NO51(補足版)
違法でなければ何をしてもいいのか、教育機関としての社会的道義、分別はどうなっているのか
長田豊臣理事長、川口清史前総長を手当付の顧問に任命。その上に特別任用教授に。
3月24日(30日 補足版) ジャーナリスト・元立命館総長理事長室室長 鈴木元
3月24日に私はNO51において長田豊臣理事長が川口清史前総長を顧問とすることの異常さについての見解を述べた。ところが同じ日の午後に、政策科学部教授会は川口清史前総長を特別任用教授として採用することを決めた。きわめて重要な事なのでNO51(補足版)としてそれらの問題についても触れることにした(補足した箇所に下線を引いた)。なお前回の文書には入力ミスがあったので訂正しておいた。
目次
はじめに
(1) 退任慰労金について
(2) 顧問について
(3) 総長退任にあたってどこからも声がかからなかった川口前総長
(4) 特別任用教授への任用について
(5) さいごに
はじめに
3月27日の理事会において長田豊臣理事長は、川口清史前総長を手当付の顧問に任命した旨を報告した。
立命館の100年を越える歴史上、末川博総長(7期務め、戦後、立命館を立て直した総長)を含め、歴代の総長で、総長退任後に顧問に就任し、手当を支給された総長は誰もいない。前代未聞である。関西の他の同志社大学、関西学院大学、関西大学にもいないと思われる。
なぜ手当付顧問(月額20万円)に任命したのか。末川博総長をはるかに超える、学園始まって以来の特別な貢献があったからであろうか。否である。彼の総長8年間は学園に混乱をもたらした8年間であった。にもかかわらず「この間の学園への功績を考慮し、今後ともに学園の発展のために顧問として貢献していただきたい」旨としている。
また特別任用教授にも採用された。総長であった人が顧問に任命されたことも、特別任用教授に採用されたことも立命館の100年を越える歴史上初めてのことである。
(1)退任慰労金について
川口前総長は総長退任にあたり教員としての退職金を受け取る。その上に2007年に川本前理事長、長田前総長が理事長、総長を退任するときに大問題となった退任慰労金を受けることになる。
この時の問題を踏まえ常任理事会のもとに「役員報酬のあり方討委員会」が設置され2010年3月26日に報告された。そして2010年5月28日付で役員報酬規定が改定され6月1日から施行された。そこでは理事長、総長の本俸は65歳の教授給(月額735000円)とし、役員手当としてプラス月45万円とされた。これをもとに退職金が計算され支払われる。
これに付け加えて総長役職の退任慰労金が支払われる。規定第13条によるとイ、退職金相当部分とロ、加給金相当部分の合計額とされている。加給金相当部分の(算式)として退職時の月例給与(735000円)×各職位ごとの在任年数(8年)×各職位ごとの加給率(4.5)とされた。この加給率が総長に関しては従来の1.7から4.5に引き上げられた。
今回、川口総長の退任にあたり教員としての退職金の上に問題のある退任慰労金が支払われ、その上に手当付の顧問にする必要などどこにもない。学園を食い物にする私物化以外の何物でもない。制度として存在するのであるから理事長が任命しても違法とは言えない。しかし違法でなければ何をしてもよいのであろうか。総長任期中あれほど学園を混乱させてきた人物に退任慰労金を支払うこと自体に問題がある上に、手当付顧問に就任させるなどもってのほかである。
そもそも退任慰労金は理事長、総長という役職であるが故の支払であり功績がなければ支払ない場合もあるものである。立命館の役員報酬規定においても第13条4において「役員報酬委員会の議を経て、理事会で議決を行った場合は、退任慰労金および加給金の全部または一部を減じて支給することができる」としている。したがって私は以前に「学園にこれだけの混乱を与えてきた長田理事長などに退任慰労金を支払う必要はない」と提起したことがあるが川口前総長も同様である。
(2)顧問について
川口前総長とともに顧問として提案された菅下清廣氏なる人物はコンサルタント業(主として株式投資コンサルタント)を行っているようであるが、立命館にかかわっている著名な人がたくさんいる中で、なぜあえて菅下清廣氏が顧問に推挙されているのか、立命館人を納得させる説明がない。
