しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「カラスの親指」   道尾秀介 

2012年05月16日 | 読書
「カラスの親指」   道尾秀介       講談社

武沢竹夫、46歳と入川鉄巳、45歳は組んで詐欺をしていた。
かつてはまともな社会人だった武沢は、同僚の借金の保証人になっていたことで、人生が狂う。
闇金融の取立て『わた抜き』をさせられるまでになる。
しかし、あることが切っ掛けで、闇金組織の書類を警察に渡し、壊滅に追い込む。
武沢は報復を恐れ、名前を変えて詐欺をして暮らしていた。
そして泥棒をしていた入川と知り合う。
住む所を失った入川は武沢のアパートに転がり込む。
そのアパートが火事になり、それは闇金融のボス、ヒグチの報復を匂わせた。
住居を変えた2人のもとに、今度は若い娘、まひろが転がり込む。






詐欺師の物語かと思っていたら、2人の人生の物語で様相が変わる。
そこに至った2人の人生は、重く辛い。
しかし2人の関係は、お互いを気使う優しさが見える。
会話に色々な示唆があり、面白かった。
しかし、物語がどんな展開になるか予想出来なかった。
前向きな雰囲気はあまりなく、反撃に出るようなこともなさそうと思ったから。
新たな人物が3人加わり雰囲気が変わる。今度は何となく漫画のような。
色々突っ込みどころがあった。
特に、大事な詐欺の場面は、それはないのではないかと。
それが後で伏線だったと分かる。
生きるのは大変で辛い。
ただ、ラストはちょっとホッとさせられる温かい気持ちになれる。
後味はいい。
しかし、やはりお金か。
お金があれば、ある程度のことは出来るのだ。
結局、そこなのかな、とちょっと思った。
世の中、「大金を持っている人は、何かしら悪いことをしている」と言うものもうなずける。
ないよりは、あった方がいい物だが。
知恵だけで何とかならない物だろうか。知恵があればお金も入ってくるのか。
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