うまさいと

お馬さんは好きですか?

ブローニュの森は熱く燃ゆる。

2006-09-30 00:31:20 | 競馬
さてようやく出走メンバーが確定したようなのでちと書いてみようと。

Prix de l'Arc de Triomphe Lucien Barriere (Group 1) (Colts & Fillies) (3yo+)
馬番/枠/近走/馬名/間隔(日)/調教師/齢/斤量/騎手
1/2/112-111/Deep Impact/98/Y Ikee/4/59.5/Y Take
2/1/1-1212/Hurricane Run/2/A Fabre/4/59.5/K Fallon
3/6/341-111/Shirocco/21/A Fabre/5/59.5/C Soumillon
4/5/22-4113/Pride/21/A De Royer-Dupre/6/58/C-P Lemaire
5/4/U21111/Rail Link/21/A Fabre/3/56/S Pasquier
6/8/617311/Sixties Icon/3/56/L Dettori
7/7/133611/Irish Wells/35/F Rohaut/3/56/D Boeuf
8/3/2-1281/Best Name/15/Robert Collet/3/56/O Peslier

とこんな感じになりました。

Shiroccoはどちらかといえばワンペースで粘りきる競馬が合っており、Hurricane Runの優位性というのは相対的な意味での馬群を割れる二の脚にあるのであろうと。このFabre二機に対してしいて言うのであればディープインパクトはShirocco的な「他を意識しない」という意味で絶対的な末脚を持っている。この絶対とは絶対に差し切るなどという意味ではなく、確実に伸びてくるということ。最終的に「飛べるかどうか」は周囲の上がりの時計に依存するわけだが、前が速く引っ張ってくれればくれる程ディープインパクトにとっては有利になるのは間違いなく、無駄な方向転換をしないためにはフォルスストレートを抜けた時点で前には1, 2頭しかいないというのが理想ではないだろうか。ShiroccoはCoronation C.(GB-G1 T12f10y)で示した硬い路面(一応Goodではあった)にも対応できる新しい能力というのは、二年前のArcを回避した時のことを考えると、非常に感慨深いものがある。対するHurricane Runは父親の陰の部分を背負っているイメージ、かつ臨戦過程も同じで着順が劣るために「縮小コピー」などと陰口を叩かれる反面、Good to Firmの馬場でKing Georgeを勝ちきったというのは父親に無い面であり、この両頭とも既にチャンピオンホースたる資質を備えている(後者は既にチャンピオンではあるが)のは間違いない。

この三頭を除くと、浮上してくるのはやはりRail LinkとPrideになるだろう。まはる殿下がおっしゃっている展開の鍵となりそうなPrideの出方(凱旋門賞展望(その3)@殿下執務室)というのは、後ろからソッと忍び寄るようにも、離れた後方からズバッと刺す(あえてこの字で)こともできる脚を持ちながらも、唯一ディープインパクトを負かしたことのあるC Lemaireが手綱をとることから非常に気になるところではある。調教師からの注文が比較的無茶(正攻法を貫くことが美徳とされるらしいという意味で)だと言われる国においても、あえて前につける競馬を試みるかもしれないというのもあながち有り得ない話ではない。逆にShiroccoやHurricane Runが後方からというのは人気を背負ったものとしてはあまり考えられない。Rail LinkはGrand Prix de Paris(FR-G1 T2400m), Prix Niel(FR-G1 T2400m)を勝ち、3歳代表ということで衆目は一致しているので下手な奇策は打てないはず。Fabre師が古馬二機には敵わないと言うならば素直にそれを信じるしかなかろうと。Rail Linkと比較した場合、Prideの有利さというのはこの「気負いの無さ」にもあるのではなかろうか。オーナーは違うもののMandeshaが回避したことによってRoyer-Dupre師の期待を一心に背負う形にはなったが、勝っても勝ってもいまいち人気の出ない気楽さはこういった大舞台には得てしてプラスに作用するものだろう。

別路線組として挙げられるSixties Iconなのだが、St. Legerを見る限りでは持続する脚が持ち味としか言えない部分がある。昨年のScorpionもそうだが、10-12fのタイトなレースと13f以上の緩いレースの間には経験値にも雲泥の差が出てしまうのだろう。Derby S.(GB-G1 T12f10y)を経験している(7着)とは言えど、上位4頭の接戦からは5馬身離されての入線なだけに、過度の盲目的なDettori信仰にもほどがあるかと。Irish Wellsは先行脚質であり、ペースメーカー代わりになりそうな予感。個人的にPrideと並んで怖いと勝手に思ってるのは前が競り合うようなガチンコの展開になった時のBest Nameの末脚だったりするわけで。

