しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「あくむ」 井上夢人 

2007年07月10日 | 読書
夢と現実がごっちゃになるような、そんな5編からなる短編集。

「ホワイトノイズ」 (やつの名前はブチ。こいつのおかげで僕の生活は変わった)
盗聴にはまってしまったぼくは、柳原美嶺子に魅せられる。
その美嶺子が1度の不倫を理由い脅迫される。
ぼくは美嶺子を助けようと行動する。

「ブラックライト」 (両眼を包帯で巻かれた私のそばに近づいてくるのは誰?)
画家の小沢達也は交通事故に合い、失明、両手を骨折などの重症を負う。
しかし、骨折したはずの手が動くことに気が付き、光も感じられた。
怪我をしたというのは嘘で、自分は監禁されているのではないかと疑いを持つ。

「ブルーブラッド」 (自分が世の中の人々と違う「種」であることをしるが)
数学教師の野津原徹は吸血鬼だった。
生肉や小鳥からの血で欲求を押さえ込み、夢の中で血を飲み自分の願望をかなえさせ、犯罪者となることを避けて来た。
そんな野津原の前に一人の女性優子が、獲物ではなく恋の対象として現れる。

「ゴールデンケージ」 (身体につたう奇妙な白い筋。皮膚の下で何かが動く)
大会社の社長一家の高校生の次男・優介は親の期待に添わない存在で、優介も不良で通している。
反対に長男の大学生・賢介は親の期待を一身に受け、疲れを感じるが逆らうことも出来ないでいる。
その賢介の身体に異変が起きる。身体の白い筋が出来ているのを見つける。そしてそれは段々伸びて行っていた。

「インビジブル ドリーム」 (彼女のみた夢と同じことが僕の身に起こった)
大野は同じ劇団の未来が夢の話しをするのを聞く。
その未来の夢が現実となって、大野に現れる。



テーマは、夢・悪夢。タイトルのとおり。
それは全部夢でした、みたいなものではなく、夢と現実がかなり上手に怖くリンクしている。5編ともタイプの違う話で、怖いけど可笑しいもある。
特に「ゴールデンケージ」は現実にありそうな怖さ。凄く、リアルに想像出来てしまう。
「インビジブル ドリーム」は、カフカの「変身」を思い出させる。
可笑しいけれど、よく考えるとかなり怖い。でも、これは現実には起こらないだろうと思えるので、可笑しがっていられるのだろうな。

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