女性の身だしなみはなによりも大切だということを実感した出来事を思い出しました。
1999年、博士論文の調査で初めて1年8ヶ月という超長期でマーシャル諸島に滞在した時のことです。首都マジュロでの調査をしていたある日の昼下がり、インタビューに行った先で、話を聞きながら頭がボーッとしてきたので、帰宅することにしました。翌朝、目が覚めても体が動きません。ようやくの思いではい出し、助けを求めました。
私のマーシャルのお母さんは、「大変だ!サトが病気だ~~!」とここまではよかったのですが、「ハティ!車洗うよ!」と、妹と一緒に自家用車を洗い始めました。私はその間、リビングでぐったりしています。洗車が終わると今度はシャワーです。私はぐったり動けません。シャワーが終わると、髪のセットアップを始め、洋服を選び、香水で最期の仕上げです。「さあ、病院に行くわよ」と言ってくれたときはもうお昼に近い時間でした。
案の定、水分、塩分、新鮮な野菜不足という診断が下されました。今で言う熱中症です。死ぬ寸前だったのではないでしょうか?病院からの帰り、普段使わないカートを使って、ジュース、果物、野菜を、大量に買い込みました。ありがとうお母さん!でも私は、あと3時間早く病院に行きたかったわ。
マーシャルのフォークロアに「レリクロイオン」というお話があります。二羽の海鳥が踊るように羽ばたいているのをレリクロイオンと言います。レリクロイオンは、お互いにお互いの身なりを確認しているように見えるのですが、それはお洒落なロンゲラップの女性を表しているのです。レリクロイオンを直訳すると北の女の子たちという意味で、マーシャル諸島の北部に位置するロンゲラップの女性を指しています。お洒落なロンゲラップの女性像は、古くからの言い伝えからもわかります。
(上の写真はロンゲラップの女性ではなく、首都マジュロの人々です)