しましましっぽ

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「証言拒否 リンカーン弁護士」  マイクル・コナリー

2018年01月15日 | 読書
「証言拒否 リンカーン弁護士」  マイクル・コナリー  講談社文庫   上・下巻
THE FIFTH WITNESS        古沢嘉通・訳

ミッキー・ハラーは刑事事件だけでは食べて行けないので、家を差し押さえられた人たちの為の仕事も始める。
その顧客の1人、リサ・トランメルが、銀行の上席副社長で貸付の責任者ミッチェル・ボンデュラントを殺害した容疑で逮捕される。
ボンデュラントは出勤時、駐車場で待ち伏せされ頭部を殴られて死亡する。
リサは銀行の違法性に抗議する活動のトップとして、デモなどを計画している有名人だった。
そして脅迫めいた事をして、銀行の側に行かない様に禁止命令が出されていた。
そのリサがその時間の銀行の近くで目撃されていた。
リサの家の道具箱から金槌が消えていたことから凶器は見つかっていないが、その金槌だとされた。
被害者とリサとの身長差は25センチ。脳天に金槌を打ち込む事は可能なのか。
殺害に使ったと思われる、金槌は2週間後に発見される。
リサの車庫からは微量だが被害者の血が付いた靴が発見される。
ハラーは第三者犯人説を唱え弁護を展開する。

「リンカーン弁護士」シリーズ第4弾








サブプライムローン問題を扱った今回の物語。

ハラーがチームに加わった見習いの弁護士に言う。
「依頼人が罪を犯したのか無実なのかは、たいしたことじゃない。
彼らはみな支払った額にふさわしい見返りを提供されるだけだ」と。
だからハラーは依頼人に無実かどうか聞かない。
今回に依頼人、リサ・トランメルはずっと「わたしはやっていない!」と主張し続けるが、それを信じもしない。
ただ、途中では‟やっていないのかも知れない“と、信じる方に傾く。
そんなミッキーの心理の揺れ動きと、裁判の醍醐味。
陪審員相手の表だったものと、検察官との裏であるやり取り。
何事も真っ直ぐ正直にとは行かない。
裁判も一つのゲームだと思える。
罪の有る無しではなく、どちらが優秀なのか。

その他にも、リサの事件を扱う権利をめぐる物語や、色々あるのだ。
そしてラストは意外な展開が。
どちらにしても、後味は良くない。

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