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立命館の再生を願って

NO74 学校法人立命館の理事長選挙の結果について

2017-07-29 10:58:45 | 立命館の再生を願って
NO74 学校法人立命館の理事長選挙の結果について
 2017年7月29日 元立命館総長理事長室室長・ジャーナリスト 鈴木元
 7月21日に開催された学校法人立命館(以下、立命館)理事会において、森島朋三氏が久岡康成氏を押さえて理事長に選ばれた。この問題に関して、私は立命館問題専用ブログで何回か書いてきたので、最小限の論評を記しておきたい。

(注)最近2週間の週間アクセス件数は、7月9日から15日は2149件、7月16日から22日は3034件であつた。立命館専用ブログは、インターネットで スズキ ゲンさんのブログ と検索すれば出てきます。開くと過去の分もすべて見ることができます。

(1)学園の正常化を願う人々の取り組みに敬意を表するとともに、改めて明らかになった二つの事。
1) 学園の正常化を願う人々の取り組みに敬意を表する
今回の理事長選挙にあたって、吉田美喜夫総長以下、学園の正常化を願う人々が学外理事を始めとする関係者に対して、学園の危機的状況を打開するために「学園正常化・教学優先・団結の回復」を訴えて行動した。その結果、この間学園に混乱と不団結を持ち込んだ長田豊臣理事長の相談役(理事)就任を許さない成果を収めたことについて、敬意を表するとともに関係者の確信としていただきたい。
私は2012年に「立命館の再生を願って」(風涛社)を出版して以来、現在の日本の私立学校法人の最大の問題は理事会にあり、その改革が重要であることを具体的に提起してきた。しかし立命館をはじめ大半の学校法人では総長(学長)・学部長選挙には相当な力を入れて取り組んできたが、よほどの腐敗・汚職問題等が、社会的に明るみにならない限り、理事ならびに理事長選挙に力を入れた取り組みはほとんどなされてこなかった。
 今回、戦後の1949年に、末川博総長が「学内優先・教学優先」を掲げて学部長理事制度を導入した時以来、初めて本格的に理事長選挙が取り組みまれ、今後の改革の取り組みの一歩が築かれた。これを契機に継続的に取り組まれることが期待されている。
2)立命館の理事会構成の異常さが、改めて明らかになる
 立命館の理事(総数41名)の構成において、学内において選挙で選ばれている総長(理事)と学部長理事(14名)は合わせて15名。立命館が立命館大学と立命館アジア太平洋大学(APU)と二つの大学で構成されているとしても全体の過半数にも満たない異常な構成になっている。改めて「教学優先の原則」「学内優先の原則」に基づいて学園を運営するため、学内の選挙で選ばれた理事が、理事会総数の過半数となるように改革する粘り強い取り組みが必要であろう。
3)学外理事・「任命制理事」との合意形成の重要性
2007年に長田理事長・森島朋三専務理事と言う体制が出来て以来10年になる。大阪茨木キャンパス建設問題をはじめとする様々な問題で両名は学内では全く孤立した状況となって来た。今回の理事長選挙にあたっても彼らが考えた森島理事長構想を総長(理事)・学部長理事は支持しなかった。学園の正常化をめざす理事長の誕生ための焦点は、学外理事・「任命制」理事のどれだけ多数の人々が吉田総長とともに動くかどうかであった。そして正常化をめざす人々の取り組みも学外理事の人々との協力協同をいかに実現できるかにかかっていたことは明確であった。
(2)学園の将来を考え、反森島で久岡康成氏を総長候補として擁立に動いた川本前理事長
川本八郎前理事長は、2007年の長田理事長・森島専務体制確立の中心となって動いた。しかし両名が大阪茨木キャンパス建設で動き出して以降「既存学部の移転のために400億円もの資金を使い、その維持管理のために新たに毎年30億円もの経費をつぎこむなどは馬鹿げている」と批判していた。その情報を得た私は何回となく川本前理事長に面談を申し込み「彼等を推挙したのは貴方です。貴方の責任で『私も顧問を降りるから君たちも降りるべきだ』と学外理事の協力も得て彼らを辞任させるべきである」と説得したが、川本氏は長田・森島両氏の批判は口にするものの、辞任への行動は取らなかった。
 しかし、今回の理事長選挙にあたって川本前理事長は「まともに寄付も集めず、金ばかりを使う森島専務のような人間が理事長になれば立命館はつぶれる」と自分が推挙した森島専務の理事長就任に公然と反対し、元副総長・法学部長・図書館長であった久岡康成氏を理事長候補として推挙して行動した。
吉田総長ならびに各学部長は学外理事とも統一できる人物として久岡氏を理事長候補とするとともに学外理事の人々にも働きかけた。学内外関係者の中には一部であったとはいえ「なぜ川本氏の行動を是認するのか」「久岡氏は長田・森島体制の下で行動してきた人物ではないか」と批判的な人もいた。今回の焦点は推薦者川本氏の評価でもなければ、久岡氏の過去の言動が適切であったかどうかではない。「森島専務を理事長にするのか、それを止めるのか」という大局観に基づく判断が必要であり「小異を捨てて大同につく」という見地での判断が求められていたのである。
ところで学園正常化を願う人々の中に、学外理事の人々を敵視するような考えはなかっただろうか。今回の選挙を通じて始めて学外理事の人と語ることになった人が多いと推察される。そして「意外にも話が通じた」と感じた方も居られる。要するに日常的に接触し世間話程度のことも話していなたったためである。今回の選挙にあたって森島専務が学外理事の大半を入れ替えなければならなかったのも自分の意向通りにならないと判断したからである。学外理事の方の大半は本学卒業生である。学部長理事の人を先頭に学部・部門別校友会活動を通じて、もっと日常的に対話・交流する努力を積み重ねることも今回の教訓として進める必要がある。
(3)理事長選挙にあたって、森島専務は、なりふり構わず学外理事の入れ替えを行った
川本氏や学部長理事などの学外理事への働きかけは一定の効果があるかに見えたが、森島専務は理事・理事長選挙を前にして、かつて川本氏が推薦した学外理事を一掃し入れ替えた。
すなわち7月7日14日の理事会において、校友会からの推薦者2名、附属校同窓会からの推薦者1名、学外評議員からの5名、総長・理事長推薦枠10名の内の学外者2名、その大半の人々は川本前理事長に推薦されて理事に就任していたが、森島専務ならびに長田理事長は、色々な理屈を付けて、それらの人々に退任を求め、9名(10名枠の中の2名の内1名を変更)を長田理事長(・森島専務)の推薦者と入れ替えた。そのため学園正常化を願う吉田総長(理事)や学部長理事の人々、そして川本前理事長の学外理事への説得も効果を発揮することができなかった。