高地からのお便り。

2006-09-13 22:47:52 | 競馬
Quitoというお馬さんがおります。9歳牡馬で現在のところ108戦20勝2着14回3着10回という成績を誇っておりまして、まぁここまでならば「長く活躍しているお馬さん」で済むわけなのですよ。Listedを7勝もしており、日本にもよくいるタイプの「OP特別大将」かと思いきや、実はこの歳になって今までにない大活躍を始めたのです。

元来、英・愛・仏辺りでは短距離や長距離の路線においては重賞路線の整備が素晴らしく整っています。しかし、その路線には種牡馬になれない高齢馬がわんさかいるという実情があります。こういった路線からそれこそ「上がり」となって抜けるには、短距離だとG1を複数勝つことが必要となります。しかし、毎年生きのいい3歳馬が「ギニー路線はちょっと長いなー」とか言いつつシマを荒らしに殴りこんでくるわけでして、なかなかG1を勝つのは難しい。たまにひょっこりと高齢馬が勝つことも度々あるわけでして、そういった時は長年走っているお馬さんの面目躍如の喜びを噛み締めつつ戦績を見てそれぞれの「歴史」を味わったりするのもオツなものだと思います。

さて、件のQuitoなのですが、ここのところすこぶるおしゃれな出走履歴をしております。

06/9/9 Park S.(GB-G2 T7f) 7
06/9/7 Fortune S.(GB-Lis T7f30y) 1
06/9/2 Sprint C.(GB-G1 T6f) 2
06/8/27 Beverley Sprint S.(GB-Lis T5f) 8
06/8/24 City of York S.(GB-Lis T7f) 1

すげぇ。何かもうすげぇ。一昨年にElvstroemに関する出走履歴を書いた時もなかなかやるなと思ったのですが、9歳牡馬がこれをやるというのは何かもう泣けてきます。しかも、これまでは全くG1では歯が立たなかったのにも関わらず、このローテーションの中で初のG1の2着を記録しているのです。

一応JRAの場合には

「一般事項 V 出馬投票について 1. 出馬投票」の中に
(1) 競走(地方競馬指定交流競走を含む。)に出走した日から起算して5日以内に施行される競走については、出馬投票をすることができない。

という規則がありますのでこういった出走はできないことになっています。しかし、これが適用されるのは勿論JRAが主催するレースに限られる(というよりも、次に登録するレースを主催するのがJRAの場合)わけです。例えばこれを、現在Takeover Targetが来てるので盛り上がっている(はずの)Global Sprint ChallengeにあてはめますとRoyal Ascot Meetingの1日目に行われるKing's Stand S.(GB-G2 T5f)と5日目に行われるGolden Jubilee S.(GB-G1 T6f)には出られないことになりますので、あてはめるわけないということです。

さて、このQuitoさんですが、さらに今週土曜日のAyr Gold C.(GB-H T6f)に出走するという話だったのですが、近走の成績から導かれたハンデは146lb(単純計算で66.2kg)ということで、さすがにここは回避する模様です。

Announcing Quito’s non-attendance, David Chapman said that it would be asking too much under 10st 6lb and he was likely to be given a break after five quick races.(racingpostより)
Quitoの回避を告げたD Chapman師は「146ポンド以下を望むのは贅沢だよね。間隔を詰めて5レースつかったから、休息をあげることにするよ」(超意訳)との談。

Quitoさんには末永く活躍して欲しいものです。母親のQirmaziも仏で重賞を幾つも勝ったお馬さんですし、妹のQuarter NoteもPrix de la Grotte(FR-G3 T1600m)の勝ち馬です。良血と言えなくもないと。もしかして来年短距離G1全部勝っちゃってMachiavellianの後継種牡馬に!!なんて妄想であと1年私も頑張っていこうと思います。

余談ですが、エクアドルの首都であるQuitoとLouisville(Kentuckey Derby(USA-G1 D10f)が行われるChurchill Downs競馬場がある町)は姉妹都市の関係にありますね(Mrs様ご指摘thxです)。

C Laffon-Parias師について少々。

2006-09-03 20:23:52 | 競馬
「お前の更新は月一か」と言われそうですが、ちょっと調べ物をしているので、また今度データをアップすることになります。どうでもいいですね。

ディープインパクトさんの遠征の影響で、CMとかもはじまるみたいです。すごいね。まぁそれはおいといて、とりあえずあんまり誰も注目していないところに目をつけてみようと思います。ディープインパクトさんが現在預けられている調教師さんであるC Laffon-Parias師ってどんな人なんだろうなーって話。どっかの雑誌とかに載ってたら勘弁ね。

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Carlos Laffon-Parias師、1963年5月10日スペイン生まれの43歳。

