歌庭 -utaniwa-

“ハナウタのように:ささやかで、もっと身近な・気楽な庭を。” ~『野口造園』の、徒然日記。

Daydream Gardenの花たち

2011年07月22日 | 造園 -creation-
「Daydream Garden for tico moon」

で使った花たちを紹介します。



ワン!




実は、
けっこう、色々な種類ありました。


もともとのご要望は、

前回の結婚式の時のような感じ」で、

「新譜のジャケットの絵の雰囲気をイメージして」。



具体的には、
「舞台の手前に、小さめの、ちょこちょこと、花があれば」。
そして、「低予算で」。


コンセプトとして設定したのは、

「白昼夢のような、夢と現の境目をふらふらするような、惚けたような混沌感」
「多様にカラフル、ちりばめられて混ざり合っている感じ」
 +
「夏の初めの風の、そよそよ、とした涼しげな感じ」。

でした。







風知草。

この葉の線の繊細な流れが素敵で、好きです。

その風を知る草という、名前も。





その陰になっている青紫は


アゲラタム。(カッコウアザミ)。




アゲラタムと、ヒューケラ(ツボサンゴ)の紅いカラーリーフ。

赤褐色系のカラーリーフを入れると、シックに締まります。


今回使った花のベーステイストには


ミソハギとか


セージとか


オイランソウ(宿根フロックス)とかのように

“ピンク”を据えました。

ピンクは、同系色として赤や紅、青、紫と結び付けやすいので、
使い勝手がよいのです。



これに加えて、



ピンクイエローオレンジが混ざり咲く、キンギョソウ。

ひとつの株の中に いろんなハッキリした色が混ざり合ってる。その点で
よい意味で「へんな花だな」と思うのですが、

白昼夢の、ちょっと現とずれたような、変な酩酊感を出すのに、ぴったりかな、と。



白、紅、薄桃、オレンジの、千日紅も。

こちらは、突飛なキンギョソウとは違って、
点描的なグラデーションでやわらかく可愛らしく包み、まとめるための、
おとなしい幼い少女チックな、カラフルさ。

フウチソウと並んで「印象のまとめ役」という重要なポジションなので、
一番目に付く、手前に、一番多く配します。





と同時に、背後にも、ちょこちょこ混ぜ込むんですけどね。




こんな千日紅もありました。


ちなみに、背景には、
手前のキンギョソウとかの鮮やかなビタミンカラーと対照的に、
青とか白をうっすら織り込みます。
陽に対する陰。

それで、奥行きを出すというか、ほの明るくぼやけたような神秘性みたいなのを、狙います。


青と白のイソトマ。星が浮遊してるみたいな花です。



蒼い蝶々みたいな花(名前失念)も。
まさにテーマにぴったり!と思ったのですが、
小さくて地味な上に、本番前に花がたいがい落ちてしまいました;



、、というわけで、
いま、なにげに、テクニックというかネタばらしみたいなことしてますけど、
なんだそれ。て感じですかね。わかりますかね。


あの色をここにこれくらい置き、これをあそこにどれくらい置く。


けっこう感覚的で経験則的なところなので、説明しにくいですが、
多分、ほんとに頑張ればちゃんと論理的に説明できるんだと思います。





花を見せるためには、地味なものも使います。

地味な色、地味な草こそ、大事です。


キリッとした風知草と共に
野生のボーボー感を出すべく、


名前忘れたけど、スゲ系の草とか。


花の終わったスモークツリーの銅葉(ロイヤルパープル)も、
こっそり入れ込みました。



ユーカリも。


ゴールドチャイルドというツタも。


目立たないけど、前景を立たせるために背景に仕込んであった。というものが、
今回に限らず、けっこうあります。

発見する面白さ、というか、隠しネタ的な。

自然の森って、そうなんですよね。いろんなものがちょこちょこ隠れるように混ざりこんでたりして。

「あれっ?」っていう、
森のカオスの中でキラリと光る「異物(stranger)」を発見したときの驚きと喜びって、
ほんと嬉しい、excitingな体験なのです。



サギ草とかね。



クチナシもね。実は居ました。一番奥に。
手前を包み込むローリエたちがあまりに強くて、霞んでしまったけど。




ブルーベリーとかもね。居ました。





ただボーボーカオスに包み込むだけじゃ ぼやけるので、

シンボリックなものも入れます。シンボリックな位置に。



カシワバアジサイ。
ちょっとグロテスクさもある、大胆な、野趣あふれる造形。

全くシンボリックで、とても好きです。

これはハープのすぐ傍に。




ちなみに、ギターの傍は、"草むらに包まれてる感"を強調しました。



つんつんしたスゲ的な草と、夏の河原に群れ咲くミソハギと、




あと、タカノハ(鷹ノ羽)ススキと。


足元には



小さなアベリアのピンク花(エドワードゴーチャ)と。

それから、



これ。

ヨーロッパギョリュウ。

中国生まれの御柳(ぎょりゅう)の、西洋版。

すごく繊細で、野趣もあり、
爽やかでしなやかで、けっこう地味で、
淡いピンク。

完璧。

実は今回の裏主役でした。




苗畑で、しっかり下まで根が付いちゃってたのを、一目ぼれして、

なんとか引っこ抜いてもらって。


今まで実物を知らず、初めて今回出くわしたこの木、ぜひいつか!どこかで使いたいなー、植えたいなーと、思っています。





あとは、前にも書いたとおり、縁取りに
ローリエと、ブルーアイスの枯葉。
あと、松ぼっくりと、ヒマラヤスギのバラ形の花。



実はこのローリエ、
初期歌庭:「sosu -砂漠の庭」で使ったゲッケイジュの「葉っぱの無い枝」の、
“残り物”でした。



 ※「メイキング・オブ・sosu 砂漠の庭」の巻


何年かかっても料理に使いきれないほどのローリエ。

我が家でずーっと甘い芳香を保ちつつ、眠っていたもの。

このたび、晴れてお目見え出来ました。










そして、おまけ。


本番、花がぜんぶ落ちちゃって、使えなかったけど、
可愛らしい花。



草花火。
タリナム、というのですが。

多肉系です。線のようにほそーーい茎の上に、ちょこんと、目の醒めるような鮮やかな紫の花をつけます。



今、
事務所の入り口の扉の横で、
そよそよと揺れつつ、ちいさな花を咲かせています。






というわけで、

このたび tico moonさんのための「Daydream Garden」で使ったお花紹介。でした。

これを参考にまたあの庭の様子を見てみると、




「なるほど~、」

なんて思えるのかどうか、は、

つゆ知らず。





ワン!



(圧倒的に余談ですが、私は圧倒的に猫派です。が、この子は可愛かった~*ブラン。ぜんぜん吠えない良い子。)




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