歌庭 -utaniwa-

“ハナウタのように:ささやかで、もっと身近な・気楽な庭を。” ~『野口造園』の、徒然日記。

「東京蚤の市」の歌庭

2014年05月21日 | 造園 -creation-
5/17(土)・18(日)。
調布の京王閣(競輪場)にて、「第5回 東京蚤の市」が開催されました。

ライブステージとなる「八角テント」。



かつては遊園地だったそうな。
強烈な黄色と赤の天幕と、
褪せたオレンジ・水色・黄色のベンチが、昭和的レトロ感を醸し出している空間。
微妙なタイムスリップ感あり。

ご縁があって、私、ここの空間装飾を担当させて頂きました。



主催者の手紙社さんからの要望キーワードは、

・ダイナミック(強い存在感、大きく)
・パリの蚤の市
・アンティーク(古き良きもの)
・可愛さよりも、美しさ
・レトロ感(モダン感は×)
・サーカス

など。

デザインについては、若干の紆余曲折~現場合わせの微修正はありつつも、
結局、最初にパッと思い浮かんだイメージを踏襲したものに。

使った材料は、(いろいろ検討したけどもやっぱり)造園家なので、植栽がメインに。
しかも、
剪定や抜根によって出た'廃材’のみを使いました。



普通なら、ただちに「ゴミ」として処理される運命のものたちを。



早速ですが、
設営直後。出来上がりの様子。



こんな感じになりました。




解題。


トップは

トウカエデ。

ざっくり伐採されて、葉っぱがついたまま捨て置かれていたものを再利用。


アンダーは



うねる緑。

これは、



オウゴンシノブヒバ(=ニッコウヒバ:サワラの園芸品種)。

先の冬の大雪で へしゃげてしまった生垣を、抜根撤去したもの。



幹と枝葉を一度すべて解体し、
奇怪な美しい形態をした幹を絡め合わせてベースの構造に。



そこに、切除した枝葉を再び「取り付け」。
随所に突き立てたりなんやかんやして、再構築しました。

自然の造形の、絶妙な荒々しさは、美しい。そして、ダイナミック。



トップとアンダーを繋ぐのは、
太めの麻ひもです。農業資材の。

このひもに、ラッピングペーパーを切り出して作った三角旗を ランダムに取り付けて、ちりばめました。



色んな柄の旗を大量に用意しましたが、
最終的に、フランスっぽい・アンティークっぽい・アースカラーの・シャビーなものだけで、シックで上品な雰囲気に統一。

これで、ロープカーテン状の‘透けるテント’を作りました。

プラス、
キラキラテープを混ぜています。これまた、農業資材の。鳥よけのやつです。
風が吹くと、ひらひら、キラキラするのです。
(ここら辺が、「サーカス」感の演出。当初はもっとゴテゴテぐちゃぐちゃのカオスにするつもりでしたが、「美しさ」を重視して、余計なものは削ぎ落し。)


後ろ姿は


こんな感じ。

これがなんだか、
重厚さもあり、繊細さもあり、優雅さもあって、

「マントを羽織った女王の後ろ姿」みたいに見えて、
我ながらいたく気に入りました。



さて、本番当日。





なんと、

想像してたのの 10倍以上の、すんごい人混み、、、。




想定外の恐ろしい大盛況ぶりに、面食らってしまいました。



アメリカンカントリーなバンド「ブルーグラス☆ポリス」さんが演奏中の模様。
人がびっしりで、まったく近づけず。




賑やか。

風が吹くたび、ひもカーテンが揺れて、旗とキラキラテープがキラキラ。よしよし。

でもあんまり強く吹かれてぶっこわれないかと、ひやひや、ドキドキ。



背後もがっつり、びっしり。

後ろからも見えるように、との想定で「透けさせた」ものの、こんなにガッツリ360度囲まれるものとは、正直思ってませんでした…。

間をあけて、



「OLDE WORLDE(オールディ・ワールディ)」さんのアコースティックなステージ。





さて、
ここらで「おや?」と思われる方も居るかと思いますが…。

そう。
本番時と、設営直後。ある部分が、ちょっと変わっているのです。



ええ、
あえて言いません。

当日見てくれた友人は「え?わざとそういう風にしたんだと思ったよ」って言ってくれたりしたけども、
本来は、あっちゃいかんミス。反省します。



幸運にも、すっかり晴れて、フェスティバル日和だったこの二日間。



怒濤の混雑も、このオールディさんのライブをもって ステージイベントがすべて完了したのを受けて、
ようやく波が引いていきました。




日曜日の黄昏時。



皮肉にも、

テントの中にも 初めて陽が射して、風もやわらかに吹き抜けて、
キラキラ、
三角旗も ヒモカーテンもシノブヒバも、キラキラと。



とても美しく輝いていました。



何人かのお客さんが、まったりしながら眺めてくれてた。

何にも催しが無い状態であっても、ただ、ぼーっと眺めて居られるといいな。と考えていたので、
ちょっと嬉しかったです。





祭りのあと。




5時、閉幕。

夏の午後、まだ明るいけど。祭りはお仕舞い。



この「テント」も、幕を下ろしていきます。



最後の光。



棄てられる前に、もう一度‘生かす’ことができた樹々たちも。
再び役目を終えて、解体。




束の間の庭。

儚い宴のための庭。

ずっと続いていく庭の豊かさとはまた違う、独特の切なさ。









綺麗にさっぱり。

すっからかん。




以上、
久しぶりの「歌庭」でした。


手紙社の皆様、見届けてくれた皆様、応援してくれた皆様、ご縁をくれた方々、、、
このたびも、どうもありがとうございました。

また、お会いしましょう。


 ~utaniwa for '5th Tokyo Flea Market'  17-18th.may.2014 ~


次回は、
案外、もう、すぐに。



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