従来、立命館には手当を支払う顧問なるものはいなかった。川本前理事長が理事長退任時に手当付の相談役を創設し就任したが、「生命科学部特別転籍問題」を理由に相談役をはずれ手当付の顧問とされた。続いて川本前理事長がかかわった足羽慶保の学歴詐称問題等が2012年発覚した時、長田理事長は川本氏の顧問について「任期途中の解任はしないが、来年度(2013年度)は委嘱しない」と明言した。ところが2013年度も引き続き顧問とした。その際にカモフラージュのように菅下清廣氏も顧問とした。それ以来のことである。
今回、川口前総長には退職金プラス退任慰労金が支払われ、その上に手当付(月額20万円)の顧問に任命するというのである。このようなことがまかり通れば、長田理事長が退任する時も、同様の措置を取る余地を残す危険がある。
ところで今回、長田理事長が川口氏と菅下氏を顧問として任命した文書を見て、私は一瞬「川本氏はどうなったのか」と思った。しかしこれにはからくりがあったことを思い出した。川本氏は現在も名誉役員(顧問)として手当の支給を受けている。
2012年、足羽慶保の学歴詐称問題が明るみになった時、文部科学省からの示唆で川本氏を顧問から外さざるを得なかったが、川本氏と利害をともにしていた長田理事長、森島専務は新たな策を弄した。2013年4月10日の常任理事会において「名誉役員規程」改定が提起された。そこでは「今後、歴代の理事長、総長、副理事長、理事であった副総長、専務理事が退任した時は名誉役員とする」としたのである。なぜ名誉役員規程改定なのか川本八郎顧問にたいする対応であった。そもそも総長などの教員には予てから名誉教授の制度があり、名誉役員など必要ではなかった。川本氏を顧問から外す理由を説明することは、自分たちの責任にもかかわる問題でありできない。そこで新しい制度として名誉役員を作り、文部科学省には「川本氏は顧問から外しました」と報告する一方で、新しい制度として元総長や副総長など10名とともに川本氏を名誉役員に推薦することにしたのである。
その上で「理事長が認めた名誉役員は、名誉顧問とすることができる」「協力に際し、必要な経費は役員に準じて学内規程を適用する」としたのである。したがって現在も川本八郎氏は立命館名誉役員(顧問)として手当を受け、かつ学園を代表して各種の行動を行っている。
なお私は菅下氏なる人物を調べていると、彼の公開ブログに是永APU学長が、今年の1月に彼の会社を訪問し「立命館アジア太平洋大学学長顧問への就任を依頼されたので承諾した」旨が記載されていた。いったいどういうことなのか是永APU学長は説明する義務があるだろう。
(3)総長退任にあたってどこからも声がかからなかった川口前総総長
川口前総長は安倍首相のインド訪問、オーストラリア訪問に同行するなど政府に取り入った。しかし見え透いた取り入り行為をすればするほど文部科学省などから信用されず、総長退任にあたって、他の有名私立大学学長経験者が私学事業団理事長などに推挙されているにもかかわらず、川口氏はいずれの役職にも推挙されなかった。また総長に就任する以前から、まともな論文を書かず学会活動もしてこなかった彼は、いずれの大学からも学長はおろか特別招聘教授にも招かれなかった。
(4)特別任用教授への任用について
今回、川口氏は手当付顧問に就任すると同時に、政策科学部の特別任用教授(他の人と同様に月額330800円の手当付)に就任するそうである。これまた前代未聞である。
8年に及ぶ総長期間中まともに研究もできず、論文も発表してこなかった人を特別任用教授に採用して何を教えるのか、担当される学生が気の毒である。特別任用教授は文部科学省の補助金(週3コマ以上を持っている教員を補助金の対象教員としている)とも関係して、原則4コマ以上を持つことになっているが、この3月末の時期になってでは4コマを持つことは不可能に近いと推察される。なぜそこまでして特別任用教授に採用しなければならないのか。説明する義務があるだろう。
この文書は3月24日の夜に発信した。ところが当日の午後、川口前総長の出身学部である政策科学部の教授会において川口氏を特別任用教授に採用する旨が提案され了承された。
① 政策科学部の教授会では川口氏が顧問に提案されていることが報告されていない。しかし顧問であり、かつ特別任用教員であることは一般的にはあり得ない。