2016年1月に吉田総長が誕生した時、私は「彼らは総長選挙で負け、理事長選挙でも敗れれば、取り返しがつかないことになると判断し、彼らの今後の最大の取り組は次期、理事長選挙である。そのためにあらゆることをやってくるだろう。学園正常化を願っている人々も2017年の理事長選挙に標準を合わせて奮闘する必要がある」と提起した。
その後、常任理事会では教職大学院、食科学部、AIUとの共同学位学部、100分授業などの課題が真剣に延々と議論されてきた。その間、長田理事長、森島専務等は、そうした議論を横目で見ながら、2017年の理事・理事長選挙を最大の課題として理事の入れ替えを含めて系統的に根回し準備し、理事長選挙の直前7月7月14日の理事会において9名の学外理事の入れ替えを行い勝利を決定的にした。
私は1年ぐらい前から、このブログにおいても「長田理事長や森島専務の政策を批判するだけではなく、賛否の議決を明確にする必要がある。そうでなければ学外理事の人々は学内で長田理事長や森島専務が批判にさらされているとの認識に至らない。反対の態度を明確にしたうえで、それを踏まえて長田・森島両名の解任決議を出す必要がある」「例え一回の提案で採択されなくとも、繰り替えして提出して根負けに追い込む必要がある」と提起してきた。彼等には大学の使命である教育・研究に関する執行権は事実上無いのであるから、繰り返しの解任動議には追い詰められていく。そして次期理事・理事長選挙までに、それを実現しておかないと学外理事の推薦権を活用して居直られる危険があると書いてきた。残念ながら私の予見通りになった。
今回の理事・理事長選挙において「話し合いでまとめ、対決選挙にしない」との努力が積みかねられてきた。その中で長田理事長の相談役(理事)構想も崩れたので、理事長問題もまとまるのではないかとの予想もあった。しかし森島という人物は、そのような常識的な考えで行動する人間ではなく、自分が理事長になるために、理事長選挙(21日)直前の7月7日14日の理事会において周到に準備してきた学外理事の入れ替えを行ったのである。今回の理事長選挙の総括に関しては、この1ヵ月ばかりの事ではなく立命館の寄付行為の見直しを含めて少し長く深い視野で総括をする必要が有るだろ。
なお7月7日の理事会において長田理事長は「お前らは・・全共闘か、・・もう一度、左翼大学にするのか・・」などの下品な言い方で正常化を願う人々を攻撃した。こうした反共分裂攻撃にひるまないことも大切である。
(4)前代未聞の特異な理事長の誕生
 森島朋三理事長が誕生した。立命館の100年歩越える歴史の中でまったく特異な理事長
の誕生である。NO73で記したことであるが、①2007年に専務理事に就任して以来、長田前理事長と共に学園に混乱と不団結、財政困難をもたらしてきただけで、立命館をどのようにするのかという理念・方針を学園構成員にも社会的にも語れない人物が学園の経営責任者として登場した。②教育・研究を使命・目的とする大学において、全学構成員の選挙によって選ばれた教学の最高責任者である総長ならびに学部教授会を基礎に職員、学生も参加した選挙で選ばれた学部長に支持されない理事長が誕生したのである。
長田前理事長でも誕生時には、内心は分からないが全学部長の支持の下に発足した。その後の彼の言動を見て多くの学部長理事が不支持に変わったのである。発足時から選挙で選ばれた総長・学部長から支持されない人物が理事長になる等は立命館の100年を越える歴史上前代未聞であるだけではなく、おそらく全国の学校法人でも例のないケースであると推察される。
大学の目的である教育研究を推進・執行するのは総長(理事)、ならびに学部長理事である。これらの人々の支持が得られない理事長など「百害あって一利なし」と言える。例え学外理事から推挙されても辞退すべきであるが、彼は逆で「理事長になりたい」という権力欲だけで学外理事を入れ替え巻き込み、理事会の多数派を形成し理事長に成りあがったのである。
森島理事長は、そう遠くない時期に教育研究機関である立命館の発展を願う圧倒的多数の構成員との間で矛盾が噴き出すだろう
(6)久岡康成副理事長・上田寛専務の言動に注視し、是々非々主義で対応を
 今回、久岡康成氏が副理事長、上田寛氏が専務と言う体制が決まった。これも異常である。職員系列の森島理事長の下にそれを支えるのが森島理事長よりはるかに年長で、いずれも学部長、副総長、図書館長の経歴を持つベテラン教員である。長田理事長は森島専務が教員とりわけ学部長からまったく信頼を得ていないことから上田氏を副理事長に据えて森島理事長(鎧)の上の「衣」のような役割を果たさせようと構想した。森島理事長は森島チルドレンの職員系列の専務理事に置いても機能しないと分かっていた。しかし教学部、国際部を担当してきて森島専務に批判的であった大島秀穂理事を専務に登用する度量は無かった。そこで理事会において理事長選挙同様に上田対大島の対決選挙として上田氏を専務に選出した。その上に大島氏を無任所理事とした。この男が如何に肝っ玉が小さく姑息であるかを改めて示した。そして自分の補佐役として副理事長に久岡氏を推挙した。
今後、久岡副理事長、上田専務の両名は森島理事長の単なる「防波堤」役になるのか、教学に精通した教員出身の副理事長ならびに専務として、森島理事長の横暴を制御する役割を果たすのか、全学は日々注視して見守ることになるだろう。ただ注意すべきことは思い込みで両名に対してのレッテル貼りをすることから対応するのではなく、その具体的な姿勢・言説・行動に対して是々非々で臨み森島理事長を孤立させていく必要があるだろう。
(7)最後に
今回の理事長選挙の結果を知って、多くの教職員が「なぜ森島理事長なのか」と不信の
驚きを持つと同時に、一部には「どうぞお好きなように」と学園の運営・将来に関してニヒルに考える人もいるだろう。それこそ森島理事長らの思う壺である。また正常化を願う人々の中には「3年後のリターンマッチだ」と思っている人々もいる。しかし3年もすれば森島理事長の職員系列への支配力は固まる危険がある。また森島理事長は財政権限を活用し、APU、附属校、各学部、機構、部課に対して統制力を強めたり、利益誘導に巻き込む危険がある。一つ一つの局面で批判し学園の正常化を願う人々に依拠して「任命制理事」ならびに学外理事の中での支持を広げていく必要がある。
なお、以前にも記したが森島専務(当時)が「経理規程」において理事長の決済規程を「1億円以上  」としたことについて責任を追及するとともに、撤回・改訂させる必要があるだろう。
森島理事長就任にあたっては、まず川本前理事長が公言していたように「総長と議論し、意見が合わない場合は、最終的には総長に従う」ことを公約、所信表明で明確にさせることが、全学合意を進めるうえで重要である。あわせて2007年に専務理事に就任して以来、大阪茨木キャンパス取得など学園に混乱・不団結と損失をもたらしてきた彼の罪を改めて追及し、学外理事との合意も実現し早期の退任に追い込んでいかなければならないだろう。
以上

