立大学との教学提携に反対するものは誰もいない。しかし、そのことと新しい学部を作ることは別の事である。既に全学の意見集約においても、ほぼすべての教学組織から新学部の設置には反対の声が挙げられている。ここでは繰り返さない。にも関わらず彼らが新学部設置にこだわるのは、安倍首相とオーストラリアの首相の立会いの下で川口前総長が署名してきたことの意味である。なお署名内容自身は「共同学位課程創設の探求」であって「共同学位学部設置」と記されてはいない。ただし帰国直後の川口総長による東京での記者会見においては「共同学位学部の創設」と語っている。おそらくそのような密約があるのだろう。
この問題は単なる大学間の共同問題としてとらえてはだめだろう。安倍首相による「対中国包囲網」の一環として日米同盟だけではなく実質的な「日豪同盟」構築のために共同軍事演習や、潜水艦などの武器輸出を図るための訪豪に際して、露骨に軍事上の事だけでふるまうわけにいかず川口総長をともなって行き、そこで両国首相立会いの下で協定書を結ばせ、軍事色の強かった日豪首相会談をオブラートで包む役割を果たさせられたという評価がまともな評価なのだろう。
しかし立命館としては国際関係学部を軸に全学に開かれた共同学位課程として開設するのがベターだろう。
④大分国際交流会館購入問題―この問題も何回も記しているので、簡単にしておく。文部科学省の外郭団体である日本学生支援機構が全国に11カ所、国際交流会館を持っていたが民主党政権時代に、行政の無駄を省くために「事業仕分け」を行い、不要不急の施設の売却に入った。その一つが国際交流会館であり、グルーバル大学の申請を行っていた大学に留学生会館の所有を義務付けるなどして主要大学に買い取らせた。京都山科にあった京都国際交流会館は京都大学が購入した。大分にもあったがいずれの大学も購入に名乗りを上げなかった。
APUは、最初から国際大学として設立され、1000名近い収容人員を持つ国際寮を持っており、購入の必要は無かった。それどころかAPUの国際寮では100名近い空き室がある状態であった。それに加えて立命館が100%出資しているクレオテックに200名近い寮を立てさせたが空き室だらけで採算が合わず、最近になって大学が引き取ったばかりである。私は、この問題が浮上し、常任理事会に提案された2011年11月、以上の諸点を指摘し「購入すべきではない」と提言した。提案は撤回された。その時、私は、文部科学省からの圧力を考慮すると、一旦撤回してもほとぼりが冷めたころに再提出される危険があると警告していた。
不幸にして私の予測はあたり、今回、「3000万円と言う破格の値段」なので購入するとされた。建設費は30数億円程度かかっていると推察される。それを「3000万円で購入できるのだから安い」とされた。しかし年間の管理運営経費だけで6500万円は必要である。それをどうして捻出するのか、さらに30数億円の物件の建て替え費用はどうするのか誰が考えても購入すべきではなかった。
私が大阪初芝学園の副理事長をしていた時、前任の理事長が上場企業が30数億円で建設した保養所を3億5000万円で購入した。しかし維持費が高くつき年間1000万円以上の持ち出しとなっていた。私は「1円入札」でも処分すべきと提案した。結果的には500万円で福祉法人に売却し特別養護老人ホームとされて初芝側は運営費の持ち出しから脱却した。
この大分国際会館も2011年に提案されたときには6億円で売却とされていた物が今回は3000万円とされた。学内では「使って大変であれば、売却すればよい」などという人がいるが、そもそも大学はそのような不動産売買に手を染めるべきではないし、大分県でこのような施設を購入するところは無い。AIU問題と同様に長田豊臣理事長や森島朋三専務、そして川口清史前総長が、文部省からよほどの圧力受けているとしか考えられない。

(8)理事の責任は重い。合わせて学園正常化を目指して教職員組合や学友会そして各種有志の会は、自己の責任において適切な言動が求められている。
これら一連の問題は長田豊臣理事長、森島朋三専務理事によって引き起こさせられたことは明白である。しかし今重要なことは、これらの間違ったことが、両名だけの独断専行によってなされたことで「他の誰も責任がない」と言えるのかと言うことである。
これら一連の施策に学部長理事をはじめとして、理事の皆さんが、反対せず、賛成したり、黙認してきたことが重大である。これらの大半の事項は形式上理事会で議決、もしくは「報告了承」されてきたのである。その会議での議決に参加している理事の責任は重い。
