スズキ ゲンさんのブログ

立命館の再生を願って

立命館常任理事の皆さんへ

2019-05-29 13:27:22 | 立命館の再生を願って
NO81 常任理事並びに関係各位へ
学費値上げは学園をどこに持っていくのか?
   2019年5月29日 元立命館総長理事長室室長・ジャーナリスト 鈴木元
目次
 はじめに
(1)新しい人事体制への疑問と、危なさ
1)なぜ今村正治氏は学園を去ったのか
2)学内に不団結を起こす危険を残した副総長人事
3)「1人になった」教学部長
4)職員人事
5)形骸化されてきている常任理事会運営
(2)「学費値上げ」をはじめとする財政問題
1)立命館大学における昨年の値上げ提案は学園を混乱させただけ
2)今回の値上げ提起、いつもの「実務的なものです」の森島流の姑息なやり方
2)山本修司氏のAPU副学長就任の最初の仕事は学費値上げ
3)長岡京キャンパスをめぐる訴訟はどうなつたのか
4)大阪茨木キャンパス(OIC)はどう展望するのか

はじめに
 私はこのシリーズのNO80において「総長選挙の結果について」を論じた際、新執行部は差し当たって以下の三点を進めなければならないと記述した。それから5ヶ月が過ぎた。
①新しい執行部をどのように構成するのか。②持ち越しとなっている「学費問題」をどうするのか。
③無理に実行し毎年30億円程度の赤字を生み出している大阪茨木キャンパス(OIC)をどうするのか。
 なおこのシリーズはインターネットで スズキ ゲンさんのブログ と検索すれば出てきます。
(1)新しい人事体制への疑問と、危なさ
1)なぜ今村正治氏は学園を去ったのか?。
①今回の人事で異常な一つは、理事でAPU副学長(財務・総務担当)であった今村正治氏が学園を去ったことである。彼が配信したフェイスブックなどの記事を見ると「職員としての定年を迎えたので・・、立命館を去り、新しい人生を歩みます」との趣旨が書かれている。しかし彼は率先して出口学長を迎え入れた理事でありAPUの副学長であり、いずれも任期途中である。その人が「職員の定年云々」は明らかに言いつくろっている感じがする。
②これで立命館において森島理事長と同年代や先輩に当たり金言できる職員幹部は基本的にいなくなった。そしてAPUにおいてはAPUの創立にかかわりAPUの運営の核を担ってきた職員幹部は定年後の再雇用者を除きほとんどいなくなった。森島理事長は山本修司氏を今村氏の後釜に送り込んだ。
山本修司氏は2018年3月末で定年退職し定年後の再雇用で職務についていた。そして2019年3月末の常任理事会においてAPUの役職者(理事・副学長)として採用されている。このことからも上記の今村氏の「職員定年云々」が不自然であることは明瞭である。
森島理事長自身はAPUの創立にも運営にかかわったことがない。このことに関して学内では多くの人が「APUも自分の支配下に置きたく今村氏を排除したが、今村氏に代わる人材を育っていなくて、再雇用者を配置せざるを得なくなったのだろう」と論評している。
③なお今村氏の退任に対して学園内で疑問が広まる中で「今村氏に関しては公表できない個人的プライバシーにかかわる問題云々」とのうわさが流れている。その噂の真否はわからないが、それより確かなことは森島理事長自身、日本有数の教育機関の理事長であるにもかかわらず、社会的・倫理的責任を負う問題を抱えていることは役員室のメンバーだけでなく、学内の多くの人が知っていることである。
2)不団結を起こす危険を残した副総長人事。
 仲谷総長を支える副総長体制が発足した。
 前回、吉田美喜夫氏が対立選挙の総長選挙で当選したとき、吉田氏は選挙で学内に対立が起こったことを解消するために、対立候補となった渡辺副総長や渡辺氏を推薦した是永副総長(APU学長)を副総長へ再任用した。合わせて元理工学部長の坂根政男氏ならびに元産業社会学部長の佐藤春吉氏を副総長に推薦したが、長田豊臣理事長(当時)と森島朋三専務理事(当時)は、直前に突然改悪された「副総長は総長が理事長と協議し理事会に推薦する」との規定を持ち出し、しかも「協議とは同意である」との詭弁を働き、坂根氏ならびに佐藤氏の副総長推薦を理事会において否決した。立命館の100年を越える歴史上、総長が推薦した副総長を否決するというぜ前代未聞の暴挙を働いたのである。
