佐賀大学病院放射線科アンオフィシャルブログ ~さがの読影室から~

放射線科医の日常や、診療紹介、推薦図書などをご紹介します。問い合わせ先等、詳しくはカテゴリー「はじめに」をご覧下さい。

Ⅱc T2?

2008年01月21日 22時45分58秒 | 消化管カンファレンス
 本日の消化管カンファレンスは、上部消化管7例が出されました。

 今回は胃前庭部の進行癌症例が多くだされていました。幽門狭窄を来たしていたためにガストログラフィンが使用されていました。アップル・コア様の所見を呈するものはCTでも壁肥厚が目立ち、画像の成り立ちがよくわかりました。

 また、胃体部小弯側にⅡc様の粘膜面が削げ落ちた所見を呈し、比較的境界のはっきりした立ち上がりがみられた症例も出されていました。側面像で台状変形を来たしており、壁肥厚が示唆されました。Ⅱc T2と呼ばれるような形態で(正確な記載は後ほど確認して訂正します)、自分では見たことのない形態だったので勉強になりました。

 消化管造影検査の目的のひとつには、進達度診断があります。今回ような典型的な壁肥厚例を経験することで、目的に適った写真をとることができるようになるのではないかと思いました。

第43回九州MRI研究会 Retroperitoneal Ganglioneuroma

2008年01月21日 06時49分08秒 | 研究会・学会
 雨天のためどこにも行けず、二日続けての第43回九州MRI研究会報告です。
 画像所見やディスカッションの記憶が徐々に薄くなってきています。疾患や画像所見の詳細は後半の文献をご参照ください。
 
 症例の概略です。
 症例は30歳代女性。特に自覚症状はなかったが、超音波で腹部腫瘤を指摘され、精査目的にMRIを施行された。
 既往歴、家族歴特になし。検査所見の提示なし。

 単純CT所見:腹部大動脈周囲に、膵を腹側へ圧排する境界明瞭・辺縁平滑な腫瘤をみとめる。内部はほぼ均一な低吸収を呈する(腫瘤背側に点状の石灰化があったかもしれませんが、はっきり覚えていません・・)。

 MRI所見:CTで指摘された腫瘤はT1WIで低信号、T2WIでやや不均一な軽度高信号~低信号を呈する。Dynamic studyでは早期相から、腫瘤内部を貫通する腹腔動脈が観察される。腹腔動脈の変形や狭小化はみられない。腫瘤全体は漸増性にわずかな増強効果をみとめる。DWI&ADC mapsでは、拡散の低下は目立たない。

 解答はGanglioneuromaでした。
 解答者の先生は、画像所見から悪性リンパ腫などとともに、Ganglioneuromaを含む神経原性腫瘍を鑑別とされていました。ディスカッションでは、腫瘤と血管の関係を強く強調される先生がいらっしゃいました。

 ganglioneuromaの画像所見についてはこちら→
Rabin R et al.Adrenal and extra-adrenal retroperitoneal ganglioneuroma: imaging findings in 13 adults: Radiology 1997 Mar;202(3):703-7
 PDFファイルはこちら→
http://radiology.rsnajnls.org/cgi/reprint/202/3/703

 腹部神経原性腫瘍のスペクトラムと画像所見の総説はこちら→
Rha SE et al.Neurogenic tumors in the abdomen: tumor types and imaging characteristics:Radiographics 2003 Jan-Feb;23(1):29-43
 PDFファイルはこちら→
http://radiographics.rsnajnls.org/cgi/reprint/23/1/29