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フェルメール展

2018年10月15日 | アート

奈良旅行記はしばしお休みします。

上野の森美術館で開催中の「フェルメール展」を見に行きました。東京は2019年2月3日まで、その後2月16日から大阪に巡回します。

バロック期を代表するオランダの画家フェルメール。17世紀に活躍し、その後忘れ去られた不遇な画家ですが、19世紀になってから作品が再び脚光を浴びるようになりました。寡作で知られ、現存すると考えられているのは35作品です。その希少性もあって日本でもかなり人気の高い画家のひとりです。

今回は35作品中9作品が東京で公開(大阪公開も含めると10作品が来日)という、過去最大規模のフェルメール展です。(途中で作品の入れ替えがありますので、詳細はご確認ください) また本展では、フェルメールと同時代に活躍したオランダ人画家たちの作品約40点も合わせて展示されています。

***

チケットは混雑緩和のため日時指定制となっていたので、前日にチケットぴあのサイトで購入しておきました。9時半からの回で10時頃に訪れ、待つことなく入場できましたが、会場内はそれなりに混んでいました。時間帯やタイミングでは日時指定でもかなり待つことがあるようです。各回の後半の時間が比較的すいているということです。

またチケットには音声ガイドと小冊子がついていました。音声ガイドはふだんはめったに利用しませんが、石原さとみさんの声は落ち着いていて聞きやすかったです。いつもは作品リストにメモをとりながら鑑賞していますが、小冊子がついているのでその必要もなく、作品を鑑賞することに集中できました。

 

ハブリエル・メツ―「手紙を読む女」 1664-1666年頃

まずは17世紀オランダ人画家の作品から。この作品はフェルメールから影響を受けたと考えられていて、構図や柔らかい色調、女性が着ている黄色い上着までそっくりです。同じメツ―の「手紙を書く男」と対になっていて、物語が感じられる作品でした。メイドが緑の布をめくって見ている航海の絵は、前途多難な愛を暗示しているそうです。

エマニュエル・デ・ウィッテ「ゴシック様式のプロテスタントの教会」 1790-1685年頃

実在する教会ではなく、異なる建造物の要素を組み合わせて描かれた、想像上の教会だそうです。音の反響が聞こえてくるような大きく荘厳な空間に引き込まれました。当時のオランダでは死者を教会に埋葬する風習があったそうで、手前にそれを示す墓穴が描かれています。

ヤン・ウェーニクス「野ウサギと狩りの獲物」 1697年

17世紀のオランダでは狩猟が貴族の特権で、獲物を描いた静物画は富を誇るものとして人気があったそうです。中央の野ウサギは頭から血を流していますが、毛並みがふわっふわでつややかで、まるで生きているようでした。

ヨハネス・フェルメール「マルタとマリアの家のキリスト」 1654-1655年

そしていよいよフェルメールの展示室へ...。本作はフェルメール唯一の聖書を題材にした作品で、かつ最も大きな作品だそうです。”ルカによる福音書”からの有名な一場面ですが、私は平野啓一郎さんの小説「マチネの終わりに」にあるやりとりを思い出しました。3人、特にキリストのお顔立ちが今どきの若者風?に見えて驚きました。

ヨハネス・フェルメール「手紙を書く婦人と召使い」 1670-1671年

この時代、恋人同士で手紙をやりとりするのが流行っていたそうで、手紙を読んだり書いたりしている作品が数多くありました。^^ 窓から入る柔らかい光、幸せな時間が満ちてくる美しい情景でした。

ヨハネス・フェルメール「ワイングラス」 1661-1662年

女性が口にあてているワイングラスはほとんど空で、男性が継ぎ足そうと待ち構えています。窓ガラスには馬の手綱を握る女性の姿が絵が描かれていて、女性に節制を促すメッセージがこめられているとか...。フェルメールといえばブルーの美しさで知られますが、私は今回、赤の美しさに魅せられました。