② どのような特別任用教員を務めるのか。大学院のゼミ、それも複数の教員による一つの共同開講ゼミで複数回受け持つというのである。年数回ゼミに出て語るだけでどうして特別任用教員(原則週4回、異なる科目の授業・ゼミを担当して月額330800円の俸給を支払はれる)の要件を満たしているといえるのか。
③ 川口氏はすでに69歳である。他の特別任用教員は65歳の定年を迎える時、その教育・研究業績の審査の上で、優れている人に限って5年間70歳まで雇用されるのである。川口氏はこの8年間、教育も研究においても何の実績もない。採用資格条件を満たしていない。
以上から、今回の川口氏の特別任用教授採用は明らかに採用資格条件、原則4コマ授業の要件のいずれも満たしていず、異常である。このような例外を認めれば何のための審査と言えるのか。
さいごに
さる3月15日、川口清史前立命館総長テノールリサイタルなるものが開催された。「60歳の手習い」で始めたテノールのリサイタルを開催するのは純然たる個人の趣味に属するものであり自由である。しかしこのリサイタル、志磨総務担当常務理事ならびに田尻総務部長が職員職制を中心に参加を働きかけて行われた。落語の大家の義太夫語りではあるまい。リサイタルのあと川口前総長を囲む懇談会がホテルで開催された。昨年の12月に川口前総長を励ます集いが開催されたばかりである。
開催した川口前総長も、その動員に動いた志磨常務、田尻部長もおよそ近代的組織人としての、振る舞の原則を踏まえることのできない人たちであることが、はしなくも露呈した。
こうした感覚の持ち主だからこそ、総長退任後にもしかるべき処遇がされて当然だと考えるのだろう。ここには学費と税金によって成り立っている非営利の教育・研究機関としての大学人としての節操や分別など存在しない。
違法でないから、制度として存在するから、会議体で承認されたから、と言って許容されるものではない。学生や父母が知ったと時、どのような感想を持つかの心配りができないのである。100年を越える立命館の恥さらしと言わざるを得ないだろう。
このような学園私物化をいつまでも放置できないだろう。学外理事の方をはじめ、学園関係者の方々は、立命人として誇りと見識を発揮して対応をしていただきたい。
違法でなければ何をしてもいいのか、教育機関としての社会的道義、分別はどうなっているのか
長田豊臣理事長、川口清史前総長を手当付の顧問に任命。その上に特別任用教授に。
3月24日(30日 補足版) ジャーナリスト・元立命館総長理事長室室長 鈴木元
3月24日に私はNO51において長田豊臣理事長が川口清史前総長を顧問とすることの異常さについての見解を述べた。ところが同じ日の午後に、政策科学部教授会は川口清史前総長を特別任用教授として採用することを決めた。きわめて重要な事なのでNO51(補足版)としてそれらの問題についても触れることにした(補足した箇所に下線を引いた)。なお前回の文書には入力ミスがあったので訂正しておいた。
目次
はじめに
(1) 退任慰労金について
(2) 顧問について
(3) 総長退任にあたってどこからも声がかからなかった川口前総長
(4) 特別任用教授への任用について
(5) さいごに
はじめに
3月27日の理事会において長田豊臣理事長は、川口清史前総長を手当付の顧問に任命した旨を報告した。
立命館の100年を越える歴史上、末川博総長(7期務め、戦後、立命館を立て直した総長)を含め、歴代の総長で、総長退任後に顧問に就任し、手当を支給された総長は誰もいない。前代未聞である。関西の他の同志社大学、関西学院大学、関西大学にもいないと思われる。
なぜ手当付顧問(月額20万円)に任命したのか。末川博総長をはるかに超える、学園始まって以来の特別な貢献があったからであろうか。否である。彼の総長8年間は学園に混乱をもたらした8年間であった。にもかかわらず「この間の学園への功績を考慮し、今後ともに学園の発展のために顧問として貢献していただきたい」旨としている。
また特別任用教授にも採用された。総長であった人が顧問に任命されたことも、特別任用教授に採用されたことも立命館の100年を越える歴史上初めてのことである。
(1)退任慰労金について
川口前総長は総長退任にあたり教員としての退職金を受け取る。その上に2007年に川本前理事長、長田前総長が理事長、総長を退任するときに大問題となった退任慰労金を受けることになる。
