しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「夜の終焉」  堂場瞬一  

2013年10月03日 | 読書
「夜の終焉」  堂場瞬一    中央公論新社     上・下巻  

厚木市の国道129号線沿いにある深夜営業の喫茶店『アーク』。
店長、真野亮介が一人でひっそりと営む店。
早朝、訪れた一人の少女が、店を出た途端に交通事故に遭い意識を失う。
少女は身元が分かる物を持たず、汐灘市の地図を持っていた。
『アーク』の常連の交通課の警察官、石田は真野に少女の身元捜しを提案し、真野は引き受ける。
それは、20年前に逃げ出した汐灘に帰ることを意味した。
真野亮介は、殺人事件に被害者の息子だった。
その事件の加害者の息子、川上譲は弁護士をしていた。
その川上に汐灘市で起きた殺人事件の弁護を手伝って欲しいとの依頼が来る。
それは、自分の時の事件と酷似していた。
上川も、20年振りに汐灘市を訪れることになる。








殺人事件の被害者と、加害者の息子の物語。
殺人も単純に、殺した方が悪いと言うものではないので、気持ちも複雑。
どちらも被害者になるし、どちらもその場から逃げ出したくなるは当然だろう。
20年経って、再び向かい合う必要性は何だったのだろう。
20年振りの同級生に真野はどう接してもらったら、落付くことが出来るのだろう。
多分本人にも分からないのだと思う。
苛々している真野の気持ちを追っているから、自分も落ち着かない。
上川の気持ちの方がまだ分かる気がするが。
こちらは社会との係りより、家族の問題なのだろう。
新たな事件を通して、2人の人生観が変化して、前に進むようになったという物語なのだろうが。
何となく、自分にはすっきりしなかった。
しかし身元不明者を探すのは、やはり警察の仕事だと思うのだが。

登場人物の相手と接している時の気持ちがよく書かれるが、それが今一つ好きではない。
堂場さんの書く他の物語もそうなので、これが特徴なのだろう。
みんなこんなに相手を分析して、駄目だしをして見ているのだろうか。
話しを聞きに行って相手が話してくれたら、おしゃべりな奴だとか。鶏肉を噛むのがゆっくりで嫌だとか。
その気持ちが優しくないのが、自分には苦手だ。
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