そして時の最果てへ・・・

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錬金術その5

2007-03-28 22:16:44 | 雑感
錬金術シリーズ第5弾。今回は物理、もっと言うと量子力学で「二重スリット実験」と呼ばれているもの。

電子銃(平たく言うと電熱線)から電子を放出し、写真乾板(要するに見てわかるような検出器)にぶつけます。その途中は真空になっていて、さらに二本のスリット(AとB)がはいった衝立を電子銃と写真乾板の間に置きます。

普通に実験をやると、写真乾板には縞模様が像として描かれます。これは電子という粒には波の性質があり、スリットAとスリットBを通った別々の電子が干渉し、縞模様を作った・・・と、高校で物理学を学んだ方なら誰でも理解できるでしょう。

しかし話はそんなに簡単ではありません。

なんと、電子を1粒だけ飛ばした場合でも干渉縞が出現するのです!

普通に考えれば、1粒の電子は片方のスリットだけしか通過できません。登りの列車と下りの列車には同時に乗れないという理屈です。

それなのに、この実験ではどう考えても「1粒の電子が2つのスリットを同時に通過した」結果となっています!・・・こうして1粒の電子が2つに増殖(?)する「錬金術」が完成しました。

(上記の解釈は現在では正しくないとされています。念のため。)


この実験は量子力学の不思議さを一般の方に伝えるのによく持ち出される実験でして、ノーベル物理学賞を受賞したファインマンが「量子力学の精髄」と呼ぶ美しい実験です。