 鈴木元。立命館総長理事長室室長、大阪初芝学園副理事長、中国(上海)同済大学アジア太平洋研究センター顧問教授、JICA中国人材アドバイザリー、私立大学連盟アドミニストレ―タ研修アドバイザリーなどを歴任。
 現在、日本ペンクラブ会員、日本ジャーナリスト会議会員、かもがわ出版取締役、国際環境整備機構理事長、京都高齢者大学校幹事会副代表。
 『像とともに 未来を守れ』(かもがわ出版)『立命館の再生を願って 正・続』(風涛社)『もう一つの大学紛争』(かもがわ出版)『大学の国際協力』(文理閣)など著書多数。



NO73 立命館、理事ならびに理事長選挙で正常化・教学優先の第一歩へ進むか、森島朋三専務の居直りを許し学園に新たな困難を貰らすか

2017-07-13 09:10:10 | 立命館の再生を願って
NO73立命館の関係各位へ
学園の正常化・教学優先への一歩を歩む理事会体制か、森島朋三専務の居残りによる複雑化か
     2017年7月13日 元立命館総長理事長室室長・ジャーナリスト 鈴木元

私・鈴木元は立命館の正常化・再生を願って、専用のブログを立ち上げ発信してきた。インターネットで スズキ ゲンさんのブログ と検索すれば出て来ます。毎週1000件を超えるアクセスがあり、学内外で立命館の現状を知るための情報源として定着している。先週(7月2日から8日)は1594件のアクセスがあった。

