奈良旅行記はしばしお休みします。
俳優のジョン・クラシンスキーが監督・脚本を手掛けた、新発想のサスペンスホラー。実生活で妻であるエミリー・ブラントとともに、夫婦役で共演しています。
音に反応して人間を襲う怪物によって、人類は滅亡の危機に瀕していました。アボット家の5人は音を立てずに生活することで、なんとか生き延びていましたが、ある時、次男が手にしたおもちゃが音を立て、あっという間に怪物に襲われてしまいます。次男におもちゃを与えた長女リーガン(ミリセント・シモンズ)は、後悔に苛まれますが...。
音を立てたら即死!と聞いて、2年前に公開された「ドント・ブリーズ」を思い出しました。ドント・ブリーズは閉ざされた空間で繰り広げられるお化け屋敷的なおもしろさがありましたが、本作の魅力は、例えるならば広大な森を舞台にした "大掛かりなかくれんぼ" といったところでしょうか。
私たちはアボット家の家族とともに、息を止め、身動きをせず、全身を緊張感でびりびりさせて、目がスクリーンに釘付けになります。それはまるで、映画を見ながら新しいアトラクションに参加しているような新鮮な体験でした。そういう意味では、映画館で体感してこそ楽しめる作品といえるかもしれません。
アボット家の家族に課せられているのは ”音を立ててはいけない” というシンプルなルール。冷静に考えれば突っ込みどころはたくさんあるし、ルールが論理的に統一されているわけではありません。^^ 絶対に音を立ててはいけないのかと思いきや、ひそひそ声だったらOK?な時もあるし...
滝の近くだったら大きな声を出しても大丈夫!とか、人間の声はダメだけど自然の音はOK?とか、そのあたりは結構アバウトですが^^ 「あ、今のは”たんま”ね」という感覚でゆるく受け止めました。怪物=エイリアンの造形は決して目新しくはないですが、ひと目で悪者とわかるところがよかったです。
次男がおもちゃといっしょに乾電池を手に取った時にその後の悲劇を覚悟したり、釘がアップで映った時に誰か踏むぞ~とはらはらしたり、赤ちゃんが生まれるという大事業をどうやって乗り越えるのかどきどきしながら見守ったり... うまく誘導されながら、いつの間にか彼らといっしょに困難に立ち向かっていたように思います。
長女を演じたミリセント・シモンズは実際に聾唖の俳優さんだそうで、家族の会話が手話でなされるところもよかったですね。弟役のノア・ジュープくんもかわいかった♪ 最後は家族愛の物語になっていましたが、こういう映画を作れるジョン・クラシンスキー&エミリー・ブラントの夫婦はすてきだなーと思いました。