NO84 立命館常任理事の皆さん、ならびに関係各位へ
2020年3月17日 元立命館総長理事長室室長 鈴木元(ジャーナリスト)
森島朋三理事長は大阪成蹊学園との訴訟について全学に報告し責任を取らなければならない
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はじめに
学園内では闇に葬られようとしている大きな訴訟がある。学校法人大阪成蹊学園(以下、成蹊学園)との長岡京キャンパスを巡る訴訟である。もう5年も前の平成28年に11億2800円を超える補償を求めて起こした裁判である(大阪地裁民事部、平成28年(ワ)4898 )。当時訴訟を起こしたということはマスコミ報道で知られたが、その後学園内ではまともに報告されていない。森島理事長は裁判が長引くことによって結果が伝えられても常任理事会の構成員が入れ替わっており、大した問題にならないと考えているのであろうか。
高学費が社会問題となり政府でさえ低所得者層にたいして学費減免と給付制奨学金の措置を取ろうとしている今日、特段の財政困難もないのに森島理事長は立命館大学において一人当たり16万円もの学費値上げを提案し2020年度から実施している。しかも新コロナウイルスの流行により多くの国民に経済的損失も生まれ政府も経済的支援を行なおとしている時、このまま学費値上げを実施するのか。入学後でも減額措置をとるべきではないか。そうした時、鹿島建設に支払った11億円を超える無駄金使いの責任逃れのために行った裁判での結果が見えつつあり森島理事長の説明と責任が求められている。
Ⅰ、なにを争っているのか
学校法人立命館(以下、立命館)は伏見区深草にあった立命館中・高等学校の移転先として、平成24年3月に、成蹊学園が所有していた長岡京の校地を37億3000万円で購入した。校地の整備にあたって当該の土壌から微量のヒ素などの有害物質が出た。立命館は校地予定地の土壌検査を行い除染作業を行って校舎建設を行い平成26年9月に開講した。
それから2年もたった平成28年5月、立命館は土壌検査費、除染費用、それに地下にあった構造物の撤去費用、総計11億2800万円を成蹊学園にたいして「損害賠償として支払え」という裁判を起こしたのである。以来4年余りがたつが、未だに常任理事会にも報告されていない。
2、調停委員会の斡旋案は?
民事裁判で長引いているので裁判所は調停委員を任命し調停案を提示させたが現時点(2020年3月9日)では両者の間で合意されていない。
調停委員会が提案した調停案は、個々には立命側の主張を認めながらも、金額的には全く異なる案を提示している。調停案を含めた裁判記録は膨大な文書(関係資料を含めて厚さ10センチ余りのファイル6冊)なので私(鈴木元)の要約を紹介する。
①土壌汚染法に基づく、汚染があったかどうかー該当する
②健康被害が生ずる汚染があったかどうかー該当しない
汚染は当該地域独特の自然由来のものであることは当初から立命館も認めている
③①とかかわって汚染地域として認め、学校教育を行うにあたって、除染調査、除染工事を行ったことに対する費用は支払う必要がある。
調停委員会としての費用算定は、除染調査費用4282万7463円 除染工事費用1億6600万7632円、 合計2億0883万5095円
④地下構造物解体費用ー当初契約で校舎などの解体費用は立命館が負担することにしており、地下構造物の解体費用の請求は認められない。
④工事が遅れたことに対する費用ー汚染されていたことと工期が伸びたことに対する因果関係は明らかでないので請求権はない。管理経費の増額請求も同じ。
⑤インフレ率に対する補償ーインフレがあったことは事実であるが、契約文書がない下では判断できない。
以上であり、立命館が゜要求した11億2800万円の1/6強の額、2億0883万5095円を提示している。
3、疑問だらけの立命館の訴訟
①当初の立命館と成蹊学園との契約において、特記事項として「契約成立以降1年以内に汚染物質が見つかった場合、成蹊学園の責任で調査し除染する」と明記されていたにもかかわらず、なぜ立命館は、それを求めず自分の手で除染調査、除染作業を行ったのか。
②その際、土壌汚染法に基づいて報告し土壌汚染地域としての指定を受ける必要があったにもかかわらず保健所に報告相談したのみで、法律に基づく指定を受けなかったのはなぜか。なお保健所にはたびたび相談しているが、保健所側が「過去において、土壌汚染が問題になったことはありません」と回答にたいして、立命館は「無いと言い切れるのか」と言っている。保健所は「絶対ないとは言い切れません、どうしてもと言われるなら、汚染地域として登録し、調査されては」と回答した。それに対して立命館は、土壌汚染地域として指定登録し除染作業を行えば、期間とお金がかかりすぎるとの判断で自主調査、自主除染を行ったのはなぜか。
③立命館は入学予定の生徒の保護者等にたいして「微量であっても汚染物質が見つかった限り、教育機関として全校地の除染を行う」と広報していたにもかかわらず、除染作業を途中で打ち切り、29区画のうちのは5区画は行わないまにしたのはなぜか。
④汚染を言いだしたのは校舎建設会社である鹿島建設であるが、なぜ除染調査と除染工事を専門業者など第三者に委託せず、鹿島建設に発注したのか。裁判所に提出されている資料によると鹿島建設への支払いはたびたびにわたっている。他の工事は契約に基づいて一括支払で行われているが、この除染調査と除染工事に関しては何回も分けて支払っているのはなぜか。
4. 除染問題の前提として、そもそも長岡京キャンパスをめぐる問題。