(1)7月7日の理事会、長田豊臣理事長、自らの理事推薦名簿案を提出して押し切ることはできなかった。
 7月7日、理事会が開催された。この理事会の議題は理事の選出であった。この日までに総長・理事長推薦枠10名の理事候補について、吉田美喜夫総長(以下、吉田総長)と長田豊臣理事長(以下、長田理事長)の間で協議調整のうえで名簿が提出され投票される予定であった。しかし二人の間での協議による調整はできず、理事候補名簿は提出されず、10名枠の理事選出は行われなかった。選挙区によって多少の違いはあるが10名枠の理事は7月20日で任期切れになるので、それまでに選出されていなければ、21日の理事会での理事長選出をめぐって不正常な事態となる。
7月7日の理事選挙に向けて、森島朋三専務(以下、森島専務、)などは「協議はあくまでも協議であって、合意を必要とするものではない」などの妄言をふりまいていた。しかし7月7日の理事会においては「長田理事長推薦名簿」に基づき「多数決で」押し来ることはできなかった。その点では2016年年頭の副総長選出の時よりは森島専務等は追いつめられているが、予定されている14日の理事会においては「押し切りを図ろうとするだろう」との危惧もある。
 協議の焦点は、この10年余り学園に混乱と不団結をもたらしてきた長田理事長を相談役(理事)、森島専務を理事として再任し理事長に据えるのか、と言う点にある。
長田理事長は7月7日の理事会において、次に2)で記すことともかかわって、再三に渡り「私は理事を降りる」旨の発言をせざるを得なかったので、油断はできないが、彼は理事長退任後も、お金が貰えればよいので川口清史前総長と同様の「理事ではない顧問に就任し手当をもらう」という点で妥協するかもしれない。その点でも、森島専務の理事再任と理事長選出が焦点となっている。
(2)なりふり構わない策謀によって理事再選・理事長選任を企む森島専務。
1)学園の正常化を願う人々にとって、森島専務の理事再任ならびに理事長選任を阻むためには学外理事の協力が大切である。そのことは逆に言えば学内で評判の悪い森島専務にとっては、学外理事に唯一頼らざるを得なくなっている。現在の学外理事の多数は川本八郎前理事長時代に理事に推挙された人たちであり、学内外理事の対立を固定化する森島専務の理事再任そして理事長就任を阻むためには、これまでの経緯はありつつも゛小異を捨てて大同につく゛大きな志で川本八郎氏の協力も得て学外理事の多数派を形成する必要があるし、学外理事が安心できる理事長候補も不可欠である。
既に記してきたように川本八郎氏の最大の誤りは、大学業務をさほど経験していない森島朋三を学外理事の協力も取り付けて専務理事に就任させたことである。ところが森島専務は自分の独裁体制を築くために川本八郎氏を相談役(理事)から外し顧問とした。二人の間に亀裂が生じたが学内で孤立している森島専務は茨木キャンパスの購入などで学外理事の数の力に頼らざるを得ず川本八郎氏の排除には至らなかった。川本八郎氏も慰労金問題や足羽問題などの処理で自分に不利にならないように理事会で処理してもらうためには森島専務に依拠せざるが得なかった。しかし今回の理事改選にあたって、森島専務は学外理事の中から川本人脈を一掃し、自分の体制を安定させようと計画的に策謀してきた。
2)長田理事長は予てから「今回は高齢で選出回数の多い方には降りてもらう」として3名の名前を挙げていた。合わせて7月7日の理事会において校友会推薦の理事ならびに清和会(立命館中高等学校の同窓会)推薦の理事が承認された。校友会では山中諄氏、清話会では布垣豊氏が退任しそれぞれ新しい人が就任した。要するに川本八郎前理事長の推薦で理事になった人々が退任し、森島専務が推薦した人々が新しく理事になったのである。これらの人を下すために長田理事長が「これからは若い森島君にやってもらうので私も降りる。学外理事の方も若返る必要があり、貴方も降りて若い人に譲ってほしい」と説得する役割を担った。その見返りが相談役もしくは顧問として手当をもらうということであった。そして学外理事の中で、川本人脈を無くし森島人脈とすることであった。
3)私は予てから立命館の運営、ひいては日本の私立学校法人の大きな問題が理事会問題であること、その改革の方向を2012年発刊の『立命館の再生を願って』(風涛社)以来、明らかにしてきた。おそらく私立学校法人・理事会の問題点と改革方向を日本で最初に包括的に提起した本だと推察される。
その中でa.日本の私立学校法人の理事の選出基盤が曖昧であること、b,株式会社や協同組合の場合、社長や理事長が役員会の中でどうのようにワンマンにふるまえていても事業成果が思わしくなければ株主総会や組合員総会(総代会)で批判にさらされ、解任される。しかし私立学校法人には株主総会や組合員総会(総代会)のような機関が存在しない。理事の選任・解任は理事会で行なわれる仕組みなので、一度理事会の多数を握れば、よほどのことがない限り指導権を失うことはない仕組みとなっている。
※(注①)戦前の財団法人時代には評議員会が最高決議機関で、理事もそこで選任・解任が行われていた法人もあったが、現行の私立学校法では評議員会は諮問機関となっており理事の選任・解任にはかかわっていない。
4)立命館においては「教学優先」「学内優先」の伝統を踏みにじって①全学構成員の選挙で選ばれる総長(理事)ならびに、学部教授会を基礎に職員・学生も参加して選ばれる学部長理事が合わせて14名で、全理事41名の半数に満たないという状況がつくられてきた。②何処にも選出基盤の無い長田豊臣理事長や森島朋三専務が学外理事などに依拠して学園運営を牛耳ってきたことを改革しなければならないと、私は提起してきた。
