夕焼け金魚 

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俳人夫妻・沢木欽一・細見綾子

2024-09-27 | 日記
俳人として名を上げた者同士が結ばれる例は多くないようです。
田島和生の俳句有情に二人の事が書かれています。
気持ちが句作として残っているところが、参考になるかなと。

二人の結婚式は昭和21年11月。
綾子は再婚で、前夫は病死している。
欽一28歳・綾子40歳の年上女房でした。

  鶏頭を三尺離れもの思ふ    綾子
  結婚する前年の句。
  自注で「鶏頭と自分との距離が三尺だと思ったときに何もかもが
  急にはっきりするように感じた」と書く。
  「もの思ふ」が結婚のことだと考えると句の世界が狭くなると
  田島は書くが、結婚というものを少し離れて見る女の考えが
  見えるようで、金魚は面白いと思います。
  この鶏頭句碑は金沢市尾山神社境内にたっているそうです。

  トランクに柿つめ加賀の金沢へ   欽一
  綾子が丹波の柿をトランク一杯に詰めて来る。
  戦後の食料事情などが感じられる。

  見得るだけの鶏頭の紅うべなへり  綾子
  前書に「十一月沢木欽一と結婚」とある。
  前掲句と比べると幸福感があふれているようです。

  わが妻に永き青春桜餅   欽一  
  昭和30年の作で、結婚後8年目。
  自注に「妻の誕生日に。多少甘いか」と書く。
  少し照れくさそうでおかしいと田島氏。

  鶏頭の襞にこもれりわが時間    綾子
  歳を重ねて老いた自分だが、真っ赤な鶏頭にこもる「わが時間」
      なのだと思ったのだろうか。

  吾亦紅ぽつんぽつんと気ままなる   綾子
  「気ままなる」とどこか突き放したように詠んでいる。
  この句の二年後、綾子は九十歳で生涯を終える。

  秋ゆふやけ一生のいのち輝けり    欽一
  綾子は三日間昏睡状態の後息を引き取る。
  その一生は秋の夕焼のように輝いていると詠む。

  多摩川の土筆妻に供へけり      欽一
  欽一も平成13年82歳で波乱の人生を閉じた。

  俳人同士の夫婦関係が垣間見えて面白いと思います。
  

  
       

  

  
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