 今回の総長選挙にあたって総長候者補推薦委員会(委員長・伊坂忠夫スポーツ健康科学部長)は現職の吉田総長とともに副総長であった仲谷善雄、松原豊彦の両副総長を推薦した。仲谷氏は吉田総長と一緒に学園運営を行ってきたので総長選挙は政策的対立のない、ある種の人気投票的選挙となつて仲谷氏が当選した。しかし仲谷氏と共に吉田総長を支えてきた市川正人副総長や松原副総長の再任は行われなかった。先の「副総長は総長が理事長と協議の上、理事会に推薦」に基づき森島理事長の意向が強く反映したのであろう。森島理事長にすり寄り盟友建山和由氏(企画担当常務理事)を切って仲谷氏推薦で動いた伊坂氏は、論功行賞のように副総長に就任した。こうしたやり方は学園指導部内に不団結を起こす危険がある。
3)一人になった教学部長
 発表された教員人事一覧を見ると、総長人事である教学部長は従来、衣笠とBKCに1名づつ配置されていたが、今回はBKCからの教学部長がなくなり、衣笠からだけの1人になっている。
新しく構成された総長・副総長人事を見て、各学部は様子見的対応し、積極的に人を送りだす対応をしなかったようで、仲谷総長は「教学部は1人で行くと」表明している。従来通りの教学部役職人事さえ配置できない大学がどうして直面する教学遂行・改革ができるのか。
なお付記すると、出来たかりの小さな総合心理学部から何人もの全学役職者が出ていることも異常である。
4)職員人事 森島氏は総務担当常務理事、専務理事そして理事長と、職員人事を担当する部署に付いてきたが、その過程で自分と同年代か、彼が中途採用される前から幹部であった職員を遠ざけてきた。今ではAPUのみならず、立命館学園全体を見渡しても、彼と同世代や彼より前からの幹部職員は極少数となった。その結果、これほどの規模・多様な学園になっている立命館おいて、現場の力を引き出し、部を越えて相互批判が出来る幹部職員が足りない状況となっている。かつての立命館は「職員の能力が高く、多様な人材を抱えている。皆が立命館の改革に前向きで輝いていると」と評価されていた。しかし今日、森島氏の下で、彼の恣意的な判断で多くの上司が遠ざけられていることを見聞してきた職員は「森島理事長の顔色を伺えないと、危なくて動けない」と、創意工夫を発揮して仕事をするというスタイルを失いつつある。これは大学としては致命的である。
5)形骸化されてきている常任理事会運営。森島理事長は自分1人のイニシアチブで学園運営ができると思っているのだろうか
①立命館は戦後の学園改革のリーダーであった末川博総長時代から、大学の目的が教育研究にあることを踏まえ、学園運営の原則として「教学優先」「学内優先」を明らかにしてきた。その制度的保障として学部長理事制、総長(理事)を議長とし学部長理事が多数となる常任理事会制度を確立して運営してきた。
 ところが最近、森島理事長は「学校法人の決議機関は理事会であって常任理事会ではない」などと言って、毎週水曜日に開催されていた常任理事会を隔週開催とし、かつ議題を理事会に諮るものに限定しはじめ極端に少なくしている。そうしたこともあり教授会への常任理事会報告も極端に少なくなるか、ほとんど行われなくなりつつある。そのため教学・研究・国際・学生部門など大学であるがゆえの情報を全学が共有し、英知を結集して事にあたることができなくなりつつある。日常的な学園運営は理事長・専務理事・総務担当常務理事・財務担当常務理事、企画担当常務理事、一貫教育担当常務理事など森島理事長の意向を組むほんの少数者で行われている。上記した副総長体制、教員・職員制、そして学部長が参加する常任理事会の形骸化。このような学園運営では激変する世界と教育に対して立ち向かうことはむつかしいだろう。