しかし立命館を含めて日本の大学教職員は総長(学長)選挙への関心は持ち、対策を立てることはあっても、理事ならびに理事長選挙については大きな関心を持たず全学的取組も行なわれてこなかった。
2015年年末の総長選挙において吉田美喜夫氏が総長に当選した時、私は「彼らは最優先課題として次期の理事ならびに理事長選挙を最大の課題として進めてくる。吉田総長を支える側もその対策を急ぐ必要がある」と提起してきた。その際「重要なことは数の上で、森島専務を支えていることになっている学外理事や任命制理事などの対策である」提起した。
5)しかし今回の理事改選の直前まで、その対策は十分には取られてこなかった。それどころか寄付行為(学校法人運営の最高規程)において「総長が推薦する」と規程されていたものを「総長は理事長と協議の上、理事会に推薦する」と改悪された時も、さほどの議論もなく常任理事会で議決された。茨木の建設契約、長岡京市の建設についても特段の反対がなされなかった。そして長岡京市キャンパスの土壌汚染問題を巡る不可解な12億円のお金の動きについての追及もなされてこなかった。
こうしたことが学外理事の人々から見れば、学内において一時金問題や茨木の土地校購入時のような反対・分裂が起こっていないとのとの認識を広げ、森島専務への批判が高まることにならなかった。こうした弱点は今後改めなければならないであろう。
6)なお長田理事長も、森島専務も教職大学院そして食科学部についても特段の関心もなかった。しかし推進しようとする学部長・教員と慎重・反対する学部長等が延々と議論することを容認するとともに、それをしり目に学外理事対策を進めていた。
今回の理事ならびに理事長改選の直前になってようやく、学外理事などに対しても働きかけが開始されたことは「遅い」と言えても、否定されることではなく、結果がどうであれ引き続き、今後とも日常的に進める必要がある。
(3)14日の理事会においても「総長・理事長推薦枠10名」の名簿が提出されない可能性も。その場合は、以前のように総長推薦名簿で行くしかないだろう。
1)告示された10月14日の理事会招集議題に総長・理事長推薦理事の選任の議題が入っていない。いまだに両者の協議による合意が形成されていないと推察される。要するに長田理事長が自分と森島専務の理事再任にこだわっているからである。オールRITS幹事会、「立命館の民主主義を考える会」、教職員組合などは森島専務の理事再任、ましてや理事長就任など認められないとの世論を個々の職場を基盤として強める必要がある。
2)森島専務が長田理事長を通じて、14日の理事会に「10名枠理事候補名簿」を提出しない決断をしたのは、現在の「10名枠理事」の任期切れと「新10名枠理事」未選出によって投票権を奪い、理事選任で多数派を形成しようとするものであると推察される。とことん悪知恵ばかりに策を弄している。しかし任期が来ても次の理事が選ばれていないときは。任期切れの理事が新理事が選ばれるまで、その職務を履行する義務があり21日の理事会においては旧理事に投票権がある。
 注意すべきことは、批判が強まっていることを自覚している森島専務は、まず理事にとどまるために、川本前理事長を相談役(理事)から顧問に降ろしたように、長田理事長を相談役(理事)にせず顧問にすることで、学外理事を始めとする関係者と取引して理事に再選される多数派を形成する危険があることである。最初から理事長にならなくとも一旦理事に就任しておいて、後で学外理事の協力を得て理事長に就任するというやり方を行う危険がある。
3)もしも森島専務らが学外理事の入れ替えを含めて理事会の多数を獲得し、理事長に就任したとしても、立命館の100年を超える歴史の中で極めて特異な力のない理事会が構成されることになる。
①まず何といっても森島本人は大学の使命である教学部門も研究部門も、そして今日の大学の在り方を規定する国際部門も担当したことはないし国際的な交渉も経験したことはない。彼は自分がイニシアチブを握りたいために権謀術策は弄しても、立命館をどのような大学にするのかという理念も方針もない。彼は全国大学行政学会や学内研修で話したことがあるが、それに関して明らかに「誰かに手を入れてもらったと物と分かる」文章化されたものがある。私は手に入れて読んでみた「これが立命館の専務理事の水準か」と恥ずかしくなる代物であった。そのような人物が総長を支えて立命館の運営、ましてや「総長と雖も、一理事に過ぎず、理事長に従わなければならない」などの言動は言語道断である。
②①とも関わって、教学の最高責任者として学生も含めた全学構成員の選挙で選ばれた総長ならびに学部長理事の誰からも支持されない理事長が、教育研究機関である立命館を運営できるとは到底考えられない。
③彼を取り巻くスタッフの見通しである。長田理事長、森島専務が相談した10名の名簿案が学内外で流れている。副理事長、専務理事、財務担当常務理事、総務担当常務理事、企画担当常務理事の候補者として名前の挙がっている人々のいずれとも、私は一緒に仕事をしたことがある。その人格についてはとやかく言わない。しかし日本を代表する有力私学である立命館を担うにはあまりにも小粒な人々である。要するに森島の言動の枠内でしか動けない人ばかりである。
