研修会にて、津波で多くのものを流されたお坊さんのお話を聞いてきました。
震災から7ヶ月が経ち、目に見える復興が進んでいるのだと、テレビを通して知りうる情報を鵜呑みにしている私たちは思います。
しかし、被災地では「震災から7ヶ月」ではなく、「7ヶ月の間、被災し続けている」という現実の中にあることに気付かされました。
日中は明るく会話を楽しめていも、夜になると自然と涙が溢れ出すそうです。
そして、3月11日のことを思い出しては、自分を責めずにはいられないといいます。
「何で助けてあげられなかったのか」
「何で自分は生き残ってしまったのか」
「何であの時、手を離してしまったのか」
「何で何で何で」
自分を含め、多くの人が抱える心の傷に触れるとき、思い出す言葉があるそうです。
それは震災後、停電が続く夜の闇の中で聞いた、ラジオから流れるNHKアナウンサーが語った言葉でした。
被災された皆さまへ
どうか自分を責めないで下さい。
どうか後悔しないで下さい。
あの時のあなたは、あの時のあの人は、その時にできる最善のことをしました。
だから、あの時のあなたを、あの時のあの人を、どうか責めないで下さい。
犬を助けるために、自宅へと引き返したお父さんがいました。
家族の写真を取って来るからと、妻を先に逃がしたおじいちゃんがいました。
その行為に、「何でそんなことをしたの」「何で行かせてしまったの」と、互いを責める思いが生じます。
けれど、その時それをしなくてはならないと思ったから。
大事なもののために動いたのだから。
そのときにできたことを、精一杯したのだから。
だから、責めずに受け止め、自分も相手も、すべての人の3月11日を、肯定しようという心境になったといいます。
誰もが、精いっぱい自分なりの人生を生き抜いています。
誰もが、その時できることを、できる限りしています。
そうして、今ここに、そのようにしか生きられなかった私がいます。
その私を肯定し、受け止めてくださるのが阿弥陀さまなんだということを、悲しむ前に呆然と立ち尽くすしなかなかった現実の先で行きついたと聞きました。
南無阿弥陀仏