 大学を核とする学園は教育・研究に携わる教員の意見を尊重して運営しなければ発展しないことは自明の理である。にもかかわらず「経営者ぶった」森島理事長を中心とした極少数で学園を運営するやり方、それが教学部長1人体制に象徴されているのではないか、これでは国民の期待に応えた大学づくりはできないだろう。少なくとも常任理事会をはじめとした機関会議を再確立するなど学園運営を元に戻し、自由にものが言え、多彩な職員・教員が学園運営に参加するシステムを再構築する必要があるだろう
(2)「学費値上げ」をはじめとする学園財政はどうするのか
1)立命館大学における昨年の値上げ提案は学園を混乱させただけ
①昨年(2018年)度、森島理事長は志方弘樹財務担当常務とともに教学・経営委員会に諮ることなく、直接学費値上げを提起した。しかし7学部が「根拠薄弱」として反対を表明し、吉田総長の提案で2019年度の全学協議会に向けて再討議することとなった。 
②それから半年がたったが、立命館自身の財政事情に特段の変化はない。それどころか社会的には我が国の学費の高さが問題となり、政府は「高等教育の無償化」へ舵を切る対応を見せ始め、低所得者の家庭の子女に関しては、学費免除や返還しなくてもすむ奨学金の創設に動き出した。今時、学費値上げなどは社会的に論外である。社会的趨勢を見通せず、昨年に学費値上げを提起したこと自体が誤りであったことの表明を含めて、その責任が改めて問われている。
2)今回の入学者に対する実質6万円値上げ提起、いつもの「実務的なものです」の森島流の姑息なやり方
①4月17日の常任理事会に提案された「立命館大学の2020年度・2021年度の学費政策について」の資料18-1 の4.2020年度・2021年度学費政策を読むと、「現段階においては・・、全学的な学費政策(学費改定)に反映する必要があるものとしての方策・対応政策規模を決定する状況にはない。」との判断をしたうえで、「そうした状況を勘案して・・基準授業料は据え置き、教学政策などへの対応として学費改定は行わない」との結論を出している。この限りでは昨年の最終判断と同じであり、常識的判断が下された。
②ところが上記の・・において「入学金及び新入生特別減免の見直しのみを行うことし」と、予てから問題となっていた他大学の入学金(全国平均22万円)と比較して高い30万円の入学金を20万円に引き下げる代わりに新入生特別減免を解消するとしている。同時に新入生学費について物価スライド制を適用するとしている。いかにも「実務的な形」の提起で、「値上げはしない」との印象を与えようとしている。実際、今回の決定を、そのように受け止めた教職員が多くいる。
まず第一の問題は、高すぎた入学金を他大学並みに引きさげたが、多くの大学で実施されている初年度学費特別減免を廃止した事に対して、受験生や保護者がどのようには判断するかである。
第二、立命館大学教職員組合ニュースNO7(5月14日)が提起しているように、物価スライド方式を適用しているために実質約6万円の学費値上げである。社会的にも新入生にも、その保護者にも、6万円の値上をする根拠を示していない。学園内で通用する過去に決めた計算方式だけである。今日、学費が社会問題となり引き下げが社会的趨勢となっている時に、過去に決めた数式を機械的に適用するだけのやり方については深く再検討する必要に迫られている。にもかかわらず検討した形跡は無い。受験生や保護者は受験時も入学手続時も仔細に他大学と比較して検討する。どのよう取り繕っても実質6万円の値上げは見抜かれるだろう。
 森島理事長は昨年「例え1万円だけでも値上げしたい」と語っていたが、まさに「実務先行型」の収入増だけを求めての値上げ提起である。既に本シリーズにおいて指摘したことであるが昨年6月「大学関西ファーラム第21回懇話会」(読売新聞大阪本社主催)で、も森島理事長は「学費のみに依存しない、新しい大学の経営モデルづくりを目指したい」(18,7.28 読売新聞掲載)はどこへやったのか。こういう二枚舌に幹部職員は警戒しているのである。
2)山本修司氏のAPU副学長就任の最初の仕事は学費値上げ
 連休明けの5月8日にAPUの学費が値上げさが決定された。学費値上げを提起するのは教学サイドからではなく財務担当からであり、APUにおいては財務・総務担当副学長の所轄である。3月末に立命館大学から移動したばかりの山本氏がAPUの財務状況を詳細に掌握していたとは思えない。APU常務会の起案日から見て山本氏の赴任前に準備されていたのであろう。