※(注)かつて長田理事長は服部健二元文学長を副理事長として起用したことがある。しかし専任の理事長、副総長、専務理事が居る中で、専任の副理事長を置くことは屋上屋を重ねるだけで機能せず「健康を理由」に解任せざるを得なかった。今回も森島専務に対する風当たりが強い事や、森島チルドレンばかりで常務理事が構成されることに対する批判があることを考慮して、年配の教員を副理事長にすることによって、批判を和らげようと考えたのだろう。しかし長田推薦の10名の名簿を見ただけで、立命館の教職員からはブーイング起こるだろう。
たとえ森島専務の権謀術策が成功して彼が理事長となり彼のチルドレンばかりで常務会を組織してもまともに機能するとは思えない。森島の理事再任、理事長選任を多数決で押し切ったとしても、それを契機に、その責任の追及を含めて辞任まで粘り強く闘い続けなければならないだろう。そして早速、責任が問われる事件が表面化した。
2)森島専務の管理下、附属校において僅か1年の間に3度目の不祥事が発覚
 7月7日付「毎日新聞」の報道によると、長岡京市キャンパスの立命館中・高等学校の事務室がPTAから委託を受けていた会計処理の決済で2015年、2016年度に計117万円の所在不明金が生じていることが分かった。6月24日の保護者会臨時総会で学校側から「今後は警察の捜査に委ねる」との方針が説明された。
昨年の夏以来、守山中高等学校での不適切な生徒対応、立命館小学校でのパワハラ事件、そして今回、立命館中高等学校で不明金問題が発覚した。僅か1年の間に立命館の附属校で、教育現場にあるまじき事件が立て続けに起きた。保護者の人を含めて立命館の信用を著しく傷つけることになった。前二者の事件が発覚した時に指摘したが、現在立命館の付属学校の管理運営は総長・副総長の教学サイドの下ではなく、全国的にもまれであるが理事長・専務の下に置かれている。いずれの事件も引き起こしたのは個人であり、その責任が問われるのは当然である。しかし立命館小学校におけるパワハラにしても、そして今回の立命館中高等学校の金銭不足についても「ある瞬間の事」ではなく、少なくとも2年以上にわたって行われていたのである。当然管理責任が問われなければならない。保護者の前では学校を代表して竹中宏文副校長(高等学校校長)が謝罪しているが、管理責任の無い竹中宏文氏には気の毒な事であった。事務長の直接の上司にあたる小畠敏夫附属校担当常務は就任したばかりでこの事件に関して管理責任があるとは言えない。事務長の人事権を持ち「管理してきた」森島専務の責任が問われなくてはならないのは明白である。なおこの事件に関してはマスコミ報道がされた7月7日に開催されていた理事会において報告されている。
(3)森島専務が直接責任を負わなければならない長岡キャンパスの土地購入、ならびに土壌汚染処理を巡る損害の責任をあいまいにさせてはならない
新しい教職員も増えていることなので最初に簡単に概要を記しておく。立命館は現行の小・中・高等学校の6年3年3年と言う制度を子供の発達を考慮して4年4年4年の制度を試験的に採用することにした。私も教学的試みとしては賛成を表明したし、現在も意義ある試みであると思っている。ところが森島専務たちは、それを実施するために長岡京市の大阪成蹊学園のキャンパス跡を購入し、そこに伏見区深草の立命館中高等学校を移転させ立命館小学校と接続して4:4:4の制度を確立させるとした。これに対して私は、以下の疑問を呈し、反対を表明していた。しかし私が退職した後、森島専務のイニシアチブで実行された。
① 北大路にある立命館小学校との接続教育を行うにしては、長岡京市キャンパスは交通の便が悪いし、5年生、6年生を受け入れるには予定地は狭すぎる。
② 何よりも立命館中高等学校移転の財政的目途が立たない。校地を購入し、建物を新設するためには少なくとも150億円あるいは200億円程度が必要である。しかし立命館中高等学校の積立金は25億円程度しかなかった。立命館は構成している各学校に対して「財政自立」の方針で臨んでいる。附属校が新たな建設などを行う場合に積立金が足りない場合は「部門間融資」(法人が貸付、20年単位などで返却してもらう)で行うことにしている。ところが森島専務は、校舎の建設費110億円は法人(実際は立命館大学)が受け持つ。土地の購入資金は、深草を龍谷大学に35億円で購入してもらうことになっており、それに積立金を足して購入する。と表明した。
③ それに対して、私は、それは「財政自立の方針に反する」「もしもそのよう取り扱うなら理事会において財政方針の変更を確認すること。また慶祥、宇治、守山が新築にあたって法人から借入し、まだ返却できていない約200億円は無しにすることが必要になるが、そのようなことはできないからやめるべきである。また私・鈴木が龍谷大学に問い合わせたところ「立命館に売却するなど言う話はない」との回答を貰った。「見え透いた嘘を根拠に実行することは許されない」と指摘した。その後、深草キャンパスは京都市立工業高校の合併に伴い京都市に21億円で売却された。予算上差し引き14億円のマイナスであったが、森島専務の重大なウソも14億円の差額についても責任が取られていない。
こうした経緯の上で大阪成蹊学園の長岡京市キャンパス跡地が37億3000万円で購入された。なおこの金額は当時公表されていないが裁判記録で明らかになった。
2012年3月29日に土地の引き渡しが行われた後、鹿島建設が校舎建設のための土地整備をはじめ、その残土を大津市にある残土処理場に持ちこむために、一部の地域の土壌調査をしたところ有害物質が見つかった。立命館と大阪成蹊学園との土地売買契約書の特記事項として「引き渡し1年以内に有害物質が見つかった場合は、大阪成蹊学園の責任で調査を行い除染する」と明記されていたにもかかわらず、担当していた森島専務ならびに志方財部付部長は理事会の議決を経ることなく、大阪成蹊学園に、それを要求せず、「自主調査、自主除染」を鹿島建設に行わせた。ところが2012年の開校から3年も経った2015年5月に立命館は大阪成蹊学園を相手に「除染に掛かった11億2800万5920円を利子付きで支払え」との訴訟を起こし現在も係争中である。
