しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「ギフト 西のはての年代記Ⅰ」 アーシュラ・k・ル=グウィン  

2006年08月17日 | 読書
〈西のはて〉の〈高地〉には、不思議な力「ギフト」を持っている人々が住んでいた。
「ギフト」は血筋で伝えられ、それは攻撃的なものが多かった。
カスプロ一族に伝わるギフトは【もどし】のギフト。
なされたことをなされる前にもどす、つくられたものをつくられる前にもどす、破壊の力だった。
ギフトを起こす時は見て指差せばいい。
オレックは13歳になっても、まだギフトの片鱗も見せていない。父のカノックはそのことに苦悩していた。
しかし、カノックがマムシに噛まれそうになった時、オレックは指差し、マムシは死ぬ。それはオレックがギフトを使ったからだとカノックは喜ぶのだったが、オレックにはギフトを使った感覚はなく戸惑う。
その後もオレックが意識しない時にギフトは起こり、自分でコントロール出来ないことへの恐怖と嫌悪から、オレックは自ら自分の目を封印する。
まわりの者達はコントロール出来ない強力なギフトを持つオレックを脅威として怖れる。
カノックの妻でオレックの母、メルは〈低地〉の人なので、ギフトの知識はなく、そんなオレックを心配する。
そして、幼馴染のグライも、オレックの側で目の変わりをしてくれる。
グライのロッド一族のギフトは【呼びかけ】。動物を呼び寄せることが出来るが、狩りの為に動物を呼び寄せることをグライは嫌悪していた。



ル=グウィンの〈西のはて〉の物語の1巻目。この後、ヴォイス、パワーと続いていくようだ。
まずは、〈西のはて〉の世界を理解する為の物語が続くので、その世界を頭に描くのに、少々時間がかかる。
色々な一族がいて、それぞれ「ギフト」を持っていて、一族間の争い事がある。
しかし、その世界に馴染み、オレックのギフトに話の中心が移ると俄然面白くなった。
オレックが語る物語なので、オレックの心情がよくわかり、共感をもって受け入れることが出来る。
「ギフト」という超能力を持っていても、それが破壊にしか使えない。
そのことに戸惑い反発する、オレックとグライの心がすべての人にあるといいのに。




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