schuntama Ukulele

Eile mit Weile.

三丁目のウクレレ

2009-04-28 21:36:42 | Works in Progress


クラックの修理のために永らくお預かりしたままだった、東京バイオリン製のソプラノ。
クラックの補修後にトップ面のみラッカーを塗って、その後はなかなか手を出せずにそのままぶら下がっておりましたが、やっとこマイクロメッシュで研磨してポリッシングを済ませるところまで進みました。ペグもちょちょっとお色直しして、この前の日曜日、とうとうお引き渡しさせて頂けました。


 

製造当時はまだフリクションが一般的ではなかったのでしょう、バイオリン・メーカーらしく丈夫な木のペグがセットされていました。だいぶくすんでいたので無水アルコールで拭いてみたところ、ウェスは黄色く染まりペグの表面はベトベトしてきましたので、セラックが塗られていたのだと思います。
左の写真、手前の二本は洗浄後のペグです。あえて染みはそのままにしてあります。ここだけ綺麗にすると雰囲気が壊れますし、なによりこのウクレレが歩んできた「歴史」を尊重しました。右の写真はセラックを刷毛塗りしたところです。


 

ペグをセットして弦を張った状態です。いい雰囲気が出ています。エイジング処理ではない、本当の時を重ねた色です。




お預かり時の弦がクリアナイロンだったことと、トップに負担を掛けないためにもテンションの弱い弦が必要なのでマーチンM600を採用しました。

弦を張って早速弾いてみると、乾いた大きな音がしました。トップに気を使って優しく弾いてみても、歯切れの良い音がします。さすが44歳。よく乾燥していると思われます。だから、とても軽いのです。例えば現在のカマカと同じ感覚で持ち上げると「ぴゅいーーーーん!」と飛んで行ってしまいそうな気がするくらい軽いです。
その風貌も、いかにも昭和のウクレレという感じです。三丁目の夕日の様な・・・、銀座三丁目か浦和仲町三丁目か分かりませんが・・・、いい時代だったな・・・。

さて、アロハままさん、大変お待たせして申し訳ありませんでした。
当時もこういう音だったのでしょうか。
そうそう、私の手が届かないところに、妖精がひとり残ってますよ。