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「ル・パルクの色 遊びと企て」ジュリオ・ル・パルク展

2021年11月07日 | アート

銀座メゾンエルメス フォーラムで開催中の「ル・パルクの色 遊びと企て」ジュリオ・ル・パルク展 (Les Couleurs en Jeu by Julio Le Parc) を見に行きました。

レンゾ・ピアノ設計のメゾンエルメスのビルのファサードを大胆に使ったル・パルクのインスタレーション。これを見て「何?何?」と思った方もいらしたのではないでしょうか。カラフルな色の構成に、見ただけでわくわくしてきます。

エレベータに乗ると、1階から9階のギャラリーに上るまで、内壁沿いにロング・ウォークという作品が続いていて、これまたびっくりしました。(言葉で表現するのが難しいですが、例えるならばドミノ倒しのような、ピタゴラスイッチのような。)

ヴォリューム(容積)と色のアンサンブル 1971-1975

ル・パルクは1928年アルゼンチン生まれのアーティストです。1958年にフランスに移住し、モンドリアンやロシア構成主義に影響を受け、幾何学的な抽象画の制作をはじめました。

1960年代に他のアーティストたちと視覚芸術探求グループ (GRAV) を結成し、視覚的錯覚や動力を用いたキネティックアートや観客参加型作品など、新たなアートの体験を提案してきました。

本展では、ル・パルクのこれまでの活動から「色」をテーマとし、初期のモノクロの作品から1959年からの14色を使った作品のシリーズ、モビールの新作まで、メゾンエルメスのビル全体を使って紹介しています。

ビルのファサードを飾るカラフルなアートが、ギャラリーの内側から見るとステンドグラスのような効果を生み出しています。右に見えるのは2階分の吹抜けに吊り下げられた、14色の板を使った大掛かりなモビールです。

ル・パルクの14色を使った構成作品

ル・パルクの作品を見て、中学1年の美術の時間に習った12色の色相環や、グラデーションの構成課題を懐かしく思い出しました。当時からデザインや幾何学が好きで、こういうアートを考えるのが大好きでした。

初期の頃のモノクロームの作品

スチールの板を使ったモビール。鏡のようにキラキラしてきれいでした。

シリーズ 14-14 置換 1970-2020

14色を使った構成ですが、私は灯台のレンズを思い出しました。

オンド (電波) 110 no.8

14色の組合せが、隣り合う色によって、飛び出して見えたり、へこんで見えたりする不思議。習作も豊富にありましたが、どれも見ていて飽きませんでした。

映像作品や、ル・パルクのインタビュー映像などもあり、興味深く鑑賞しました。

暗くなってからのメゾンエルメス。明かりが灯るとますます美しかったです。


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10 コメント

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12色相環 (ノルウェーまだ~む)
2021-11-08 11:26:16
セレンさん☆
懐かしいです!!12色相環の課題ありましたね~
幾何学なデザインもこうしたインスタレーションで見せると、ぐっとデザイン性が上がりますね。
夜のビルの顔がぐっと魅力的に輝いて本当に素敵です☆
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ビルとアート ()
2021-11-08 14:06:51
こんにちは。

こういうアートの見せ方があるんですね~!!オシャレで遊び心感じますね。
12色の色相環、懐かしいです。授業でデザイン画も書いた記憶が・・・、でもどちらかというと風景画が好きで(というか大雑把で)線がきちんと引けない人でした(>_<)
色の組み合わせでこんなに多彩なデザインが魅せられるってスゴイですね。

