しましましっぽ

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「冬の灯台が語るとき」  ヨハン・テオリン

2018年09月11日 | 読書
「冬の灯台が語るとき」  ヨハン・テオリン  ハヤカワポケットミステリーブックス   
NATTFAK   三角和代・訳

スウェーデン、エーランド島の北東側のウナギ岬にある19世紀なかばに建てられた灯台守の大きな屋敷。
双子の灯台で、今は1つしか点いていなかった。
その屋敷は、難破船が積んでいた材木で作られ、納屋の壁には、死んだ人たちの名前が刻まれていた。
そこに、ヨアキムとカトリンのヴェスティン夫婦と6歳のリヴィアと2歳半のガブリエルの4人家族が引っ越して来る。
周りはバトル海と牧草地と泥炭湿地と閑静な場所。
ヴェスティン夫婦には、そんな場所に引っ越したい理由があった。
しかし、まもなくカトリンが海で死亡する。
派出所の27歳の新任の警察官、ティルダ・ダーヴィッドソン現場に駆け付ける。
事故と思われたが、ヨアキムは納得出来ないでいた。
ティルダはその話を祖父の弟のイェルロフに話す。
イェルロフとは、祖父のラグナルの話を聞く為に、老人ホームで会っていた。
イェルロフはその話に興味を示し、考え始める。
その頃、エーランド島では、夏の別荘を荒らす空き巣が頻発していた。
それは、ボルヘルムに住むヘンリクと、トミーとフレディ兄弟の仕業だった。
ティルダはその空き巣の捜査も、イェルロフの助言で進めていた。









「黄昏に眠る秋」の続編。4部作の2作目。
舞台がエーランド島という事は同じだが、全く別の物語。
だがイェルロフが登場して、また探偵役を演じるので、繋がりは感じられる。
今回は季節が冬。
ブリザードもあり、より静かでより寂しげ。
そして、現実に起こる事件と共に、灯台守の屋敷自体が主人公のような。
死者が集う灯台には隠された礼拝堂もある。
クリスマスには死者が戻って来る、と言う。
壁に刻まれた、死者たちの物語も書かれてより、死者の存在が大きく感じられる。
ウナギ岬の歴史が呼び込む事もあるのだろうか、と。
カトリンの死の謎。
そして、ヨアキムとカトリンが抱えるエテルの死の謎。
静かだが、壮絶なドラマがあった。
ただ、現在で起こった死の真相は、身勝手な物だった。
そんな事で簡単に人を殺してしまうとは。
都会でも、地方でもそれは変わらないと言うことか。


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