佐賀大学病院放射線科アンオフィシャルブログ ~さがの読影室から~

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旅立ちのとき

2008年08月22日 21時38分31秒 | オフタイム
今月いっぱいで佐賀大学を離れ、富山大学附属病院へ病理の勉強に出かけます。先日は夏休み期間で多忙な中、たくさんの人に囲まれた楽しい壮行会を企画していただき、医局及び放射線部のみなさんにとても感謝しています

入局して放射線科医としてのスタートを切ったころから、私はずっと肺が好きで、仕事を続けるうちにそれがどんどん強くなりました。私は画像を読んでいても、どうしてこんな画像になるのか、この画像は何を表しているのか、どんな病態が起こっているのか、私の頭は疑問符だらけで、何とか解決しないと気が済まない性格です。画像にとって、その答えが病理にあることは多々ありますが、その一方、組織が取れてこないと病理が見られなくて、答えが迷宮入りになってしまうこともあります。肺、とくに私が興味を持っているびまん性肺疾患は、解明されていないことも多いし、慣れていないと画像・病理共に診断が難しい分野です。画像の答えを求めても、民間病院など呼吸器に詳しい病理医がいない施設では、うやむやなまま終わることも多々。私が今度お世話になる福岡先生は、びまん性肺疾患に詳しい呼吸器病理医で、全国からコンサルト症例が集まるほか、国内外の施設との共同研究も数多くこなされています。日常臨床をしながらのコンサルトや研究で、非常に多忙なところではありますが、自分の欲しい答えを間近で見られること、自分でも答えが出せるようになりたいこと、そして福岡先生が人間としても非常に尊敬できる先生であることなどが理由でこちらにお世話になることにしました。また、富山に行くことを決めてから本当にいろいろ肺の勉強をする機会が増え、何がまだ研究されていなくて、自分が知りたいことのために何を研究したいかが、だいぶん見えるようになりました。今は分類がやりにくく、必ずしも臨床と直結できていないところもありますが、多くの画像診断医が納得して、びまん性肺疾患の診断が出来るようになるよう、何か貢献できるような仕事が出来たらいいなぁと思っています。

 私は本当に画像診断という仕事が好きで、放射線科医になったことを自分の人生のこれまでの選択のうち、本当に大正解の選択だったと思っています。ただ、やっぱり好きになるためには何か努力や勉強が必要で、わかるようになったらなっただけ、仕事の面白さややりがいが増えていくのはどの仕事も同じだとは思います。私はかわいい後輩たちがちょっと勉強しないな、というとき、もしかしたら多少きつい口調で怒ったように聞こえていたかも知れませんが、目の前の苦労は必ず将来の幸せへの第一歩と信じて、あきらめずにがんばって欲しいと思います。私の尊敬する先生は、ピンチがやってきたとき、「これはチャンスだ!」と思うようにしているそうです。ピンチは乗り切ることで、自分の力をつけ、またそのどん底の状況さえ抜け出せば、今より確実にいい状況になれるので、とおっしゃっていました。嫌なこと、ピンチだと思うことはしばしば訪れますが、こうやって気持ちを切り替えられることが抜け出す第一歩なんでしょうね。
 偉そうなことを書いてしまってごめんなさい。一緒に仕事をして支えてくれた後輩たちへ、一言残したくて・・・。みんな、がんばってね