夜景もとっても綺麗です。
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ほほお (だぶるえんだー)
2021-11-08 22:59:04
  面白いです。はて。なんだか作品がうごめいているような?いやもちろん錯覚でしょうけど。そういえば、アメリカの医師が、事故で色がわからなくなった画家の症例を書いていました。信じがたい話ですがこの画家は再起したそうです。色がわからないまま絵筆をとり新境地を拓いた。良い話ですが、色がまるで分らないというのはやはり・・・・・・・・・・
  ル・パルクさんのことはまるで知りませんでした。1928年生まれということは、チェ・ゲバラと同じくらいでしょうか。両者に交流があったとは思えませんが、同郷ですし(アルゼンチンは郷と呼ぶには広すぎますが)パルクさんも噂は耳にしていたでしょう。もしかしたら、ゲバラもパルクさんの噂を聞いていたかもしれません。新進気鋭の芸術家。アルゼンチン生まれ。
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☆ ノルウェーまだ~むさま ☆ (セレンディピティ)
2021-11-08 23:35:37
まだ~むさん、こちらにもありがとうございます。
色相環、懐かしいですよね。
ビルのファサードに、エレベータ、そしてギャラリー、とビルをまるごと使った大胆なインスタレーションで、とても楽しかったです。
ちょうど隣のソニービルが取り壊されて、ビルの横がまるまる見える状態になっている今だからこそ、楽しめるアートですね。
夜の美しさにも感嘆しました!
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☆ 瞳さま ☆ (セレンディピティ)
2021-11-08 23:44:13
瞳さん、こんばんは。
ビルをまるごと使った楽しいアートでした。
瞳さんも色相環とデザイン、習われたのですね。
後から思えば、この時の美術の先生は、おそらくグラフィックデザインがご専門だったのだと思います。
美術の授業では写生、粘土、美術史など、ひと通り習ったのですが、特にデザインは熱がこもっていて一番おもしろかった記憶があります。大好きな先生でした。

夜景は内側から明かりが照らされて、よりいっそうきれいでした。
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☆ だぶるえんだーさま ☆ (セレンディピティ)
2021-11-09 00:00:43
だぶるえんだーさん、こんばんは。
そうなんです。色の組み合わせて、でっぱったり、ひっこんだり、動いているようにも感じられました。
ル・パルクさんは、錯視やキネティックアートとよばれる、動きを使った作品を手掛けたアーティストでいらっしゃいます。

社会的視点を持ったアーティストは多いですが、このル・パルクさんも政治運動に身を投じ、社会的発言をしてこられたアーティストです。
当時のチェ・ゲバラの革命的思想にも、影響を受けられているのかもしれませんね。
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おどろき (だぶるえんだー)
2021-11-14 22:57:01
  調べてみました。チェ・ゲバラとル・パルク同じ年に生まれているのです。完全に同時代人。ゲバラは早逝してしまったわけですが。
  ああいう時代ですし、芸術家といえど社会的発言をせずにいられなかったのでしょう。フランスに移ったのも、発言のせいで故郷に居づらくなったためでは。それはともかく色の組み合わせでこれほどの表現ができるとはすごい。ル・パルクの名は百年後にも残っていることでしょう。
  
  
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☆ だぶるえんだーさま ☆ (セレンディピティ)
2021-11-15 00:02:39
だぶるえんだーさん、こんばんは。
調べてくださって、ありがとうございます。
ルパルクとチェゲバラ、なんと同じ年に生まれてたのですね。
同じ時代を生き、それぞれの立場から考えることもあったでしょう。
そしてルパルクがチェゲバラの影響を受けたとしても不思議ではありませんね。

ルパルクの色彩構成、14色の組合せから広がる多彩な表現に感動しました。
見応えのある、楽しい展覧会でした。
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くだもののように (だぶるえんだー)
2021-11-19 19:23:13
  いろがわからないひとは、こういう変化が楽しめないのですね。気が重くなります。今月八日に紹介した画家は事故後視力が凄まじく向上したそうですが(いろがわからなくなった代償?)。
  光文社からチェ・ゲバラの伝記漫画が出ていまして。ゲバラもカストロも男の中の男という感じで描かれていました。哀しい結末でしたが(しかたない。史実なのだから)。そうだ。現ローマ法王もアルゼンチン出身でしたね。市内の映画館であのひとの半生を撮った作品が公開されていたんですが、見逃してしまった。期間が短すぎると嘆息しましたよ。
 
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☆ だぶるえんだーさま ☆ (セレンディピティ)
2021-11-19 23:13:24
だぶるえんだーさん、こんばんは。
色がわからない世界、想像しにくいですがお辛いでしょうね。
私は極度の近眼なので、もしもいつか目が見えなくなったら...
と思うととても怖いです。どちらも嫌ですね。
Pope Francis は飾らない穏やかなお人柄で、聖職者としてあらゆる人々を温かく導かれ、リベラルな思想をお持ちで今までにはないタイプの教皇様ですね。私はプロテスタントですが、今のポープは大好きです。いつも発言に注目していて、共感したり、励まされたりしています。
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