時戻素

昔の跡,やがてなくなる予定のもの,変化していくもの,自身の旅の跡など・・・

(275) 似たような地名,でも所在地は…

2010年02月22日 22時22分22秒 | 現在の中の過去
※ この記事は該当例全て挙げていることを保証しません。



 なんば線の開通で隣駅となった九条駅と西九条駅。
 名前は西がつくかつかないかの差で,位置も安治川を挟んで隣り合っている。
 その所在地を見ると・・・

(注:駅の住所表記ではありません。)

 西区と此花区で所属が違う。もともと同じ九條島にあった場所が安治川の開削で西九条と九条になったようだ。その安治川が区の境界になったため,区としては別の所属になっているようだ。西がつくほうが西区でないのがややこしい。そして,西九条が此花区であることも電車に乗っているだけでは知らない人もいる。
 ちなみに九条南という地名もある。地図で見ると,九条より南といえば南側だが,西側のようにも思える位置に広がっている。西九条との間には安治川があるため,所属は・・・

 西区になっている。
 区の境界が川,道路,鉄道など目に見えるもので設定されているところではこのような例が多い。他の例も見てみたい。

・西中島VS東中島

 淀川区と東淀川区。区の境界はJR京都線。

・放出西VS放出東

 城東区と鶴見区。区の境界は内環状線(道路)。放出駅は鶴見区に位置している。

 大阪市北部ではこのような例はあまりない。
 一方,中央区絡みのこのような例は結構ある。
・本町VS南本町VS西本町
 

 西本町のみが西区。境界はほぼ阪神高速。

・森ノ宮中央VS森之宮

 JR環状線を城東区との境にしている。中央がつくほうが「ノ」で,つかないほうが「之」になっている。「ノ」は駅名と同じで「之」は神社の名前と同じになっているただし,この2つ南西と北東の位置にあるので,ほぼ接していない。

・玉造○丁目VS玉造元町VS玉造本町
 

 天王寺区と分かれている。区の境界は長堀通。JR玉造駅は天王寺区寄りに,地下鉄玉造駅は境界の長堀通の下に位置している。

・上町VS上本町西VS上本町
 

 上本町のみが天王寺区。上町と上本町の間には長堀通りが,上本町西と上本町の間には上町筋がある。谷町四郵便局に統合された上本町郵便局が上町に位置していたため上町も載せた。近鉄のターミナルとなっている上本町駅は天王寺区上本町6丁目にあり,周辺は「上六」と略されている。

・高津○丁目VS東高津町

 中央区と天王寺区。両者は少し離れた位置にある。

・ 難波VS難波中

 中央区と浪速区に分かれている。境界は何が基準なのかよく分からない。難波駅については近鉄(阪神)と地下鉄の御堂筋と千日前が中央区,四つ橋は境界付近,南海が駅部分の大半は浪速区,JRが浪速区と言った感じだろうか。地形図を見ても境界が微妙だ。地下鉄四つ橋とJRについては浪速区湊町に位置しているため難波という駅名に異論も出ている。名前の知れた繁華街の名前であるが,「何区?」と聞かれると困りそうだ。梅田同様,難波のカバーする範囲は住所表記を越えているため,さらに厄介そうだ。

・中寺VS下寺VS下寺町
  

 3区に分かれている。下寺と下寺町の間には松屋町筋がある。中寺と下寺町は直接は隣接していない。

 中央区と天王寺区との間でこのような例が多かったが,天王寺区と他の隣接する区の間でも似たような例がある。
・ 小橋町VS東小橋○丁目 

 天王寺区と東成区。この二つも少し離れた位置にある。

・ 勝山VS勝山北VS勝山南

 天王寺区と生野区。区の境界はJR環状線。勝山中学校は生野区にあり,生野区役所も勝山南に位置している。

 今までの例と性格が少し異なるがこんな例もある。
  

 天王寺の由来は四天王寺が略されたことに由来している。四天王寺○丁目は天王寺区にあるのだが,天王寺町北/南は阿倍野区に位置している。両者の位置は離れている。隣接する他の区の名前が入っているややこしい地名だ。

 天王寺区に隣接する東成区と生野区にも同様の事例がある。今里の例だ。
    

 新今里以外は東成区にある。東成区役所も大今里西に位置する。今里の交差点もその下にある地下鉄今里駅も東成区にある。ただし,生野区との境界は近鉄大阪線であり,その今里駅は生野区側にしか入口がない。そして,新今里も今里新地があるなどなかなか印象の強い地区になっている。

 南部においてもこのような事例は多い。
・ 西田辺町VS(東・南・北)田辺VS田辺
    

 田辺の後に町のつく西田辺町のみが阿倍野区,他は東住吉区になる。両区の境界はほぼJR阪和線に沿っている。

・長居VS長居(西・東)VS長居公園
   

長居西の写真はないが,(2010年2月28日追加)長居公園が東住吉区の他は住吉区。長居公園が長居の知名度を上げているように感じるだけにそこだけ区が違うのは意外だった。

・粉浜VS粉浜西VS東粉浜
   

 東粉浜のみが住吉区。他は住之江区。南海本線の高架が両区の境界になっている。

・帝塚山VS帝塚山(西・中・東)
   

 何もつかない帝塚山が阿倍野区,西・中・東がつくのが住吉区になっている。大阪市内における高級住宅地も区は分かれていた。南海高野線帝塚山駅や帝塚山古墳は南側の住吉区にある。両区の境界はほぼ南港通になっている。

 住吉区が関わる例が多いが,こんな例まである。
・遠里小野VS遠里小野町
 

 区どころか市を越えてしまった。このような例は一つではない。
・浅香VS浅香山町

 南海高野線浅香山駅はもちろんJRの浅香駅も堺市側にある。これらの境界は大和川になっている。

 これまでの例は,区や市が違うと町名も少し違っていた。しかし,このような事例の多い中央区,天王寺区,浪速区,住吉区にはこんな例もあった。
・ 上汐

 二丁目と三丁目の間の千日前通りで区が変わっている。

・ 日本橋(にっぽんばし)
  

 二丁目と三丁目の間に境界がある他,全てが浪速区に所在する日本橋東という地名も存在する。

・ 万代(ばんだい)
  

 一丁目と二丁目の間の南港通で区が変わる他,万代東という全てが住吉区に所在する地名もある。
 同じ町名でも丁目が違えば別の区というのはややこしい。

 行政地名が地域の理解に必ずしも役に立たないと研究者の方が言っていた意味が分かったように思う。