※この、項については、このシリーズのブログNO63ならびにNO64で書いているので詳しくは、そちらを読んでただきたい。
伏見区深草にあった立命館中高等学校は、予てから狭隘である上に、同じ京阪沿線に立命館宇治中高等学校があり、適切な場所があれば移転することを検討していた。この課題は、森島専務理事と志方弘樹財務部付け管財部長(いずれも当時の肩書)によって進められた。問題点・疑問点を要約すれば以下の点であった。
①移転に当たっての費用。それまでの各校財政自立の原則に反して、校舎建築費110億円は法人(実際には立命館大学)が負担した。何故なのか。
②校舎建設とかかわってゼネコンの間では契約する以前に「茨木キャンパスは竹中工務店、長岡京キャンパスは鹿島建設が取った」との情報が流れていたので、私は森島専務に「イエスかノーで答える必要がある」と詰問したが答えなかった。しかし業界情報どおり、茨木キャンパスは竹中工務店、長岡京キャンパスは鹿島建設が請け負った。あらかじめの密約があったのではないか。
③校舎建設費110億円は常任理事会に諮られず長田豊臣理事長(当時)の決裁で行われた。その後の調査で2010年3月末の常任理事会において、森島専務によって「ごく実務的なものです」として経理規定改定が出され、そこに「理事長の決済は1億円以上 」と記載されていて、それを根拠に行っていたことが判明した。なお経理規定で金額を明記しているのは少額の支出について常任理事会に諮るのではなく、課長、財務部長、常務、専務、理事長と職位に毎に、課長であれば「100万円以下」、財務部長は「100万円以上、500万円以下」は常任理事会に諮らずとも決裁できるという制度であり、民間会社でも、そして国ならびに自治体でも行われている。問題はその時の改定で理事長に関しては「1億円以上 」という制限なき規定を設けたことである。そのため110億円もの支出にあたって常任理事会にも諮らず長田理事長の決裁で実行したことである。財政支出において理事長の決裁がいかなる機関にも諮られず行われることは、たかりや寄生などの財政紊乱を産み、およそ近代的組織の経理規定とは言えない。なお茨木キャンパスにおいて竹中工務店に220億円に及ぶ発注契約を行うにあたって常任理事会に諮らず実行しようとしたので、私は何故かと調べたところ上記の経理規定の改悪を見つけた。私は文部科学省に連絡し、その指導により常任理事会議決となった。その経緯を通じて長岡京キャンパスの鹿島建設への発注を調べなおして上記のことが分かったのである。この「1億円以上 」という規定は「1億円以下 」などに改定することは現在の常任理事会の責務である。
④土地購入費は森島常務から「深草を龍谷大学に35億円で購入してもらい、まかなう」と説明があったが、私が龍谷大学の知り合いの幹部に問い合わせてところ「そのような話はない」と、作り話であったことが明らかになった。その後京都市に工業高校の合併に伴い24億円で売却し、予算との関係で11億円の超過支出となった。森島理事長はこの発言について、どう責任を取るのか明確にしなければならない。
③そして長岡京校地での「汚染と除染問題」の「発生」であった。契約書の特記通り成蹊学園に除染調査と除染工事を行ってもらっていれば、立命館は11億円どころか1円の支出も必要でなかった。しかるに校舎建設を請け負った鹿島建設に発注し、38億円で購入した土地の人体に影響を及ぼすほどでない自然由来の汚染の除染費用として11億2800万円も支払ったのである。誰が考えてもおかしい。
④ゼネコン関係では「競争入札」で相対的に安い値段で入札した業者が、あとから様々な理由をつけて追加費用を請求することがよくある。「長岡京キャンパスの除染調査、除染工事も契約書の特記通り成蹊学園に行わせなかったのは、鹿島建設に追加費用支払うためであったのではなかったのか」が業界を知る人々の意見である。開講してから2年もたってから成蹊学園相手に損害賠償裁判を起こしたのは、誰が考えてもおかしい11億2800万円もの支出にたいして、文部科学省や私学事業団などの公的機関からクレームがついたのではないか?、それをごまかすために裁判を起こしたのではないかと言うのも業界のことを知る人々から寄せられている疑問である。
森島理事長ならびに志方財務担当常務理事は裁判の結果にかかわりなく、これら①から④の疑問のについて学園構成員にたいして明確な説明を行う必要があるし、本来払わなくてよかった除染調査・除染費用11億2800円にたいして責任を明確にする必要がある。
⑤この件は済んだ話ではない。そう遠くない時期に判決もしく調停成立となる。教職員組合をはじめとする学園の正常化を願う人々は、理事会にたいして明確な説明を求めると同時に森島理事長、志方財務担当常務理事の責任を追及する必要があるだろう。その際、ごまかされないために自ら裁判所に赴き、両学園が提出している資料などを精査するなどして対応する必要があるだろう。
鈴木元。立命館総長理事長室室長、初芝学園副理事長、中国(上海)の同済大学アジア太平洋研究センター顧問教授、私立大学連盟アドミニストレーター研修アドバイザリー、国際協力銀行中国人材育成アドバイザリーなどを歴任。
現在、日本ペンクラブ会員、日本ジャーナリスト会議会員、かもがわ出版取締役、京都高齢者大学校幹事会副代表。国際環境整備機構理事長。
主な著作。『立命館の再生を願って』『続・立命館の再生を願って』(いずれも風涛社)。『もう一つの大学紛争』(かもがわ出版)。『異文化協力・交流の旅』(文理閣)。『京都の同和行政を批判する』(問題研究所) 他多数。
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