ヨハネス・フェルメール「手紙を書く女」 1665年頃

黄色い上着は本展で展示されている「真珠の首飾りの女」「リュートを調弦する女」にも描かれています。同じモデルさんでしょうか。前述のハブリエル・メツ―の「手書きを読む女」にも同じような黄色い上着が描かれています。

ヨハネス・フェルメール「牛乳を注ぐ女」 1658-1660年頃

フィナーレを飾るのは、ポスターにも描かれているこの作品です。ナビゲーターの石原さとみさんが、現代のSNSのような...とおっしゃていて、一瞬、え?と思いましたが、今まさに牛乳を注いでいる瞬間を切り取っているところや、小物の配置、光の捉え方など、なるほどインスタっぽい?うまいことを言うなーと、妙に納得しました。^^


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6 コメント

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フェルメール大好きです (ノルウェーまだ~む)
2018-10-16 00:17:20
セレンさん☆
フェルメールの作品も色々解説があると面白いですよね。
それを石原さとみさんがしてくれるなんて!素敵♪
有名な作品はいくつも観ていますが、ワインを飲む絵とか初めて拝見しました。
実際は意外と小さいのですよね、彼の作品。
日本で人気の作家だからやっぱり当分混みそうかしら…
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もう始まってた! (ごみつ)
2018-10-16 03:31:05
こんばんは!

フェルメール展、開催前からかなり話題になってましたが、もう始まってたんですね!
かなり混雑してそうだな~。(;^ω^)
上野の森美術館は、狭いのに人気アーチストの展覧会をやるので、困っちゃうんですよね。(笑)

会期も長いので少しでもすいてそうな時があったら是非足を運びたいです。

「叫び」が来るのでムンクも行きたいんですよね~。ファインアートの展覧会、しばらく行ってないので、ゆっくり美術鑑賞したいな~。
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フェルメール展! (マリンカ)
2018-10-16 11:21:02
セレンさんこんにちは~!
東京では現在、フェルメール展が開催されているんですね✨
入場制限、日付指定だなんて、凄い盛況っぷりですね💦
フェルメールの絵はやはり数少ないせいかあまり本物は見たことないような…
これは貴重な展覧会ですね~😄


ハブリエル・メツ―の「手書きを読む女」、一瞬フェルメールの絵かと思いました!
そっくりですね。
しかしフェルメールの絵の中の女性は光を浴びてキラキラ輝いていて、本当に今にでも動き出しそうなリアル感がありますね。
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☆ ノルウェーまだ~むさま ☆ (セレンディピティ)
2018-10-16 11:39:20
まだ~むさん、こんにちは。
石原さとみさんというと、シンゴジラのイメージが強烈で^^;
一抹の不安がありましたが、今回は落ち着いていてよかったですよ。^^
「ワイングラス」と記事にはないですが「赤い帽子の女」
1月9日以降に公開される「取り持ち女」は日本初公開ということです。
開催期間は長いですが、後半はきっと混雑するでしょうから
いらっしゃるのでしたら早めがいいかもしれませんね。
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☆ ごみつさま ☆ (セレンディピティ)
2018-10-16 11:50:44
ごみつさん、こんにちは。
フェルメール展、まだ始まったばかりですが早めに行ってきました。
それなりに混んでいますが、日時指定なので比較的ゆったり見れました。
これから人気の展覧会は日時指定にするといいかもかもしれませんね。

入場時間は決まっていますが、出る時間は自由なので
各回の後半に入場するのがよさそうです。

ムンク展も楽しみですね☆
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☆ マリンカさま ☆ (セレンディピティ)
2018-10-16 12:07:53
マリンカさん、こんにちは。
フェルメール展、今月はじまったところです。
人気の展覧会ですが、日時指定なので、比較的ゆったり見れてよかったです。
作品の入れ替えがあるので、コアなファンは2度、3度と足を運ばれる方もいらっしゃるかも?

ハブリエル・メツ―の「手紙を読む女」明らかにフェルメールっぽいですよね。(^_-)-☆
比較して見ると、おもしろかったです。
柔らかな自然光の中、女性の肌の美しさが印象的でした☆
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