 APUは2000年に創立されて以来、その教学や卒業後の進路などで日本国内にとどまらず国際的にも評価を受けつつあるが、厳しい競争的環境の下で新たな発展の工夫が求められている。今回のAPUでの学費値上げについては、その教学改革のかかわりでの是非、その値上げ額の妥当性については、判断材料となる財務指標が手元にないので論評は避ける。
 ただ大切なことは学費問題は単なる財務問題ではなく教学とかかわった重たい問題である。財務判断について学生と協議しても大した参考にならないかもしれない。しかし学費値上げは学生本人はもとより、その保護者の生活にもかかわった大きな問題であると同時に、教学を規定する問題である。今でも高い学費状態の下、それだけの値上げをするに値する教学改革なのかは、受ける学生の率直な意見や要望を聞く必要がある。決定に至る会議経過を見ると学生はおろか、教授会や職員の業務会議などで議論して意見を集約した形跡は見られない。APUはいつまで任命制の学部長や部次長だけで大学を運営していくのか、考え直すべき時に来ているだろう。
3)長岡京キャンパスをめぐる訴訟はどうなったのか
 立命館中・高等学校の移転問題をめぐって、森島専務理事(当時)、志方財務部付管財部長(当時)は深草キャンパスを龍谷大学に35億円で購入してもらい、それと積立金(25億円)を活用して、長岡京市にある大阪成蹊学園の元のキャンパスを購入すると言っていた。また各学校単位の自立的財政運営を目指した財政原則を逸脱し学園(大学から)110億円を支出して立命館中高等学校の新しい校舎を建設するとした。しかしその後、私の龍谷大学への問い合わせで、龍谷大学が深草キャンパスを購入するなどの話はなかったことが明らかになった。山之内浄水場跡地購入問題(現在、京都先端科学大学のキャンパスとなっている)に続く森島氏による嘘であった。
 様々な経緯があり京都市立高校工業高校二校の統合移転に伴い深草キャンパスを京都市に21億円で購入してもらい、差し引き当初予算に比べても14億円の追加持ち出しとなった。2010年3月末に購入し2012年に引き渡しが行われ、造成工事・校舎建設を行い2014年に開校した。ところが引き渡しから4年もたった2016年7月になって立命館は大阪成蹊学園に対して「当該地域にヒ素など人体に有害な化学物質が出てきて、それを除染するために11億円を超える費用がかかったので損害賠償金を支払え」との訴訟をおこした。この訴訟の進行・結果は常任理事会にさえ報告されてこなかった。新体制になったのを機会にその後どうなったか調べてみたが、判決が出ないままになっていることが分かった。大阪地裁 平成28年度(ワ)4898。
 土地購入にあたって立命館と大阪成蹊学園の間では、「当該地において有害物質が出てきた場合は、大阪成蹊学園の責任で調査を行い除染する」との覚書を締結していた。2012年に引き渡しを受けた立命館は造成工事を行ったが、その時に有害物質が見つかったが、立命館は大阪成蹊学園に調査と除染を要求せず、校舎建設を発注していた鹿島建設に調査と除染を依頼して11億円を超える費用を鹿島建設に支払っていた。ところがそれから4年後の2016年に立命館は大阪成蹊学園に対して、「除染費用11億円を支払え」と訴訟を起こした不可思議な訴訟である。
 立命館は思い出したように追加資料を裁判所に提出しているために、すでに3年余りがたっているが、いまだに判決に至っていない。学内でほとぼりが冷めるまで「結審が出るのを意図的に引き延ばしているのではないか」と思われるような裁判の進め方でありで、途中経過は常任理事会にも報告されていない。
 敗訴したりわずかな和解金しか出なかった場合、立命館は覚書どおりに運用すれば必要もなかった11億円もの支払いの負担が確定することになり、長岡京キャンパスだけで当初予算に対して14億円プラス11億円=25億円の超過支出となる。森島理事長、志方財務担当常務理事の責任は明確であり、どうするのか。
