うまさいと

お馬さんは好きですか?

05年「英・愛・仏」の3歳路線を浅く広く振り返る(後半)。

2005-07-06 00:17:33 | 競馬
昨日の続きで今日は後半。

Derby S.の前日に行われるこちらは牝馬の大舞台であるOaks S.(6/3 GB G1 T12f10y)。ここではEpsomの長い長い直線を先に抜け出したEswarah(エスワラ)*14が地力で後続を抑えて快勝。母Midway Ladyも86年にOaks S.を制しており、親仔制覇となりました。同率で一番人気に推されたVirginia Watersは後方から追い込むも4着に敗れました。

いつまでも永遠の輝きを放ち続けるThe DerbyことDerby S.(6/4 GB G1 T12f10y)は、1番人気のMotivatorの主戦であるJ Murtagh騎手が直前に騎乗停止を喰らい万事休す。代理はD Holland騎手に決まって、と思いきやMurtagh騎手のアピールが認められてDerby S.には騎乗できることに。万全の態勢で臨んだMotivatorにはもう何も言うことがありません。先行してあっさり抜け出して他馬をぐいぐいと引き離し、最後は独走態勢で抑え気味ながらも5馬身差の大楽勝。Racingpost紙の見出しにもなった「How Far ?」という言葉もしゃれにならない位の圧勝でした。2着にはWalk in the Parkが入り、Montjeu産駒のワンツー。3着に入ったDubai Millenniumの仔Dubawiは父の無念を少しだけ晴らしたというところでしょうか。また直前まで1番人気を争っていたBallydoyle期待のGypsy King(ジプシーキング)*15は5着でした。

今年から距離短縮のPrix du Jockey Club(6/5 FR G1 T2100m)の1番人気は前哨戦圧勝の正統派ステイヤーHurricane Run(ハリケーンラン)*16。2番人気はギニー路線からシフトしてきたShamardalという一騎打ち模様。ここを僅差で逃げ切ったのはShamardalの方でした。勿論2着はHurricane Runでしたが、どうやらかなりヨレていた模様で、距離もここでは少し短いということで、Irish Derbyに向かうことになります。逆にShamardalは距離をまた短縮して、本来最も適していると考えられていたマイル戦へ、つまりRoyal Ascot Meetingへと向かいます。

最も華やかな牝馬の祭典、Prix Diane(6/12 FR G1 T2100m)は、先行して抜け出したDivine Proportionsが歴代でもかなりの好時計で圧勝。3馬身差の2着にはここでも再びArgentinaが入り、後方から突っ込んできた横山典騎手騎乗のPaitaは3着に終わり、Divine Proportionsの強さが際立ったレースになりました。そういえば、半兄Whipper(血統的には全兄といっても差し支えないでしょうが)は同日に人気で負けています。というか今年は負け続け。夏に少し兄妹対決が観てみたいですが。また、レース中に2番人気のVadawinaは故障を発症していた模様でどうやら引退か。


Royal Ascot Meeting at Yorkにて2つの3歳G1が行われました。St. James's Palace S.(6/14 GB G1 T8f)ではShamardalが3馬身差の逃げ切り圧勝。一時はDubawiとの二頭出しとRacing Postのトップを飾りましたが、落ち着くところに落ち着いたと。出遅れたAd Valoremが2着, 3着にはOratorioと2歳時の有力馬が入りました。UAE Derby(UAE G2 D1800m)の9着惨敗や、以前2戦のタイムなどから「あんまり強くないのでは?」という噂をG1の3連勝をもって、自力で封じ込める結果となりました。L Dettoriが騎乗停止でShamardalに跨ったK McEvoyはこのお馬さんの評価をさらに上げた良い仕事だったといえるでしょう。

牝馬のマイル戦Coronation S.(6/17 GB G1 T8f)はMaids CausewayとKaren’s Caper(カレンズケーパー)*17が2f近くに渡って壮絶な一騎打ちを繰り広げました。落鉄の末に勝利をものにしたのは、道中ピッタリ内埒沿いを進んだMaids Causewayでした。K Fallonが選択して人気になっていたDamsonは7着、そしてK Fallonに捨てられた形になったVirginia Watersは意地で6着に入ったと。こんなところでも壮絶な争いが繰り広げられていました。また、3着に入ったのは未勝利のMona Lisa(モナリザ)で、このお馬さんは未勝利ながらにこちらも壮絶なローテーションで走っています。

上半期3歳牡馬戦の最後を飾るIrish Derby(6/26 IRE G1 T12f)はその数日前にCoolmoreにトレードされたHurricane Runが完勝。Prix du Jockey Clubの時は鞍上の乗り方も微妙にまずかった(観てないけど)という噂ですが、K Fallonに乗り替わって、着差は少しでしたがここは完勝といえる内容でした。2着はScorpion(スコーピオン)18*で、このお馬さんもMontjeu産駒。秋は長距離路線を歩むようです。期待が大きかった同じくMontjeu産駒のDerby S.2着馬Walk in the Parkは実質最下位の8着で、Gypsy Kingに至ってはスタート後2fの地点で故障発症、競走中止。肩の骨が折れており、残念ながら安楽死処分となりました。

