戦時中の防空訓練かと思うような物々しい警戒態勢で迎えた北朝鮮の長距離ロケットの発射騒ぎも、何事もなく終わった。
本体や切り離されたロケットが日本に落下する危険性はほとんどないと言いながら、ロケットが上空を通過するとされた秋田や山形には、「万が一の事態に備えて」と言うことで地対空誘導弾パトリオット (PAC3)が配備された。それはまだ分かるのだが、東京にも配備されたのはどういうことだったのだろう。防衛省の敷地内にはPAC3が配備されているため、敷地の約5分の1が“封鎖”され、警戒レベルも引き上げられた。正門で迷彩服姿の隊員が金属探知機で来庁者の手荷物検査をしていたが、3日からは身分証のチェックが二重になったと伝えられている。秋田や山形では非常時の連絡体制がとられ、東京や大阪でも都庁や府庁で緊急情報を各自治体に伝達する訓練が行われ、さながら戦争に備えているような緊迫した様子がテレビで伝えられていた。情報の誤報騒ぎまであった。
テレビでは、事態が「無事」終わると新聞社が号外を配り、人々がそれに群がっている様子や、街頭でのインタビューの様子が映しだされていて、みな一様に「怖いですね」などと言っていた。緊張感がないとか、事態を甘く考えていると批判されるかも知れないが、私にはマスコミも含めてどうも騒ぎ過ぎではないかという印象を持った。まるで「仮想敵国」の北朝鮮が攻撃してくるかのような錯覚を起こしかねないと思う。
確かに事前の北朝鮮の声明などは異様だった。国営朝鮮中央通信は、北朝鮮が打ち上げる「衛星」を日本が迎撃した場合、「再侵略戦争の砲声とみなし、最も威力ある軍事的手段で、(日本の)あらゆる迎撃手段とその牙城を打ち砕くだろう」と警告する論評を発表し、朝鮮人民軍総参謀部は、「衛星」打ち上げを長距離弾道ミサイル発射として警戒態勢を強める日米韓の動きに対して、「衛星」を迎撃すれば「報復の打撃を加える」などと日米韓に警告したと言われる。「重大報道」形式で発表された警告は、特に日本に対し「われわれの平和的な衛星に対し迎撃行為を敢行するなら、容赦なく(日本の)迎撃手段だけでなく、重要な対象にも報復を加える」と表明した。まるで宣戦布告だ。この国の考えることはまったく理解できにくい。
万が一日本本土に落下物があった場合には迎撃するという準備だったのに、あたかも「高度の戦闘準備態勢にある」などと決め付けて、「あらゆる迎撃手段とその牙城を打ち砕く」などと脅しとも取れることを言うのは、これまでのこの国のやり方からすると不思議ではないということかも知れないが、国民の意識を煽る狙いがあるにせよ不愉快きわまることだ。このような独善的な脅しが、日本国民の恐怖心を引き起こしたのなら、相手の思う壺に嵌ったことになる。この国には国際的な道義心というものがあるように思われず、すべてを駆け引きの手段にしているようだ。それに振り回されることなく、日本は外交手段を駆使して、国際世論に訴えかけていくことが必要ではないか。
まして「奇貨居くべし」とでも言わんばかりに、いっそうの軍備強化を進めるように世論を誘導していくことなどはないようにと思う。自民党内には、早くも「日本の敵地攻撃能力は、自衛権(の範囲内)であれば憲法に違反しない。能力、要件を本気で議論することが抑止力を増す」という意見が出ていると伝えられている。
本体や切り離されたロケットが日本に落下する危険性はほとんどないと言いながら、ロケットが上空を通過するとされた秋田や山形には、「万が一の事態に備えて」と言うことで地対空誘導弾パトリオット (PAC3)が配備された。それはまだ分かるのだが、東京にも配備されたのはどういうことだったのだろう。防衛省の敷地内にはPAC3が配備されているため、敷地の約5分の1が“封鎖”され、警戒レベルも引き上げられた。正門で迷彩服姿の隊員が金属探知機で来庁者の手荷物検査をしていたが、3日からは身分証のチェックが二重になったと伝えられている。秋田や山形では非常時の連絡体制がとられ、東京や大阪でも都庁や府庁で緊急情報を各自治体に伝達する訓練が行われ、さながら戦争に備えているような緊迫した様子がテレビで伝えられていた。情報の誤報騒ぎまであった。
テレビでは、事態が「無事」終わると新聞社が号外を配り、人々がそれに群がっている様子や、街頭でのインタビューの様子が映しだされていて、みな一様に「怖いですね」などと言っていた。緊張感がないとか、事態を甘く考えていると批判されるかも知れないが、私にはマスコミも含めてどうも騒ぎ過ぎではないかという印象を持った。まるで「仮想敵国」の北朝鮮が攻撃してくるかのような錯覚を起こしかねないと思う。
確かに事前の北朝鮮の声明などは異様だった。国営朝鮮中央通信は、北朝鮮が打ち上げる「衛星」を日本が迎撃した場合、「再侵略戦争の砲声とみなし、最も威力ある軍事的手段で、(日本の)あらゆる迎撃手段とその牙城を打ち砕くだろう」と警告する論評を発表し、朝鮮人民軍総参謀部は、「衛星」打ち上げを長距離弾道ミサイル発射として警戒態勢を強める日米韓の動きに対して、「衛星」を迎撃すれば「報復の打撃を加える」などと日米韓に警告したと言われる。「重大報道」形式で発表された警告は、特に日本に対し「われわれの平和的な衛星に対し迎撃行為を敢行するなら、容赦なく(日本の)迎撃手段だけでなく、重要な対象にも報復を加える」と表明した。まるで宣戦布告だ。この国の考えることはまったく理解できにくい。
万が一日本本土に落下物があった場合には迎撃するという準備だったのに、あたかも「高度の戦闘準備態勢にある」などと決め付けて、「あらゆる迎撃手段とその牙城を打ち砕く」などと脅しとも取れることを言うのは、これまでのこの国のやり方からすると不思議ではないということかも知れないが、国民の意識を煽る狙いがあるにせよ不愉快きわまることだ。このような独善的な脅しが、日本国民の恐怖心を引き起こしたのなら、相手の思う壺に嵌ったことになる。この国には国際的な道義心というものがあるように思われず、すべてを駆け引きの手段にしているようだ。それに振り回されることなく、日本は外交手段を駆使して、国際世論に訴えかけていくことが必要ではないか。
まして「奇貨居くべし」とでも言わんばかりに、いっそうの軍備強化を進めるように世論を誘導していくことなどはないようにと思う。自民党内には、早くも「日本の敵地攻撃能力は、自衛権(の範囲内)であれば憲法に違反しない。能力、要件を本気で議論することが抑止力を増す」という意見が出ていると伝えられている。