 この長岡キャンパスをめぐる詳細は、このシリーズのNO63ならびにNO64に記しているので参照していただきたい。
4)大阪茨木キャンパス(OIC)はどう展望するのか。
 OICをめぐる問題の経緯はここでは省略する。詳しくは拙著『立命館の再生を願って 正・続』(風涛社)をお読みください。問題は学内合意も図らず強引に進めた結果、現時点でも毎年20-30億の赤字キャンパスだということである。そうした中で森島理事長は「第5番目の学部を作る」との意向を周囲に語っている。複雑化している現代社会において新しいが学問分野は多岐にわたっており、新学部構想などはいくらでも作れる。問題は①18歳人口が激減し、私大の4割が定員割れを起こしている現在、新たに定員増を行って入学者数を増やすという選択を行うのかということである。これは立命館大学を社会的にどのようなポジションの大学として作っていくのかという問題でもある。②もう一つは、それとも関連するが現時点で構想できる時代と社会が要請する先端的・学際的あるいは芸術分野などの学部の規模を考えた場合、OICの赤字を埋める学部の創設など極めてむつかしいということである。結論から言えばやめておいたほうが良いだろう。
 高度成長とインフレの時代において18歳人口と進学率が向上していた時、新学部設置・定員増と学費値上げは私立大学の一つの経営手法として成り立った。しかし低成長・デフレ時代で18歳人口激減で(かつての200万人から現在の120万人そして近く90万人に減る)、かつ高等教育においても国際競争が繰り広げられて今日、定員削減・学費引き下げも課題となりながらも、一方で国際水準の大学づくりが求められ厳しい経営環境に直面している。古臭い、新学部・定員増、学費値上げと言うやり方は徐々に学園経営に否定的影響が出てくるだろう。
 既存学部の質的向上、必要な場合は学部・学科の再編で対応することだろう。ここれは基本的に総務畑しか経験のない森島理事長がイニシアチブをとれる分野でない。現場の教職員の創意工夫に寄ろなければできない地道な仕事である。新学部設置は思い付きで振り回せるし、人事に口をだせるので森島理事長は時代遅れの新学部構想に傾きがちなのである。しかしいずれの場合も財政政策を持たないで臨むことは危険である。このことは川口前総長、長田前理事長、森島専務(当時)等の思い付きで強引に創設したばかりのグローバル教養学部を「7年後に見直し、廃止することもありうる」など、長い日本の大学・学部設置の歴史の中で前代未聞の決定を行った事にも表れている。森島理事長のしていることは決して「経営のプロ」の行動ではない。権力欲だけに燃えた人間の、思い付きでの引き回しであり、学園に混乱と財政困難をもたらしてきただけである。
 ところで日本の高等教育は、いまや欧米とだけではなく、アジアにおいても急速にその位置を下げている、国際的な研究水準も大きく後退し始めており日本の将来に暗雲をもたらしている。立命館大学をどのようにして国際水準の大学にするかという課題こそ、現在最も力を入れなければならない戦略的検討課題である。また我が国の高等教育の現状も意識された大学入試制度が2022年から抜本的に改革される。それに呼応した立命館の入試制度・教学の抜本的改革が求められている。そうした時、上記したような常任理事会の形骸化、「森島理事長による専断体制」、思い付きのOIC新学部構想で、そのような改革ができると思っているのだろうか。立命館関係者に説得力ある回答が求められている。
鈴木元。立命館総長理事長室室長、大阪初芝学園副理事長、私立学校連盟アドミニストレーター研修アドバイザリー、国際協力銀行中国人材育成アドバイザリー、中国(上海)同済大学アジア太平洋研究センター顧問教授などを歴任。現在、日本ペンクラブ会員、日本ジャーナリスト会議会員、国際環境整備機構理事長、かもがわ出版取締役、京都高齢者大学校幹事会副代表。
主な著書、『像とともに未来を守れ 天皇・立命館・学生運動』(かもがわ出版)『立命館
の再生を願って 正・続』(風涛社)、『もう一の 大学紛争 全共闘・「解同」と対峙した青春』(かもがわ出版)、『異文化交流・理解の旅』(文理閣)など他、多数。