家族は妻のPatrisiaさんがおり、Criquette Head師、つまりマダム・ヘッドとして知られるMme Christiane Head-Maarek(5年程前までは毎年調教師部門の2位だった人。最近ならばAmerican Postで有名か。マニアックなところでは昨年秋のTattersalls October Saleで矢作芳人師(ジェイエスが購買者になってる)とGiant's Causeway×Janet(Emperor Jones), 220,000gnsを最後まで競り合った方)の娘にあたります。その奥様との間に子供が三人ということだそうです。

競馬に関わるバックグラウンドには彼の祖父、叔父、兄が全てスペインのアマチュア騎手だったことが挙げられます。彼も例外無くアマチュア騎手として活躍し、スペインのアマチュア騎手チャンピオンに5度も輝きました。
その後、1986年に彼はChantilly(フランス。Prix du Jockey-Club(いわゆる仏ダービー)やPrix de Diane(仏オークス)の行われる競馬場がある。周辺も含めて大きな調教場となっている)に移り、件のHead師のアシスタントとして働き始めます。恐らく(というか当然)ここで奥様との出会いがあったのでしょう。そして1991年に調教師免許を取得するまでここに滞在しました。
初勝利は1992年10月3日のPrix Horse Racing Abroad(FR T1600m)でDaimioによるものでした。初の国内パターンレース制覇は1995年5月11日のPrix de Saint-Georges(FR-G3 T1000m:仏読みで言うとサンジョルジュ賞)でStrugglerによるもの、国外でのパターンレース制覇はそれから間もない1995年5月26日のBenazet-Rennen(GER-G3 T1200m)、Wessam Princeの勝利によるものでした。
しかし、Group I(Grade制を採用しているのは日本、韓国、北米と中米の一部、南アフリカ(ジンバブエ含む)、東欧の大部分)のレースを制するには多少の時間がかかりました。その間(97年)にサクラローレルを受け入れた厩舎としてもご存知の方も多いかと思われます。
待望の初Group Iレース制覇は1998年10月31日、SpadounによるCriterium de Saint-Cloud(FR-G1 T2000m:クリテリウムドサンクルー)でした。翌年にも牝馬Goldamixでこのレースを制しました。

かつての管理馬としてはLockinge S.(GB-G1 T8f)圧勝後に脚部不安で引退、種牡馬入りしたもののその後の外傷が生殖能力喪失となり再び現役に復帰したKeltos、Preis der Diana - Deutsches Stuten-Derby(GER-G1 T2200m)を制した後に移籍してきたSilvester Lady、米のN Drysdale師の下に移籍後にAtto Mile(CAN-G1 T8f:アットマイル)を制したTouch of the Blues、Falmouth S.(GB-G2 T1600m)を制したRondaなどがいます。

9月1日現在、獲得賞金順で国内第4位、(05年5位, 04年5位, 03年9位, 02年8位, 01年5位, 00年8位, 99年10位, 98年9位, 97年13位, 96年12位)であり、現在管理しているお馬さんは今年のPrix d'Ispahan(FR-G1 T1850m:イスパーン賞)を勝った4歳牡馬Laverock, 昨年のPrix d'Harcourt(FR-G2 T2000m)勝ちの5歳牡馬Delfos, Poule d'Essai des Pouliches(FR-G1 T1600m:仏1000ギニー), Prix d'Astarte(FR-G1 T1600m:アスタルテ賞)で共に2着でPrix de Sandringham(FR-G2 T1600m)勝ちの3歳牝馬Impressionnante, Prix du Muget(FR-G2 T1600m)を勝っている6歳牡馬Krataios, Prix du Bois(FR-G3 T1000m)勝ちの2歳牡馬Sandwaki, 昨年のPrix Miesque(FR-G3 T1400m)勝ちのQuiet Royal(このお馬さんについては後で触れます)、デビューから3連勝で今夜Prix la Rochette(FR-G3 T1400m)に挑戦する2歳牡馬Lykiosなどがいます。

さてさて、以前からO Peslier騎手が専属契約しているシャネルのオーナーであるWertheimer Et Frère兄弟(シャネルのオーナー)の所有馬を預かっていたことからもマダム・ヘッドというよりもその一族の後継者的存在に浮上している可能性もあります(よくは知らん)。その理由はマダム・ヘッドの娘さんが奥様ということ、同時にPrix Maurice de Gheest(FR-G1 T1300m:モーリスドゲスト賞)でのO Peslier騎手の解雇騒動(Wertheimer Et Frère兄弟のお馬さんの中でも騒ぎの発端になったQuiet RoyalなどがHead師の元からC Laffon-Parias師の下へ移籍している)辺りを考慮するとあながち外れではないのかもしれないなと。今後一層の活躍を期待したいな、ということで今回は終わります。


経歴の前半はNTRAの調教師紹介ページを訳しただけなので、そちらを読むのもいいかもしれませんね(自分の存在意義無し)。どうでもいいですが、トラセンの新カテゴリ「凱旋門賞」にトラバすることで、少し魂を売った気がする今日この頃です。