この時の問題を踏まえ常任理事会のもとに「役員報酬のあり方討委員会」が設置され2010年3月26日に報告された。そして2010年5月28日付で役員報酬規定が改定され6月1日から施行された。そこでは理事長、総長の本俸は65歳の教授給(月額735000円)とし、役員手当としてプラス月45万円とされた。これをもとに退職金が計算され支払われる。
これに付け加えて総長役職の退任慰労金が支払われる。規定第13条によるとイ、退職金相当部分とロ、加給金相当部分の合計額とされている。加給金相当部分の(算式)として退職時の月例給与(735000円)×各職位ごとの在任年数(8年)×各職位ごとの加給率(4.5)とされた。この加給率が総長に関しては従来の1.7から4.5に引き上げられた。
今回、川口総長の退任にあたり教員としての退職金の上に問題のある退任慰労金が支払われ、その上に手当付の顧問にする必要などどこにもない。学園を食い物にする私物化以外の何物でもない。制度として存在するのであるから理事長が任命しても違法とは言えない。しかし違法でなければ何をしてもよいのであろうか。総長任期中あれほど学園を混乱させてきた人物に退任慰労金を支払うこと自体に問題がある上に、手当付顧問に就任させるなどもってのほかである。
そもそも退任慰労金は理事長、総長という役職であるが故の支払であり功績がなければ支払ない場合もあるものである。立命館の役員報酬規定においても第13条4において「役員報酬委員会の議を経て、理事会で議決を行った場合は、退任慰労金および加給金の全部または一部を減じて支給することができる」としている。したがって私は以前に「学園にこれだけの混乱を与えてきた長田理事長などに退任慰労金を支払う必要はない」と提起したことがあるが川口前総長も同様である。
(2)顧問について
川口前総長とともに顧問として提案された菅下清廣氏なる人物はコンサルタント業(主として株式投資コンサルタント)を行っているようであるが、立命館にかかわっている著名な人がたくさんいる中で、なぜあえて菅下清廣氏が顧問に推挙されているのか、立命館人を納得させる説明がない。
従来、立命館には手当を支払う顧問なるものはいなかった。川本前理事長が理事長退任時に手当付の相談役を創設し就任したが、「生命科学部特別転籍問題」を理由に相談役をはずれ手当付の顧問とされた。続いて川本前理事長がかかわった足羽慶保の学歴詐称問題等が2012年発覚した時、長田理事長は川本氏の顧問について「任期途中の解任はしないが、来年度(2013年度)は委嘱しない」と明言した。ところが2013年度も引き続き顧問とした。その際にカモフラージュのように菅下清廣氏も顧問とした。それ以来のことである。
今回、川口前総長には退職金プラス退任慰労金が支払われ、その上に手当付(月額20万円)の顧問に任命するというのである。このようなことがまかり通れば、長田理事長が退任する時も、同様の措置を取る余地を残す危険がある。
ところで今回、長田理事長が川口氏と菅下氏を顧問として任命した文書を見て、私は一瞬「川本氏はどうなったのか」と思った。しかしこれにはからくりがあったことを思い出した。川本氏は現在も名誉役員(顧問)として手当の支給を受けている。
2012年、足羽慶保の学歴詐称問題が明るみになった時、文部科学省からの示唆で川本氏を顧問から外さざるを得なかったが、川本氏と利害をともにしていた長田理事長、森島専務は新たな策を弄した。2013年4月10日の常任理事会において「名誉役員規程」改定が提起された。そこでは「今後、歴代の理事長、総長、副理事長、理事であった副総長、専務理事が退任した時は名誉役員とする」としたのである。なぜ名誉役員規程改定なのか川本八郎顧問にたいする対応であった。そもそも総長などの教員には予てから名誉教授の制度があり、名誉役員など必要ではなかった。川本氏を顧問から外す理由を説明することは、自分たちの責任にもかかわる問題でありできない。そこで新しい制度として名誉役員を作り、文部科学省には「川本氏は顧問から外しました」と報告する一方で、新しい制度として元総長や副総長など10名とともに川本氏を名誉役員に推薦することにしたのである。
その上で「理事長が認めた名誉役員は、名誉顧問とすることができる」「協力に際し、必要な経費は役員に準じて学内規程を適用する」としたのである。したがって現在も川本八郎氏は立命館名誉役員(顧問)として手当を受け、かつ学園を代表して各種の行動を行っている。