裁判は大阪地方裁判所第22民事部で取り扱われている。事件番号は平成28年(ワ)4898号である。私は大阪地裁を2015年に1回、2016年に2回訪問し、裁判記録を閲覧することによって、この事件を詳細に知り、このシリーズでも取り上げて来た。今回、改めて7月11日に大阪地裁を訪問し調べた。すると今年に入ってからも1月24日、3月23日、5月19日、7月6日と4回にわたって公判が開かれており、次回は9月17に開催される予定となっている。しかしこの裁判経過は常任理事会にも報告されていない模様である。
この裁判を巡っては過去にも詳しく論述しているので、ここでは理事の改選、理事長の選任とかかわって、森島専務の責任問題について簡単に触れておく。その際、重大であるが龍谷大学とかかわっての問題や財政自立などは省略し裁判問題だけに限定する。
森島専務は以下の事について全学構成員ならびに理事会に対して納得できる明確な回答を行う義務がある
① 契約書の特記事項に「1年以内に有害物質が見つかった場合は、大阪成蹊学園の責任で調査し除染する」明記されていたにもかかわらず、なぜ立命館は12億円近いお金を負担して自主調査・自主除染したのか。
② 立命館はホームページなどで「教学機関の責任として、校地の全表土の除染を行う」と表明していたにもかかわらず、29区の内25区しか除染しておらず4区は除染しないままに放置し開校したが、なぜなのか。なおホームページの該当箇所は現在削除されている。
③ 2012年に開校したが、それから3年も経った2015年5月に突然、損害賠償請求裁判に打って出たが、なぜなのか。
④ 長岡京市の建設とかかわって、予てから建設業界では「鹿島建設が取るらしい」との情報が流れていた。そこで私は森島専務宛てに「それは事実かどうか、イエスかノウかで答える必要がある」と追及したが答えなかった。しかし業界情報通り鹿島建設が建設することになった。またキャンパスの汚染とかかわっては、本来第三者に調査を依頼すべきであるのに、鹿島建設に調査を依頼し、しかもその除染工事までを鹿島建設に発注した。なぜそこまで鹿島建設にこだわり発注したのか。しかも土地代37億3000万円に比べて、表土除染代12億円は異常に高いと思われるが、その根拠を明らかにすべきである。
裁判の成否について私は論評しない、しかし森島専務は上記の事については直ちに明確に回答する義務がある。
110億円におよぶ校舎建設は理事会に諮られず、長田理事長の決裁だけで実行された。そこで調査すると2010年年度末の常任理事会において、たくさんの議題の中に「経理規程取り扱い細則の改定について」を挟み込み、森島専務は「極、実務的な事です」と言って、まともな審議もなく通した。その中に理事長の決裁権限として「1億円以上 」と上限の無いものを書き込んでいた。これは経理規程違反である。この規程を根拠に長田理事長だけの決済で110億円に及ぶ契約が実行され、鹿島建設によって長岡京市キャンパスの校舎建設が実行されたのである。
 以上の事態を見れば森島専務は専務解任だけではなく、懲戒解雇の対象であり、法人として損害賠償を請求すべき対象者である。ましてや理事再任や理事長選任の対象になりえないことは明確である。
(4)直ちに理事会の改革に着手しなければならないだろう
森島の再任を阻めた場合も、彼が再任された場合でも、理事会の改革の取り組みを粘り強く進める必要がある。その際
第一は、教学優先、学内優先の原則から言って、総長ならびに学部長理事など学内の選挙で選ばれた理事を理事の多数にすることである。そのため学外理事、「任命制理事」の削減に踏み切ること。そしてAPUの学長などを任命制ではなく構成員による選挙制度に変える必要がある。
第二は、長田理事長の「10枠理事推薦名簿案」を見ると、理事長、副理事長、専務理事、常務理事・・が列挙されている。専任の理事長がいる時に専任の副理事長など必要はないし、専任の理事長の下に財務担当常務理事・総務担当常務理事が居る時に専務理事は必要ではない。要するに学部長理事に対抗するために「任命制」常任理事を増やし過ぎて来たのである。
第三は、総長・理事長の対立を防ぐためにも、国公立大学並びに関東の主要大学において行われている総長・理事長制に踏み切り、総長を経営面で支える副理事長もしくは専務理事を配置するということにすべきであろう。また総長と理事長の複数制をとる場合は、川本八郎前理事長が明言していたように「総長と理事長の意見が違った場合、違いの調整に努めるとともに、どうしても一致しない場合は全学構成員の選挙で選ばれた教学の最高責任者である総長に従う」ということを再度明確にしておくべきである。
第四は、理事会から独立した厳格な監事体制の確立である。
この間の経緯を見れば経理規定において理事長の決済権限を「1億円以上 」などと制限のない状態にしたことは、明らかに経理規程違反である。これらが理事会で決定されたことは、その会議に出席していた理事全員の責任が問われることであるが、理事会から独立した厳格な監事体制が確立していれば、防げたことである。
 ※(注)これら以外の詳しいことは拙著『立命館の再生を願って』(風涛社)のP268-298を参照の事。

