しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「殺人鬼フジコの衝動」   真梨幸子 

2013年09月23日 | 読書
「殺人鬼フジコの衝動」   真梨幸子     徳間文庫

これは少なくとも15人を惨殺した「殺人鬼フジコ」と呼ばれた女性の物語。
書いた女性は、書き上げた後に自殺している。
作者は想像で書かれたものと記しているが、実際に起きた記録小説であることは間違いない。
昭和46年10月26日火曜日に起きた「高津区一家惨殺事件」。
両親と妹を喪い、ひとり生き残った11歳のフジコ。
フジコの両親は、見得の為にはお金を惜しまないが、子どもたちの為には給食費も出さない親だった。
そして、学校では虐めの標的にされ、心神ともに限界を感じていた時に事件は起きた。
フジコは叔母の茂子に引き取られる。
茂子は、新興宗教のQ教の熱心な信仰者。
それが原因で今までフジコの家族とは疎遠だった。
フジコは母親のようにはならないと、「いい子」を演じる。
しかし、自分の秘密を知った同級生、小坂恵美を殺してしまう。
殺しても、ばれなければ大丈夫、フジコはそう学んで行く。







話題になっていたので、手に取るが。
かなり悲惨な育児放棄や虐めの内容。
周りにいる大人たちがあまりにも、無関心過ぎて実際はもう少しましなのではと思ってしまう。
環境が変わったフジコが、生きて行く為にいい子を演じようとするのは分かる。
邪魔な存在だった恵美を殺してしまうのは、もうそれがフジコの手段になっていたからか。
始めの両親と妹の事件が最後まではっきりしないので、その後のフジコの行動もいまひとつ理解が出来ない。
残酷な事件の描写より、もっと内面に目が向いた物語なのかと思っていたが。

そして、なのか隠された事実があると言う雰囲気を受けたが、それもたいしたことではなかった。
暗いけれど、重さが足りないような、なんとなくアンバランスを感じる物語。
何故そんなに話題になったのだろう。


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