なお私は菅下氏なる人物を調べていると、彼の公開ブログに是永APU学長が、今年の1月に彼の会社を訪問し「立命館アジア太平洋大学学長顧問への就任を依頼されたので承諾した」旨が記載されていた。いったいどういうことなのか是永APU学長は説明する義務があるだろう。
(3)総長退任にあたってどこからも声がかからなかった川口前総総長
川口前総長は安倍首相のインド訪問、オーストラリア訪問に同行するなど政府に取り入った。しかし見え透いた取り入り行為をすればするほど文部科学省などから信用されず、総長退任にあたって、他の有名私立大学学長経験者が私学事業団理事長などに推挙されているにもかかわらず、川口氏はいずれの役職にも推挙されなかった。また総長に就任する以前から、まともな論文を書かず学会活動もしてこなかった彼は、いずれの大学からも学長はおろか特別招聘教授にも招かれなかった。
(4)特別任用教授への任用について
今回、川口氏は手当付顧問に就任すると同時に、政策科学部の特別任用教授(他の人と同様に月額330800円の手当付)に就任するそうである。これまた前代未聞である。
8年に及ぶ総長期間中まともに研究もできず、論文も発表してこなかった人を特別任用教授に採用して何を教えるのか、担当される学生が気の毒である。特別任用教授は文部科学省の補助金(週3コマ以上を持っている教員を補助金の対象教員としている)とも関係して、原則4コマ以上を持つことになっているが、この3月末の時期になってでは4コマを持つことは不可能に近いと推察される。なぜそこまでして特別任用教授に採用しなければならないのか。説明する義務があるだろう。
この文書は3月24日の夜に発信した。ところが当日の午後、川口前総長の出身学部である政策科学部の教授会において川口氏を特別任用教授に採用する旨が提案され了承された。
① 政策科学部の教授会では川口氏が顧問に提案されていることが報告されていない。しかし顧問であり、かつ特別任用教員であることは一般的にはあり得ない。
② どのような特別任用教員を務めるのか。大学院のゼミ、それも複数の教員による一つの共同開講ゼミで複数回受け持つというのである。年数回ゼミに出て語るだけでどうして特別任用教員(原則週4回、異なる科目の授業・ゼミを担当して月額330800円の俸給を支払はれる)の要件を満たしているといえるのか。
③ 川口氏はすでに69歳である。他の特別任用教員は65歳の定年を迎える時、その教育・研究業績の審査の上で、優れている人に限って5年間70歳まで雇用されるのである。川口氏はこの8年間、教育も研究においても何の実績もない。採用資格条件を満たしていない。
以上から、今回の川口氏の特別任用教授採用は明らかに採用資格条件、原則4コマ授業の要件のいずれも満たしていず、異常である。このような例外を認めれば何のための審査と言えるのか。
さいごに
さる3月15日、川口清史前立命館総長テノールリサイタルなるものが開催された。「60歳の手習い」で始めたテノールのリサイタルを開催するのは純然たる個人の趣味に属するものであり自由である。しかしこのリサイタル、志磨総務担当常務理事ならびに田尻総務部長が職員職制を中心に参加を働きかけて行われた。落語の大家の義太夫語りではあるまい。リサイタルのあと川口前総長を囲む懇談会がホテルで開催された。昨年の12月に川口前総長を励ます集いが開催されたばかりである。
開催した川口前総長も、その動員に動いた志磨常務、田尻部長もおよそ近代的組織人としての、振る舞の原則を踏まえることのできない人たちであることが、はしなくも露呈した。
こうした感覚の持ち主だからこそ、総長退任後にもしかるべき処遇がされて当然だと考えるのだろう。ここには学費と税金によって成り立っている非営利の教育・研究機関としての大学人としての節操や分別など存在しない。
違法でないから、制度として存在するから、会議体で承認されたから、と言って許容されるものではない。学生や父母が知ったと時、どのような感想を持つかの心配りができないのである。100年を越える立命館の恥さらしと言わざるを得ないだろう。
このような学園私物化をいつまでも放置できないだろう。学外理事の方をはじめ、学園関係者の方々は、立命人として誇りと見識を発揮して対応をしていただきたい。