中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

トン族

2006-08-26 00:58:51 | 中国のこと
 トン(侗)族は人口約250万人の少数民族で、主に貴州省東南部の黔東南苗族侗族自治州に居住している。彼らは古い時代から高度な建築技術を伝承し、鼓楼や風雨橋などの優れた建築物の建築技術を今に伝えている。

  鼓楼はトン族の村の象徴的な宝塔形の建築物で、車で移動している時に望見する村落にひと際高くこの鼓楼が見えたら、それはトン族の村だと言うことがすぐに分かる。杉の木を建築材として1本の釘も使わずに組み立てられると言う。また設計図と言うものはなく、伝承と経験で建てると言うことである。何年か前に、ある村で新しい鼓楼を建てる様子をテレビで放映したことがあるが、この伝承と経験で建てるという実際がよく分かった。以来、鼓楼を一度見たいという気持が強かった。2004年5月に黔東南苗族侗族自治州などのいくつかのトン族の村を訪れ鼓楼を見ることができたが、目の当たりにしたそれは非常に美しく雄大で、私は建築についてはまったくの門外漢ではあるが、実に驚くべき建築物だと感嘆した。



 訪れた村々の中でも黎平(Liping)県肇興(Zhaoxing)村はかなり大きな村で、鼓楼が5つもあり、それぞれ仁、義、礼、智、信を表していると言うことだった。どれもほぼ似通っているが、細かいところでは違っていた。写真はそのうちの第1の仁の鼓楼である。鼓楼は多層の建築物のように見えるが、それは外見だけであって、内部は吹き抜けになっている。この村の鼓楼は最下層の底楼が開放された空間になっていてベンチが置いてあったが、同じ黎平県の腊水(Lashui)村や、広西壮族自治区の三江侗族自治県馬安寨(Maan zhai) のものは、底楼は壁で囲われてホールになっていた。鼓楼は事ある時は住民が集まって衆議する場所であり、また喜びごとや祝いごとの日の娯楽センターでもあると言う。


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