鈴木元。立命館大学総長理事長室室長、大阪初芝学園副理事長、中国(上海)同済大学アジア太平洋研究センター顧問教授、JICA中国人材アドバイザリー、私立大学連盟アドミニストレ―タ研修アドバイザリーなどを歴任。
 現在、日本ペンクラブ会員、日本ジャーナリスト会議会員、かもがわ出版取締役、国際環境整備機構理事長、京都高齢者大学校幹事会副代表。
 『像とともに 未来を守れ』(かもがわ出版)『立命館の再生を願って 正・続』(風涛社)『もう一つの大学紛争』(かもがわ出版)『大学の国際協力』(文理閣)など著書多数。



no72 川本八郎前理事長も森島朋三理事長説を否定

2017-07-04 10:02:34 | 立命館の再生を願って
NO72 学校法人理事ならびに関係各位へ
川本八郎前理事長も森島朋三理事長説を否定
理事改選を前に、恥ずかし気もなく、悪あがきをする長田理事長、森島専務
2017年7月4日 元立命館総長理事長室室長・ジャーナリスト 鈴木元

※本文は私の立命館問題専用ブログ(スズキ ゲンさんのブログ)に掲載し公表しています。

はじめに
私は、本シリーズのNO70ならびにNO71で、理事改選にあたっては、末川博総長以来の立命館運営の原則、すなわち教学優先、学内優先の原則に従って、吉田美喜夫総長そして学部長理事の意見を尊重して、理事ならびに理事長の選出を行うべきである。またどこにも選出基盤の無い長田豊臣理事長ならびに森島朋三専務の居直りに対して、一度で決着がつかなくとも、粘り強く繰り返して闘う必要がある旨を書いた。
その後の動きを見聞すると、あくまでの学園の私物化を続けたい長田豊臣理事長ならびに森島朋三専務の、恥ずかし気もない悪あがきの醜態が示されているので、三点の論評を発信することにした。吉田美喜夫総長ならびに学部長理事各位は、学園正常化を願っている全学の期待に応えて、心ある学外理事ならびに良識ある校友と協力して奮闘されることが期待されている。
(1)長田豊臣理事長は「長田豊臣相談役(理事)」「森島朋三理事長」を要求
私は理事改選を巡る文書の中で「長田豊臣理事長は、お金が欲しいから、理事長を降りても、顧問などを要求し手当を求める可能性が高い」と指摘した。ところが今回、彼は顧問どころか、理事である相談役就任を求めているとのことである。彼は2007年に理事長に就任するにあたって「つなぎの理事長だ」なとど控え目な態度を取っていた。しかし理事長に就任してみて、お金と職員を中心とした人事に携われる「権力の魔力」に取りつかれるにしたがって「川本氏を上回る理事長になる」などと言い出し、大阪茨木キャンパスの開設や長岡キャンパスの開設を川本前理事長の実績を上回る物であるとの妄想を抱いた。そのため私が予測した顧問では不足らしく「自分の下にいて、自分が顧問にしてやった川口清史前総長と同じ扱いではなく、川本前理事長が退任当初に就いたと同じ『理事である相談役』(現役理事長と同じ処遇)を求めているのである。
ところで日本では株式会社で社長などが交代する時、降りる社長が相談役に就任し、社長並の手当を保障され、会社の経営にもあれこれ口を出すこ事がしばしばあった。これが近年社会的問題となり今年の株主総会でも追及されたりしている。そこで近く法改正が行われ、相談役設置を制限するとともに、その活動を株主総会などに公的に報告義務が生ずることになる。学校法人である立命館においては相談役制度そのものを廃止すべきである。
長田豊臣理事長は、自分の後継者として森島朋三専務を理事長に就任させ、長田豊臣相談役(理事)、森島朋三理事長で“院政”体制を引き、全学で選ばれている吉田美喜夫体制を骨抜きにしようと策している。
(2)相も変わらず居直りとウソ、恥ずかしげもない行動を繰り返す森島朋三専務
①今回の理事選挙とかかわつて、長田豊臣理事長や森島朋三専務は、寄付行為において「総長と理事長の協議により10名を推薦する」と規定されているにもかかわらず、吉田美喜夫総長との合意に基づかないで、7月7日の理事会において「理事長推薦理事名簿」を提出しようとしている。事情を知る人々から「それは違法ですよ」との指摘が行われた。それに対して森島朋三専務は「協議か整わなくても、問題ありません」応えているとのこと。
2015年年末、吉田美喜夫氏が総長に当選し2016年年頭に吉田美喜総長が副総長を理理事会に推薦にするにあたって「副総長は総長が理事長と協議の上、理事会に推薦する」との規定に基づいて推薦しょうとした。その際、吉田総長は選挙において全学が二分されたことを考慮し、4名の副総長の内、2名については自分に対立して立候補した渡辺公三副総長と彼を推薦した是永駿副総長(APU学長)を推薦し、あと2名は自分を推薦してくれた佐藤春吉元産業社会学部長と坂根政男元理工学部長を推薦した。
それに対して長田豊臣理事長ならびに森島朋三専務は反対した。その時、彼らは「協議とは合意である」と主張し、総長が理事長との合意なしに理事会に諮ることに反対した、そして理事会において渡辺、是永については承認したが、佐藤、坂根については事前に学外理事に根回し否決した。立命館において総長が推薦した副総長を理事長らが否認したことは歴史上初めての事であり、また学外理事と学内理事が対立したという事態を作ってしまった。
ところが今回は「協議は協議であって合意は必要でない」と主張しているのである。それでは前回の副総長選挙時の「協議は合意でなければならない」と主張したこととの整合性はどうなるのか。こういう二枚舌を使う人物は、法律や規則に基づいて組織を運営するという近代組織運営の最低の原則さえわきまえない人物であり、こういう人物が理事長などもっての外で、直ちに専務理事も解任すべきであろう。
②前回のNO71で私は理事改選に先立って行われる評議員選挙にあたって、その候補者名簿の中に、定員が充足できず廃止しなければならなくなった経営管理研究科科長の名前が挙がっているのは異常であると指摘した。経営学部・経営学研究科の選挙区から選ばれないので、学外関係者の選挙区で選ばれる対象に挙がっていたからである。この私の指摘に対して森島朋三専務は「過去にもそう言う事例がある」などと抗弁している。立命館において現職の教職員を学外関係者の選挙区から評議員に選んだことなど無い。森島朋三専務が「ある」と言うなら「何時、誰が、何処から選ばれたのか」を回答する義務がある。彼はこの間、何回も少し調べれば、直ぐにばれるウソを平然と語ってきた。例えば、長岡キャンパス設置にあたってその財源問題が生じた時、彼は「深草キャンパスを龍谷大学に35億円で購入してもらうことになっています」とウソをついた。これは政策判断の誤り等と違って社会人として組織人として許されない事であり、前回指摘したように大学から去らなければならない人物である。
③私のブログだけではなく、最近学内で「立命館の民主主義を考える会」等の団体が長田豊臣理事長の問題とともに森島朋三専務を批判する文書が次々出されている。これに危機感を抱いた森島朋三専務理事は学外理事の有力者などに対して「今回は、私を理事長にしてください」と訴えているとの情報が学内外で流れている。理事長や総長は推挙されるものであって、自分から立候補するようなものではない。もはや「恥も外聞もない」彼の行動は、学外理事の人を含めて顰蹙を買うだろう。
(3)川本八郎前理事長も森島朋三理事長説を否定
 以前の文章で、私は川本八郎前理事長には功罪あるが、立命館に被害を与えた最大の問題は森島朋三氏を事実上の後継者指名し専務につけたことであると記した。その川本八郎氏が今回の理事・理事長選挙にあたって「森島朋三の理事長など駄目だ」「寄付金も集められないようでは立命館は潰れる」との意見を述べ「現時点では久岡康成元法学部長・図書館長である」と彼を推薦し学外理事などに働きかけているとの情報が学内外で流れている。久岡康成氏は副総長も経験した立命館法学部出身者で学部生時代に司法試験に合格した人で、現在も弁護士として健在である。私は久岡康成氏についてあれこれの評価はしない。誰が理事長にふさわしいかは吉田美喜夫総長などの学内関係者が判断すべき事柄である。

さいごに
立命館の将来を考える人は、その所属が立命館大学、立命館アジ太平洋大学そして附属校と違っていても、また組合関係、部次長などの職制とその職務を越えて、そして校友の人も、今こそ、この10年に渡って立命館に混乱と不団結をもたらしてきた長田理事長・森島専務体制打破の一点で、「小異を捨てて大同につく」立場で、共同すべきでしょう。
そうでないと長田理事長・森島専務により、学内外理事の不団結の継続、仲間内に近い人物だけの組閣により、学園の危機は深まり、少子高齢化時代の厳しい私学・私大間競争を乗り切れないでしょう。

鈴木元。立命館大学総長理事長室室長、大阪初芝学園副理事長、中国(上海)同済大学アジア太平洋研究センター顧問教授、JICA中国人材アドバイザリー、私立大学連盟アドミニストレ―タ研修アドバイザリーなどを歴任。
 現在、日本ペンクラブ会員、日本ジャーナリスト会議会員、かもがわ出版取締役、国際環境整備機構理事長、京都高齢者大学校幹事会副代表。『立命館の再生を願って 正・続』(風涛社)『もう一つの大学紛争』(かもがわ出版)『大学の国際協力』(文理閣)など著書多数。