3歳戦ではありませんが、3歳馬のワンツーということで番外として入れておきたいのがEclipse S.(7/2 GB G1 T10f7y)です。人気の片方であったShamardalが前日に故障発症、即引退が決定しました。そんな中で行われたこのレースは10fでも通用するスピードを見せたいというMotivatorで決まりという雰囲気でしたが、スローな流れの中、2番手から直線で先頭に立ったMotivatorを、文字通り豪脚一閃、Oratorioが中団から差し切りました。Motivatorはやはり適する12f路線へ戻り、古馬との対決の舞台NewburyでのKing George VI & Queen Elizabeth Diamond S.(GB G1 T12f)へと向かうことになり、反対に「寝るか食べるか以外はレースだけ」とさえ評されたOratorioはSussex S.(GB G1 T8f)で古馬と雌雄を決することになりました。

一連の流れが終わったあとにひっそりと(American Oaks, Durban Julyなどの裏だからしょうがないか)行われたPrix Jean Prat(7/3 FR G1 T1800m)は、St. James's Pakace S.で直前に引退したばかりのShamardalの2着に入っていたAd Valoremが人気を集めましたがここでは直線の不利も堪えたようで5着に敗退。勝ったのはO Peslier騎乗のTurtle Bowl(タートルボウル)*19でした。このお馬さんは前走でPrix de la Jonchere(FR G3 T1600m)を圧勝していましたが、その前はPoule d'Essai des Poulainsの8着であり、やはりShamardalの8~10fでの強さは本物だったということが、Eclipse S., Prix Jean Pratの結果を見てもわかりました。



さてさて、私なりにちょっぴり総括をしますと、まずは新種牡馬の活躍に尽きるのかなと。特にここに出てきた上半期の3歳牡馬G1(Prix Jean Pratを除く)勝利というのは全てGiant's Causeway, Montjeu, Dubai Millenniumという3頭の新種牡馬の産駒によるものです。その上、英・愛・仏のダービーと位置づけられるレースにおいてはMontjeuが英と愛でワンツー、仏でも2着という暴れっぷりでした。

牝馬路線においても、Kingmambo, Unfuwain, Giant's Causeway, Pivotalという4頭の産駒で占められており、KingmamboはPrix de Saint-Cloud(FR G1 T2400m)におけるAlkaasedの活躍や、Unfuwainは半弟のNashwan産駒のBagoがいますし、日本でも同牝系のディープインパクト(母Wind in Her HairはUnfuwain, Nashwanのいとこ)の大活躍がありました。少しむりやりな気もしますが、世界はつながっているということですか。

また、2歳時に高評価をもらった上位のお馬さんが、ほぼそのままスライドする形で3歳クラシック戦線を根こそぎ持っていった感があるのは私だけなのでしょうか。Shamardal, Motivator, Oratorio(クラシックではないですが), Dubawi, Divine Proportionsといった辺りですね。こういう年も珍しいのかもしれないなぁと思います。

そして、牝系に関してもう少しだけ深入りするとF1-lのラインが大活躍したというのが大方としての見方で間違いないかと。Shamardal(3勝), Divine Proportions(2勝), Hurricane Run(1勝)という3頭で上半期に3歳G1を6つも奪取したというのが印象的でしたか。ドイツで活躍しているKönigstiger(コーニスタイガー??教えて・・・)も、引退して種牡馬となったVar(ヴァー)も実はF1-lなのですよねぇ。ということで05年「英・愛・仏」の3歳路線を広く浅く振り返る。を終わりたいと思います。最後まで駄文を読んでいただいた皆さん、ありがとうございました。


今日もデータ集つけちゃう。

14* Eswarah: Unfuwain×Midway Lady(Alleged), F8-k
05 Oaks S.(GB G1 T12f10y)

15* Gypsy King: Sadler’s Wells×Love for Ever(Darshaan), F12-g
05 Dee S.(GB G3 T10f75y)
5th Derby S.(GB G1 T12f10y)

16* Hurricane Run: Montjeu×Hold On(Surumu), F1-l
05 Irish Derby(IRE G1 T12f)
05 Prix Hocquart(FR G2 T2200m)
2nd 05 Prix du Jockey Club(FR G1 T2100m)

17* Karen's Caper: War Chant×Miss Caerleona(Caerleon), F4-n
05 Nell Gwyn S.(GB G3 T7f)
05 2nd Coronation S.(GB G1 T8f)
05 4th 1000 Guineas S.(GB G1 T8f)

18* Scorpion: Montjeu×Ardmelody(Low Society), F23
2nd Irish Derby(IRE G1 T12f)
2nd Gallinule S.(IRE G3 T10f)

19* Turtle Bowl: Dyhim Diamond×Clara Bow(Top Ville), F16-d
05 Prix Jean Prat(FR G1 T1800m)
05 Prix de la Jonchere(FR G3 T1600m)