10時と3時のいっぷく

零細建築設計事務所の日常とその周辺を、コーヒータイムに綴ります。

職業の適性について考える。

2006年07月15日 | 未分類
 先日仕事で出たついでに、その近くに住む同業の先輩の事務所を訪ねました。時折お互いが行き来して情報交換をしています。その時に出た話題が、一級建築士の能力を調べるため、“再試験”を課すことを国で考えている、というものです。一連の耐震偽造事件からの流れですが、25年も前に“一級”の資格を取った者に、再試験をして、合格しなかったら“二級”に降格するのか、別の新しい資格になるのか、その辺はまだはっきりしないようですが、そんなことを高級官僚の方々が考えているようです。

 その時先輩は、それをするのなら他の全ての国家資格にも同様なことをしないと納得出来ない、と言っていました。つまり、医師や弁護士や、薬剤師、会計士、etc…。なるほど確かにそうかも知れません。建築基準法や建築士法ができたのが昭和25年。爾来55年を経過していますが、今回の姉歯氏のような例はおそらくはじめてのことだと思います。彼のおかげで、この業界が全て同じように見られたらたまったものではありません。再試験の目的が“能力”を審査するのか、それ以前の“適性”を判断するのか、どこか問題がずれているような気がします。
 
 その後二人で一致したことは、まず最初に公務員の適性再試験を実施してほしい、ということでした。(これを読んでいる方の中に公務員がいるかも知れませんが、一般論として受け止めて下さい) 飲酒運転が後をたたない県職員、教え子にわいせつ行為をする教師、公金の着服、官製談合、収賄etc… これらのニュースが日常茶飯事のように流れて来ます。おそらくこれらの公務員の方々は、当初は国民・市民のために奉仕するという高い志しをもってその職に就いた事と思います。万が一にも、「不況にも関係なく安定しているから」とか「年金も沢山もらえるから」等と言った下世話な理由ではないと思います。(私も昔、公務員を志した時があったのですが、自分の性格がすぐ賄賂を要求するような人間なので、公務員には向いていないと諦めたことがあります)

 とにかく、最初に自分達が自ら再試験をして範を示して欲しい、というのが二人の一致した意見でした。しかし、最後に“おち”がありました。その試験問題を作るのも、判定をするのも公務員だから、どこまで信憑性があるのか…。その後は二人で顔を見合わせて黙ってしまいました。