先日、とある大病院へ患者さんを仕事で連れて行った。
現在の制度で、その病院は紹介状がないと行けない。でも、すでにたくさんの人で待合は混みあっている。
初診だったので、色々な手続きを経てやっと目指す科にたどり着き、一安心。
しかし、2時間以上は待たされた。初診は予約診療の人の最後になるらしい。
で、待つ間に問診票を記入するのだが、これがくせもの。
大概は英語バージョンはなく、私がその場で翻訳通訳して記入しているが、今回は珍しく英語版があった。
しかし・・・である。
英語が大変お粗末、というと偉そうに聞こえるが、私がさらに説明しないと何のことやらわからない翻訳になっていた。
目を疑ったが、今でもこんな問診票が立派な大病院で正規に使用されているのか、と。
恐らくはボランティアで翻訳したと思う。医療用語は特殊で日本人なら医療の言葉として当たり前に使っている言葉も、英語にする時はもう一度何のことか考えてから、直訳ではなくわかりやすく訳さないと意味をなさなくなってしまう。
昨日連れて行った外国人はネイティブではなかったが、ネイティブだったら恐らく多分文句を言ったかも。
随分昔、ハワイで宿泊したホテルに日本語の説明があったのだが、大変変な日本語で笑った記憶がある。近年では、ドイツのライン川下りの日本語の説明(大音声マイクで船全体に鳴り響くあれ)の日本語がやたらおかしくて、ずっと笑いこけていた。例えば、ユースホステルの事を『青年宿』と言ったりするのだ。
でも、昨日の問診票はそれの類。
変な英語だと笑っていられない。何せ、当人は病気を抱えて一日つぶしてやって来ているのだ。当然それは可笑しいと笑いとばすものくはなく、大変悲しくなった。
こんな日記でぼやくのではなく、病院に直接言った方がいいと思う、けど…
今は厚生省がちゃんと正式な問診票を英語その他外国語で作成して、ウェブサイトに置いている。
少なくとも、大病院の各科の受付の人はそれを知っていてほしい。
せっかく作ってあるのに宝の持ち腐れ。
私がボランティアで通訳している病院の先生が中心となって作成した。その近所でこんなことが起こっている。病院も随分縦割りなんだなあ。誰もそのことを知らないんだろうか。それとも、その問診票があるから、わざわざ厚生省お墨付きをダウンロードして使うなんて手間だと思っているんだろうか。誰もその翻訳の内容を見直していないんだろうか。
この頃はボランティアだと言っても、医療関係の場合はかなり基準が厳しいはずだけど、そうでもないんだろうか。
というか、医療通訳や翻訳はボランティアでいいのかなあ。
考えさせられた一日でした。