私が既に記してきたように現在の立命館では、いかなる場にも選出基盤がなく、川口清史前総長の推薦枠で理事となった長田豊臣、森島朋三が、川本八郎前理事長が長年にわたって作り上げた学外理事ならびに推薦理事が理事会の多数派となる理事会構成によってクーデター的に理事長や専務理事になっている。このいびつな構造を変えなければ、立命館の正常な学園運営はできないと提起してきた(詳しくは『立命館の再生を願って』を参照)。
しかし理事会改革をしなければ何もできないということではないし、また学内世論に依拠して現在の理事会の中で正論を主張しないでは理事会の改革はできないことを肝に銘じなければならない。
学部長理事を含めた理事の皆さんの中には「正論を訴えても少数派感を免れないので、当初は言っていたが、いくら言っても長田豊臣理事長等は『聞く耳持たず』なので無駄なことはしない」と語っている方もおられると、聞く。はたしてそうだろうか。長田豊臣理事長らは理事会内で多数に見えても学内では少数派であつたことは先の総長選挙の結果でも証明されている。
長田豊臣理事長や森島朋三専務は、この10年間の体験から「教員は最初は反対していても、こちらが粘り、繰り返し出していけば、根負けして反対しなくなる。それまで粘るしかない」と語っている。彼らは敗れれば理事長や専務の地位を失うだけではなく立命館から去らなければならない。すなわち「全てを失う」恐怖から必死になって恥も外聞もなく、ウソも陰謀も含めてなんでもありで、執念をもって自らの地位の維持だけのために動いている。学部長の皆さんをはじめ組合や学友会の役員の皆さんは長田豊臣理事長や森島朋三専務をバカにすることはあっても「勝てばいいが、まけても特段の事は無い」とその執念において負けている場合がしばしばであった。立命館の5万名近い学生・生徒のために、そして将来の立命館のために執念を持って奮闘していただきたい。
OICや大分国際交流会館購入問題等の誤った政策に対して、常任理事会のみならず、一般理事会においても批判し反対することによって、ことの是非が明らかになっていく。それに対して学外理事の力も借りて多数決で押し切っていくことが続けば、政策の是非もさることながら、「このような運営を繰り返しておれば、不団結は固定化し立命館の改革のエネルギーが潰れていく」との危機感も生まれてきて学内理事の声にも耳を傾けざるを得なくなる。しかし最近のように理事会において長田豊臣理事長や森島朋三専務の政策や学園運営に関して何の批判も反論も出されないで、ほとんど議論もなく議決している様子を見ている限り「立命館は茨木キャンパスを建設できるぐらい立派な学園となった」との感を抱くだけである。
しかしその下で、大学ランキングはおろか、いわゆる難関試験と言われる司法試験、公認会計士試験、国家公務員上級試験においても同志社を追い抜いていたのが近年では3試験とも同志社に追い抜かれ、志願者数でも関大、近大、寄付金額でも同志社も関大に追い抜かれ、ついに学生定員を増やしても実員は減少するという重大な事態に直面するなど、徐々にその会的評価・位置が後退していることに対して理事会内において危機の進行が共通認識になっていないことが最大の問題である。危機意識のないところには改革のモチベーションは生まれない。
学部長理事をはじめとする理事の皆さんの責任が極めて大きいということを率直に指摘せざるを得ない。学部長理事の皆さんに正論を届けるのは学内世論である。全学協議会構成団体である教職員組合や学友会はその役割を果たすべき奮闘していただきたい。
しかし組織率が大きく後退した教職員組合や、全員加盟制の学友会や自治会が、全てに対応する点では難しい問題もある。しかしこの間の安保法制反対運動に見られるように、シールズや若いママさんの会のような個人の組織を旗揚げし、学内世論を盛り上げて教職員組合や学友会が行動しやすい状況を作る等の努力が必要であろう。
結局のところ最終的には理事会構成の改革が必要となる。その入り口は長田豊臣理事長、森島朋三専務の解任である。そのためには学部長理事か結束して常任理事会において両名の解任決議を上げることである。その決議に基づいて理事会においても解任決議を提案することである。学外理事の皆さんが一端反対しても、執行に責任を負えないのだから、学内の意思が強固であるかことが分かれば両名の解任に応ぜざるを得ない。教授会や教職員組合、学友会は学部長理事を支えて臨まなければならないだろう。理事改選の年である今年が重要な節目である。立命館の構成員の皆さんの奮闘を期待する。