数年前にいただいた、ちいさな立ち雛です。
てのひらに収まるくらいの大きさで、
ふっくらとやさしい絹の衣の手触りも愛しい。
作ってくださった方のところ(岐阜県)では、
おひな祭りは、ひと月後れの4月にやるのだそうですが、
我が家では、他のおひな様と一緒に3月に飾っています。
ノラの外猫「かあちゃん」が連れてきた3匹の子猫のなかで、
全身真っ黒な子猫を師は育てることにした。
母猫は、毎日ご飯をもらいに来ているのに、
家の中にも入ってきてすぐそばに来ているというのに、
決して触らせないという。
暮しの手帖『あたらさん』創刊号・巻頭の、「うつくしい暮し」
(吉沢久子:清川 妙)に、母猫「かあちゃん」登場!
長い尻尾をくるんと前足の上に回した端正な姿で
行儀よく座ってごはんを待っている。
やっと現れた「かあちゃん」を、カメラマンのHさんが、家の中からねばって撮った。
全身が真っ黒で、胸のところだけがふわっと真っ白。
オーガンジーレースのおしゃれな胸飾り付きの服を着た
貴婦人に見える。
その貴婦人の子の真っ黒な子猫は、
積み上げた本の山を駆け上り、引っかき、
家の中を飛び回るやんちゃ娘だが、
師は
「リリ子」と名づけた。
そして、
「私が、リリ子の名にに相応しい猫にしてみせます」
と、「マイ・フェア・レディ」の教授のように言った。
仕事の電話の中にも時々リリ子の声がしている。
ある日の師の手紙の封筒には、
リリ子のプリクラ・シールが貼ってあった。
それは藤城清治さんの影絵のような、
奈良美智さん描く絵のような
金色の目で、
じっとこちらを見つめていた。
右上画像
リリ子の、レディへの道は近づいたのでしょうか。
昨日、御茶ノ水で見つけました。
時間と興味があったら、これは絶対におすすめです!!
カザルスホールで、バロック様式のオルガンを聴きませんか。
しかも、入場料100円以上とは。
日時:2006年2月18日(土)
12:00開場 12;15開演
会場:日本大学カザルスホール
浅井寛子(オルガン)&松堂久美恵(ソプラノ)
入場料:100円以上
入場時に支払い。開演時間に間に合わなくても、
いつでも入場できます。
http://www.nu-casalshall.com/
ねっ、納得でしょう!?
春待月の一日、荘厳なパイプオルガンの響きの中に身を委ね
てみるのもいいなあ。
もう21回目ですって。次は3月18日(土)。4月以降も続く。
毎月御茶ノ水に来ていたというのに。アンテナを磨かねば。
倉嶋 厚さんの本に、ヒヨドリのことが出ていた。
闘病中の奥さんと、公園の桜を見ながらの、しみじみとした会話。
―ー花吸いが飛んでいるわねえ。
―ー花喰い鳥もいるなあ。
桜の季節がめぐってくると、メジロやヒヨドリは、せわしなく桜の木の枝を飛び回って蜜を吸っている。
「花吸い」と呼ぶ彼らは、細くて長い蜜を吸うのにふさわしいくちばしを持っている。
が、近年、そのようなくちばしを持たないスズメやシジュウカラまでが、桜の蜜を吸い始めたというのだ。
彼らは、短いくちばしで、ガクの部分から喰いちぎるので、花全体が、ポタリと根元に落ちている。
花時の大雪などで、食べるものがないスズメやシジュウカラが、
これまで見向きもしなかった桜の花をついばみはじめてのことだという。
今まで、メジロやヒヨドリがサザンカやツバキの蜜を吸うのは知っていた。
桜の季節、大忙しで、嬉々として枝から枝へと飛び回るヒヨドリを見ていると、
ヒヨこそが、花を喰い荒らす真犯人だと思い込んでしまっていた。
新発見だった。
ヒヨちゃん、ごめんよ。
しかし、やっぱり、「花喰い」はスズメたちだけなんだろうか???・・・それもあるけど、少しはヒヨだって、・・・―ーとまだ未練がましく思っている。オウバイのつぼみやミニシクラメンのつぼみを食された身としては、ついつい・・・。
でも、やっぱり、謝ります。
お口直しに、ブログで見つけた「うれしそうなヒヨドリ」の画像をどうぞ。
食べている赤い実は、小梨(ズミ・バラ科)の実ですよ。 ↓
Wさんから、お母様が集められていたという、和紙に木版刷りのポチ袋をいただいたことがあった。もう、数年も前のこと。
岩の上で長い髪を梳る人魚の絵。
ちょうど、買ったばかりの「長谷川 潔ポストカードブック」の絵柄に、それと似たものがあった。
「風」(イェーツの詩に寄す)と表題がついている。
お知らせするとWさんは、すぐに版元から取り寄せられた。
長谷川潔は、1891年横浜に生まれ、パリで活躍した銅版画家。
銅版画技術習得のため27歳渡仏。途絶えていた「黒の技法」マニエル・ノワールを再創造して高い評価を得る。その後もあらゆる銅版画技法をマスターし、89歳で没するまで一度も帰国することなく、フランスで活躍した。(「横浜美術館」案内より抜粋)
それはふしぎな絵であった。カラカラに乾いているはずの秋の野の残骸にも似た
種たちが、しっとりと潤いを持って語りかけてきた。
深みのある漆黒の世界に乾燥した花が、木の実が、独楽が
パチッとした繊細な存在感をもってはめ込まれている。
埼玉県立美術館でも、「二つのアネモネ」を見た。
草花とアカリョムや高い木。はじけた百合の種子殻。不思議なひろがりと深み。
ラ・フォンテーヌ寓話からの、葡萄を見極める藁の狐も好きだ。(右上画像)
最近、長谷川 潔の名を紙面で見ることが、度重なった。
3月26日まで、みなとみらい横浜美術館で、「長谷川 潔展」が開催されている。
藤田嗣治と同時代をパリで過ごしたが、交流はなかったと言われている、その孤高の銅版画家の世界を、ぜひ見てきたいと思う。
Wさんに、イェーツの「風」の詩のコピーをお送りすると、「マジソン郡の橋」に引用されている、同じ詩人の「白い蛾の夕暮れ」部分のコピーをいただいた。
Wさんのお母様は、大正浪漫のセンスを身に付けた方ではなかっただろうか。その長い糸で繋がれた文化のお福わけをいただいた気がした。 (続く)
横浜美術館は、コメント欄をご覧ください。
http://www.enchanteart.com/week/we109b.htm