歌庭 -utaniwa-

“ハナウタのように:ささやかで、もっと身近な・気楽な庭を。” ~『野口造園』の、徒然日記。

やおら、九月の青

2010年09月25日 | 徒然 -tzure-zure-
九月の雨は、冷やし雨。

しんと 冷えた
薄らげな風の。
夏の余韻も褪め絶えたような

静かすぎる朝。

雨が少し降っていたのかもしれない。ちょっと、忘れた。


昔、ちょうどこんな季節に訪れたときのヨーロッパの空気に、最近の早朝はどこか重なるものがあって、

とても自動的に、ふっと、当時の感覚が蘇る。

特に、早朝。

ヨーロッパ。嗚呼、ヨーロッパ。ヨーロッパ。




「今日もまた、ずいぶん寒いね~」

「もう暖房点けたいですねー」


とか言いながら、
午前中、打ち合わせ。

シンボルツリーに、西洋菩提寺(リンデンバウム)を提案したら、即決。

その他もろもろの樹木、花、草。ご希望とおすすめのやりとりと、
「あとはまあ、お任せします、」で、落着。


終わって、昼寸前、

扉を明けたら、


まっすぐな青が どーーん!




もみくちゃに やぶれた白い雲が どどーーーん!

スカッ!と突き抜けた 光が どぱーーーん!




何かを忘れさせるような、眩しさ。

うっすら湿った、甘く醒めた空気。

ひゅるうと 通り過ぎる やわい残り風。

なぜか、葡萄のような香りが過(よぎ)った。





秋雨前線を引き連れた台風が、

ちょっと向こうのほうを、通り過ぎてったよう。

哀しい何かも 浮かれたい心も
一瞬で一蹴するような、静かで、大きな力。


九月の静けさは、大きい。




九月の青の静けさは、大きい。




休む間もなく午後一に、メンテナンスのひと仕事。そして、庭の打ち合わせ。


台風過ぎて、カラッと晴れて、また蚊が急に湧いてきた。

一気に襲われる。

今年は例年になく、蚊にもよく刺された。
いつもの10倍は、ムヒを塗りまくった。というか、来し方今まで、そんなにムヒを頼ったこともなかった。


よく刺されたし、
よく殺した。




事務所に帰って来て、あれこれやって、ふと、
ホッと一息ついてみたら、


窓から滑り込む ひんやり感覚の具合がまた、コロリと変わっており、

街路樹の濡れた梢の葉っぱが、緑と黄金に燃えて、
かすかに揺れている。


虫は、泣いてない。
何にも、泣いていない。


静けさだけが、泣いている。


九月最後の土曜日も、夕方の縁。


少し気が抜けて、

少し眠りたい。


窓からの風の心地よさが、
どろりと姿勢も崩して 少し居眠りしちゃうのに、
ちょうど宜しすぎる。


。。。


、と思っていた矢先に、


蚊に刺されたらしい。


ちょっと痒い。

眠たいのに、眠れなくなった。



そうこうしているうちに


事態は やおら、 急変。


さっきまでの窓からの風の
ちょうどよかったはずの心地好さが ガクンと落ち込んで、

居眠りするにはもう、ちょっと、寒すぎる。



ああそうだ、

なんでも そうかも。


日々 何も起こりそうになくても

事態は やおら、急変する。

急変するときは、いつも、「やおら」、だ。









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